「クソ」とか言ってしまうのは、素の感情が出ちゃうから?

「クソ」とか「チキショー」みたいな言葉をよく使う人って、どういう人なんでしょうか? ざっくりいうと「荒っぽい」とか「怖い」とか思われそうですが、信頼できるかどうかっていう軸ではどっちなんでしょうか? 感情をストレートに表現してるって意味では正直なようにも思えるし、規範に反して大げさな表現をしてるって意味では正直じゃないような気もします。で、新たな研究によると、前者の可能性が高いみたいなんです。

SAGE Journalsに掲載された、オランダのマーストリヒト大学のGilad Feldmanさんらの研究が、汚い言葉をよく使う人は、ウソが少なく正直である傾向が強いことを示しています。汚い言葉とは具体的にいうと、この研究は英語ベースなので「Fuck」(「性交する」が転じて「チキショー」的に使われたり、「fucking ○○」として不快感を強めたり)とか「Shit」(「大便」が転じて「クソ」などの意味で使われる)といった言葉です。

でも、「正直である傾向」ってどうやって測るの?と思ったんですが、彼らは3つの方法で正直さを表わすデータを集め、悪態との相関を明らかにしたんです。

まず1つ目の調査では、300人を対象に、よく使う悪態の数や悪態をつく頻度を質問しました。そして彼らに対し「あなたは自分が何かすると言ったら、どんなに不都合でもその約束を必ず守りますか?」「あなたの習慣はつねに善良で望ましいですか?」といった質問をしました。これが実はその筋でよく使われる「Lie Scale」(直訳:嘘尺度)なるものを測るひっかけ問題だそうで、「イエス」の回答は非現実的=不正直、と認定されるんですって。で、この調査結果を分析すると、よく使う悪態が多かったり、悪態をつく頻度が高かったりする人ほど、より正直である傾向が見られたんです。

2つ目の方法では、約7万人分のFacebookのポストが本人の許可の元で分析されました。研究チームはその人たちが書いた「ドナルド・トランプ抗議デモに参加してきたよ」「トライアスロン完走!」みたいなポストが本当かどうか、ひとりひとり追跡して検証…したわけじゃなく、じつは「ウソつきがしがちな言葉遣い」を判定できる手法があって、それを使うと書き込みを分析するだけでウソつきかどうかを人間が判断するより高い精度であてられるんですって!

ちなみに「ウソつきがしがちな言葉遣い」とは、「一人称(I、meなど)や三人称(he、sheなど)を使う頻度が低い」、「動きを表わす動詞(arrive、goなど)やネガティブな言葉(worried、fearfulなど)を使う頻度が高い」みたいな特徴があるそうで、日本語だとちょっと違うのかもしれませんけど、興味深いですね。

で、研究チームはその手法によってひとりひとりのウソつき度を判定して、さらにFacebookポストでの「Fuck」「Shit」などを使った回数で悪態利用度を判定し、両方のデータを総合しました。その結果、やっぱり悪態をつく頻度が高い人ほどウソつきでない、という傾向が確認できました。

さらに3つめの方法では、米国の各州の正直さが反映された「State Integrity 2012」というデータと、上の2つ目の調査のデータから米国人の分を抜き出してその人の属する州別に分けたデータを重ねて分析されました。その結果でもやっぱり、悪態をつく人が多い州は、より正直、という傾向が出ました。以下がそのグラフです。


170124_profanity.jpg

image: SAGE Journals


…ということで、悪態をつく人って正直で、意外と良い人なのかも…?という気がしてきました。そういえば、ついに米国大統領に就任したドナルド・トランプも数々の悪態をついていて、しかも本人も「Tell it like it is(ありのままを語る)」ってスローガンにしてたくらいだから、少なくとも自分自身では正直な人間だと思ってるのかもしれません。

まあでもこの研究結果はあくまで「そういう傾向がある」っていうだけなので、「悪態をつく人の発言はみんな信頼できる」っていうわけじゃないんですけどね…。


・有名ポップミュージックの数々をクソフルートで脱力カバー


image: a katz / Shutterstock, Inc.
source: SAGE Journals(1, 2), State Integrity 2012, TIME

(福田ミホ)