横浜はタイ遠征で2連勝。スパンブリー戦で2ゴールを挙げた遠藤(左から3人目)をはじめ、若手の活躍が光った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

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 若い力が躍動した。バンコク・ユナイテッド戦でプロ3年目の中島が1ゴール・1アシストと活躍すれば、スパンブリー戦では19歳の遠藤が2ゴールと大暴れ。昨季のFW陣最多得点者である富樫は2試合連続でゴールネットを揺らし、持ち前の決定力の高さを見せつけた。
 
 さらにはユース所属ながらキャンプに帯同している17歳の山田は、スパンブリー戦の後半から出場して1ゴール・1アシストを記録。対戦相手とのレベル差を差し引いても、十分すぎるアピールとなった。他にも際立ったプレーを見せた名前を列挙するならば、その多くは10代後半から20代前半の伸び盛りの選手になるだろう。
 
 エリク・モンバエルツ監督がチームを率いて3年目のシーズンを迎えた。過去2年もボランチとして中軸を担った中町は「戦術面はなにも変わっていない」とチームが継続路線を歩んでいることを口にした。
 
 システムも慣れ親しんだ4-2-3-1が基本になるだろう。選手個々の特徴こそ違えども、それぞれのポジションに求めるプレーの原則は不変だ。最終ラインと2ボランチが連係してボールを持ち運び、タッチライン際に大きく張り出したサイドハーフにボールが入ったタイミングがスピードアップの合図となる。
 
 自身の去就が不透明なためタイキャンプ不参加となった齋藤がいなくても、代わりにサイドハーフに入った遠藤や前田、マルティノスも同じことを求められる。実効性は対戦相手のレベル次第だが、戦術浸透度という点では確実に上がっている。
 
 一方で、若さゆえの課題も見え隠れした。3-2で勝利したバンコク・ユナイテッド戦は常に先手を奪う有利な状況で試合を進めたが、得点後に緩慢な守備から失点したことも事実。最後尾に控えるGK飯倉は「ゲーム中に指揮を執れる、シュンさん(中村俊輔)のような存在がいないのは痛い。今年はそれをみんなでやらないといけない」と課題を話す。
 
 試合展開や置かれている状況を見極め、周囲に素早く伝達して修正する。そういった作業を経験の少ない若手に求めるのは酷というもの。中村を筆頭に榎本や兵藤、小林といった実績と経験値を兼ね備えた選手がいなくなった影響と言えなくもない。これについては一朝一夕で解決できる問題ではなく、長いシーズンを戦う中で勝負の機微を覚えていくしか方法はない。
 
 2013年に優勝争いを演じた主力メンバーの過半数がチームを去った。当時は先発の平均年齢が30歳を超えており、そのシーズンのように勝負強さと老獪さで勝点を積み上げることは期待できない。始動日時点の平均年齢が24.9歳と若返ったことが示唆するように、今季は横浜にとって変革元年となるだろう。
 
 いつまでも去っていった者を惜しんでいる暇と時間はない。横浜から4,000km以上離れたタイの地で、新たな力が芽吹いた。それこそがクラブが置かれている今だ。そして、彼らこそ未来予想図を描いていく戦士たちである。
 
取材・文:藤井雅彦(ジャーナリスト)