by Bruno Sanchez-Andrade Nuño

トランプ大統領が2017年1月25日にメキシコ国境からの不法移民流入防止のために「壁」を築くよう指示する大統領令に署名しましたが、壁建設は人権侵害や人種差別に当たるとして大きな批判を浴びています。しかし、壁建設の影響は人間に留まらず、環境的な問題を引き起こすとも指摘されています。

Trump’s Mexican Border Wall Would Be an Ecological Disaster | Motherboard

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アメリカとメキシコの国境に壁が建設されることで、繊細な砂漠のエコシステムが破壊されるという問題があります。絶滅に瀕しているメキシコオオカミやソノラ砂漠のジャガーを含めた数多くの生き物たちはこれまでのように移動することができなくなり、食料やパートナーに不足する事態が起こり得ます。合衆国魚類野生生物局が2016年に発表したレポートによると、壁が建設されることで、絶滅危惧種111種、渡り鳥108種、4つの禁猟区および魚卵孵化場、および数え切れないほどの湿原に影響があると見られているとのこと。

テキサス州には多様な生物が生息するリオ・グランド・バレーといった場所が存在します。リオ・グランド・バレーには、そこにしか生息しない脊椎動物700種が存在し、バードウォッチャーなど、野生動物を観測する人々から生まれる収益は年間4億6300万ドル(約530億円)に及びます。これらの生き物は国境間を自由に移動することができるからこそ観測可能なのですが、トランプ大統領が建設する壁は、リオ・グランド・バレーを分断してしまいます。

過去にも、ジョージ・ブッシュ大統領が就任していた2005年に、カリフォルニアからテキサスにかけて高さ18フィート(約5.5メートル)・距離にして650マイル(約1050キロメートル)にも及ぶ有刺鉄線のフェンスが設置されたのですが、この影響で2011年までに16種の生き物の数が75%も減少したとのこと。

「現時点で国境に存在する交通機関が既に全生物に影響を与えています」と語るのは生物学者のLouise Misztal氏。「ピューマ・熊・ジャガー・オセロットなどさまざまな生き物は、水や食料を得るために山々を移動する必要があるのです」とのことで、これから起こる地球環境の変化によって生き物は生息地を北に移しだすと考えると、国境の壁はそのような生き物の環境適応も妨害すると見られています。



by USFWS National Digital Library

また、鳥などは空を飛ぶため壁による影響を受けないと考えられるかもしれませんが、鳥は夜空の星を地図代わりにして移動するので壁が明かりで照らされれば移動を阻害してしまいます。加えて、「現段階で予想できている野生動物への影響のほかに、今はまだ見えてない長期的な影響があるかもしれません」とMisztal氏は語りました。