松坂桃李・菅田将暉だけじゃない!! GReeeeN誕生を描いた話題作『キセキ -あの日のソビト-』は物語も配役も素晴らしい良作でした【最新シネマ批評】

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【公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、松坂桃李と菅田将暉が兄弟を演じる映画『キセキ -あの日のソビト-』(2017年1月28日公開)。

素顔を隠して音楽活動をする人気アーティストGReeeeNと、代表曲「キセキ」の誕生秘話を映画化した作品です。

そのGReeeeNの4人を演じた菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮は、テレビ朝日系音楽番組『ミュージックステーション』に「グリーンボーイズ」として出演。この映画のタイトルにもなっている大ヒット曲「キセキ」を熱唱し、女子たちを歓喜させました。1月24日(GReeeeNのデビュー日)にCDデビューもしているんですよ!

でもこの映画は、彼らの歌とルックスだけの作品ではなく、とてもさわやかで楽しくてグっとくる青春映画なのです。

【物語】

メタルバンド「ハイスピード」のボーカル、ジン(松坂桃李)は、音楽の道を歩んでいたけれど、厳格な医師の父(小林薫)は、ジンがメタルロックの道を歩むことに賛成はしていません。ジンと父の関係は厳しく、弟のヒデ(菅田将暉)は二人の姿を心配そうに見ていました。

そんな彼は、歯科大を受験して歯医者の道へ。もともと兄同様に音楽好きのヒデは、大学生になるとナビ(横浜流星)クニ(成田凌)ソウ(杉野遥亮)と音楽に取り組むようになり、自分たちの音楽のアレンジをジンに依頼。

ジンはその曲を聞いて、弟の才能に驚き、積極的に売り込みを開始するのですが……。

【GReeeeN誕生秘話は兄弟愛の物語でもあった!】

なんなのこれ爽やかすぎる! 私が試写を見た直後の感想です。

バンドの誕生物語は国内外いろいろありますが、歯医者の人気アーティストっていうのは珍しく、GReeeeNがどういう経緯で歌うようになったのか、デビューしたのかというのは、おそらく熱狂的なファン以外は知らなかったのでは? その誕生の物語を素晴らしい青春映画へと昇華させたのが本作『キセキ -あの日のソビト-』です。

この映画はまずキャスティングで大成功。主役の兄弟には旬の俳優二人、松坂桃李と菅田将暉。

そしてGReeeeNのメンバーとなる仲間には、TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演した成田凌や、映画『オオカミ少女と黒王子』に出演した横浜流星。そして、日本テレビ系ドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」に出演した杉野遥亮という、スカっと爽やかなイケメン3人を配したのが大成功。 

ひとつの映画で5人のかっこいい男子を愛でることができるなんて、見方がミーハーと言われようが、幸福なことじゃないですか!

もちろんそれだけじゃなく、ジンとヒデの兄弟の絆がとてもいいのです。二人は正反対で、我が道を行くジンと、周囲に配慮しながら自分の道を模索するヒデ。お互いにないものを補い合って、この二人は家庭の中でなんとかバランスを取っているという感があります。男同士なのでベタっとした仲の良さはないけれど、お互い本音で話ができて、尊重し合ってる姿はとてもいいんですよ。

【松坂と菅田の魅力】

この映画の隠し味になっているのは兄弟と両親の関係です。父は昭和世代の厳しい頑固親父。でも自分の言うなりにならないからジンに怒っているわけではなく、医者として堅実な人生を歩んできた父は「ジンの進む道は仕事とはいえない、社会貢献になっていない、趣味だろ!」という見方なんですよ。

おそらく、自分がこれまで接したことのない世界に息子が行ってしまうことへの畏れや不安や心配があったのでしょう。ただ不器用なので、その気持ちがうまく表現できないのですね。そしてジンは父親似で同じように自分の音楽への情熱をうまく伝えることができないのです。

でもジンは、見た目ロックな男ですが、とても上品なんです。父とバチバチぶつかっても常に父に対して敬語です。やはり親を敬う気持ちがあり、父を立てている。そこがすごくいいなと。また弟の才能に気付いても嫉妬せず、サポートしようとするところも本当に良きアニキ! 

松坂桃李も品がありますから、彼の魅力とジンの長所が見事に溶け合って……ベストなキャスティングではないでしょうか。

弟のヒデはちょっと天然でかわいい母親似ですね。父が厳しい分、やさしい母は癒しの存在。またヒデもジンにとっては癒しで、彼との会話で自分の気持ちをクールダウンさせているような。

菅田将暉がかっこつけない等身大のヒデの魅力をノビノビ演じていて、ヒデを見ていると幸せな気持ちになるんですよ、いい子だな〜と。

またこの兄弟が、母親にすごくやさしいんですね。それがうらやましくて、ジンとヒデのママ(演じているのは麻生祐未)になりたいって思ったくらいです。

GReeeeNのメンバー4人にフォーカスせず、兄弟の物語をメインにしたのが良かったかもしれません。ファンはもちろんですが、彼らのファンじゃなくても青春映画として良作なので、気持ちよくノレて、感動できるはず。

GReeeeN、あるいはグリーンボーイズの楽曲に乗って、爽やかな青春の世界へ行っちゃいましょう!

執筆=斎藤 香(c)Pouch

『キセキ -あの日のソビト-』
(2017年1月28日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー)
監督:兼重淳
出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、成田凌、杉野遥亮、早織、奥野瑛太、野間口徹、麻生祐未、小林薫ほか
(C)2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

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