東京駅周辺(千代田区)

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■「小池氏対内田氏」に官房長官参戦!

2月5日投開票の東京都千代田区長選は、その結果が今後の政局を大きく左右することになりそうだ。いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの小池百合子都知事は現職の石川雅己区長を応援するが、これに対抗して都議会自民党のドン・内田茂都議は与謝野馨元官房長官の甥・信氏を擁立。昨年夏の都知事選で激突した小池氏と自民党東京都連の構図が再び浮かび上がった。さらに注目度が増すのは菅義偉官房長官の存在だ。都知事選で増田寛也元総務相を担ぎ出し、小池氏に惨敗した菅氏は千代田区での「代理戦争」で汚名返上を果たすことはできるのか。

千代田区は都議会自民党のドン・内田氏の地元で、自民党が絶対に負けられないと位置付ける最優先選挙区の1つだ。この結果は今年夏の都議会議員選に影響することになるだけに「都議会自民党の力の入れようは例を見ないほど」(自民党中堅)となっている。昨年末までは中央大の佐々木信夫教授の擁立を模索したが、佐々木氏が固辞。区長選に意欲を示していた信氏に白羽の矢を立てた。

1月13日に立候補を表明した信氏は「千代田区はおじが長年ご支援いただいた地であり、大変縁の深い千代田区に恩返しできる機会と考えた」と語り、自民党幹部も「千代田区は『与謝野ブランド』が残る。知名度のなさに不安が残るものの、何とか勝利をつかみたい」と意気込む。信氏は、内田氏の全面協力を得て組織戦を展開すると見られているが、ただでさえ、「小池氏対内田氏」の構図で注目を集めているのに加えて、菅氏の参戦でその注目度は一気に増している。

内田氏は「知事選の影響を持ち込まないようにと本人が言っているから、そういう選挙にしたい」と記者団に語っているものの、現職の官房長官が区長選の応援に乗り出すのは異例中の異例だ。自民党関係者は「官邸が『小池退治』に参戦してくれたのは心強い」と期待感を示すが、別の党幹部は「官房長官というものは1つの首長選に首を突っ込むべきではない。もし、敗北すれば政権へのダメージになる。菅氏も長期政権になって『KY』(空気が読めない)長官になってきた」と不信を募らせる。

■千代田区長選の結果が政局を左右する!?

ここまで菅氏が小池氏との対決を望む理由は何があるのか。2人に近い党関係者は「最大の理由は、初めて敗北した人物だから認めたくないという私情でしょう」と声をひそめる。2012年の自民党総裁選で石破茂元幹事長を小池氏が応援し、安倍晋三首相の総裁復帰の立役者となった菅氏との関係は一気に冷え込んだ。第2次安倍政権発足後、菅氏はあらゆる人事で小池氏を冷遇し、目線も合わせなくなったとされる。

菅氏に近い人物は「官房長官のやり方というのは、降参している人間に対しても徹底して攻撃を加え、再び敵意を持たなくなるまで締め付けていく」と解説する。消費税増税をめぐる与党内対立や財務官僚との摩擦など数々の「ケンカ」で相手を完膚なきまでねじふせてきた菅氏にとり、昨年の都知事選敗北はあってはならない事態だったという。信氏の意向とは異なり、政府・自民党をあげての応援態勢となる千代田区長選での連敗は絶対に許されない勝負となる。

一方、現職で5期目の当選を目指す石川区長は小池氏の全面協力を期待する。「私は16年間、区民に寄り添って施策を出してきた」と実績を強調し、小池氏とのツーショットポスターを前面に出した戦いを選んだ。小池氏も「(対抗するのが)与謝野先生の甥ということで、とても自民党的な選び方だなと。たぶん猛烈な組織選挙をすると思うが、区民が決める区民ファースト、これに尽きると思う」「私の東京大改革に対して、1つの占いにもなるかもしれない」とやる気満々だ。

小池氏の側近は「現職の官房長官まで登場し、組織戦の締め付けに辟易としている自民党関係者もいるのではないか。もっとも小池氏はまだ自民党籍だが、自民党都連はまた一族郎党、対立候補を応援した場合は除名もありうると脅すのかもね」と語る。

小池氏は都議選の「前哨戦」で勝利し、都政運営に弾みをつけられるのか。それとも菅・内田両氏がストップをかけるのか。1つの首長選が政局を左右することになる。