『ANTIPORNO』の冨手麻妙と園子温監督

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女優やモデルとして活動する冨手麻妙が、日活の「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」第4弾『ANTIPORNO』(1月28日公開)で映画初主演を飾った。監督は彼女が絶大な信頼を寄せる鬼才・園子温。冨手は園監督のミューズとして、あふれる情熱をみずみずしい肢体でたくましく表現した。2人にインタビューし、過酷な撮影エピソードを語ってもらった。

【写真を見る】冨手麻妙と筒井真理子のSMシーンに大興奮!/[c]2016 日活

10分に1度の濡れ場が用意されるロマンポルノだが、冨手は今回のオファーを受けることに対して迷いは一切なかったと言う。「脱ぐという覚悟も何も、私自身は最初からやる気満々で、むしろ早くやりたいという思いでいました。でも周りの人間がロマンポルノに対して勝手なイメージを抱いていて、すごく反対されたり、『ロマンポルノで脱いだら女優生命が終わるだけだ』というような意地悪を言われたりしたんです。でも、私は園監督作品で主演ができること自体が夢だったので、何が何でもやりたかったんです」。

冨手が演じたのは時代の寵児となった女流作家の京子。自由奔放でサディスティックな反面、いまにも崩れそうな危うさと繊細さを併せ持つアーティストだ。精神的に苛まれていく京子が、自身の葛藤や鬱憤、焦燥感、怒りなどを次々と吐露していく。後半に驚くべきギミックが用意されている点にもうならされる。

このパッションに満ちあふれたオリジナル脚本を手掛けたのは園監督自身だ。「ネタはいろいろとあって、今回それを全部くっつけた感じです。これを書いていた当時の自分はすごくいろんなことにイライラしていました。悲しかったりつらかったり腹を立てたりしていた感情をそのまま映像というキャンバスにたたきつけたんです」。

後半では文字通り肉体を筆のようにして、絵の具で思いをたたきつけた冨手。「園さんが自分自身のことを書いたということは、今日のインタビューで初めて聞きました。京子が言っていることは、まさに私がずっと抱いていた思いで、私が言葉にできなかったものを園さんが台詞に書いてくれたと思い込んでいたんです」と苦笑い。

「ただ、映画が完成した時、園さんをよく知っている俳優さんたちが観て『これは園子温のことだ。京子は園子温だ』と言っていたので『そうなの?』とびっくりしました。そういえば『ANTIPORNO』をまだ完成してない状態で初めて観た時、園さんが観終わってから京子みたいに吐いたんです。何でだろう?と思っていたんですが、ああそういうことだったんだなと」。

園監督は「まさに京子そのものだったから」と笑う。それでは本作を作ったことで、いろいろなウミを吐き出し、浄化されたのだろうか?

「いや、それは全くないですし、どんどんストレスは蓄積するばかりです。いまやその重圧に耐えられないので、早く『ANTIPORNO2』を作らないと自殺せざるを得ない。僕はそもそも映画監督じゃないんです。元々他のことをやろうとしていたし、実際に映画っぽい映画は作ってこなかったし。自主映画ばっかり撮っていた人だから」。

初のポルノ映画を撮り終えて見えたものはたくさんあったと言う園監督。「僕はやっぱり映画監督というよりは表現者でいたいんです。スマホで撮った『タンジェリン』(公開中)という映画があるけど、そんなふうに映画をもっと自由に自主映画感覚でいっぱい撮れたらいいなあと思っています。いろんな呪縛から解き放たれたい。“アンチ”と言っていること自体、まだ解き放れてない証拠だから。早く出口から出てもっと自由に映画を撮りたいというのが今年の方針です。完全に時代とずれていようが、自分のやりたいようにやれればいい」。【取材・文/山崎伸子】