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カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とスウェーデンのストックホルム大学、ウプサラ大学の研究チームは、スマートフォンを顕微鏡として用いることでDNA解析を簡易に行える装置を開発した。設備の整っていない開発途上国、遠隔地でのDNA診断ツールとしての活用が期待されている。研究論文は科学誌「Nature Communications」に掲載された。

患者のDNA配列を解析することで、病気の原因となる遺伝子や変異を特定することができるが、分析作業を行うにには通常、設備の整ったラボに患者の細胞・組織を送る必要がある。このため、分析設備のある大病院から遠く離れていたり、そもそも設備がなく専門技能をもった者もいない地域ではDNA診断を受けることができない。

そこで研究チームは、医療従事者が現場で簡易にDNA解析を行えるようにするためのツール開発に取り組んだ。

開発されたのは軽量の光学デバイスで、これを通常のスマートフォンに装着して使用する。スマホに標準装備されている内蔵カメラと組み合わせて用いることで、通常の光学顕微鏡と同等の画質の明視野の蛍光カラー画像を得ることができる。

同装置は、がんなどの腫瘍組織の検査に利用することができる。組織のサンプルを小さな容器に収め、スマホ顕微鏡で画像を記録する。その画像データを自動解析するアルゴリズムによって腫瘍のDNA配列を読み取ったり、腫瘍内部の遺伝子変異を直接特定したりできる。正常細胞に含まれている少量のがん細胞を検出することも可能であるという。

研究チームは、3Dプリンタを利用するなどしてコストを抑え、500ドル以下の費用で同装置を作製した。複数の画像モードを備えた光学顕微鏡は通常10000〜50000ドル程度と高価であり、コストの大幅削減を実現していると言える。

今回実現したのは腫瘍診断用デバイスだが、病原菌・微生物の特定や、抗生物質耐性の遺伝子的特徴を測定するといった用途にも同じプラットフォームを利用できるという。

(荒井聡)