伊丹十三は格好いい?

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伊丹十三という人がいました。「マルサの女」や「ミンボーの女」といった、社会派のテーマをとりあつかいながら、コメディタッチの映画を多く作った映画監督としてのイメージが強いかもしれません。ですが、伊丹十三の活躍はそればかりにとどまりません。映画監督に転じる前は俳優として活躍していました。さらにもうひとつ伊丹十三の知られざる顔としてエッセイストがあります。

スパゲディは炒めうどんではない

伊丹十三は洒脱なエッセイを多く記すことで知られていました。「ヨーロッパ退屈日記」などは、文庫化されており現在でも読むことができます。さらにもうひとつ伊丹十三のエッセイで知られているものとして、おいしいパスタの作り方があります。伊丹は日本のパスタ、スパゲディは煮込みすぎてうどんのようになっていると批判します。さらになんでも具材とともに炒めてしまうスパゲティの作り方に対して「スパゲティは炒めうどんではない」と怒ります。こうした食べ物の代表といえばいわゆるナポリタンが有名でしょうか。

同じことをしてみる

伊丹十三のエッセイはひとつのライフスタイルを提示したもので、同じことを試す人もいたようです。長谷部千彩の『メモランダム』(河出書房新社)にも、女子高生の彼女が近所のスーパーで食材をそろえて、伊丹流パスタを試すさまが描かれています。日本中の若者が同じことを試していたともいえるかもしれません。伊丹十三は映画監督であり俳優であるのですが、ある世代にとってはすぐれたエッセイストであり、生き方やたたずまいなどを真似したくなるような存在であったのです。伊丹十三は義理の従兄弟に小説家の大江健三郎がいます。大江の影にかくれてエッセイストの伊丹十三に注目があまり集まっていないのは残念ではあります。