ウォール・ストリート・ジャーナルなどの海外メディアや通信社が伝えるところによると、米アマゾン・ドットコムは陸上輸送や航空輸送だけにとどまらず、海上輸送の分野にも進出しており、最近はその動きが本格化しているという。

物流業者の業務を一手に引き受け

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンはすでに、中国の小売業者が同社のeコマースサイトで販売する商品を、米国に海上輸送している。

 こうした海上輸送業務はこれまで米UPSや米フェデックスといった大手が手がけてきたが、今後アマゾンはこれら大手と直接競争することになり、本格的な自前の物流事業を構築するという同社の計画をさらに一歩進めることになると同紙は伝えている。

 英ロイター通信によると、これに先立つ一昨年、アマゾンは「Beijing Century Joyo Courier Service(北京世紀卓越快逓服務)」という中国子会社を、非船舶運航業者(フォワーダー)として中国運輸省に登録した。

 この子会社は自ら輸送船を保有しないが、通関や書類手続きなどを行って貨物輸送を取り扱う。これによりアマゾンは、中国から同国外への海上貨物輸送業務が可能になった。

10月以降150以上の海運コンテナ手がける

 そしてこのほど、海上貨物監査サービスの米オーシャンオーディットがまとめた船積み書類で、アマゾンが取り扱った中国からの海上輸送コンテナの数が昨年10月以降で150以上に上ったことが明らかになった。

 また、アマゾンの子会社は今年に入って、これまで大手の貨物輸送会社が行ってきた仕分けや貨物追跡などの業務に関するサービスとその料金を公開した。

 こうしたアマゾンの業務は、船腹(積み荷スペース)の予約や、港から倉庫までの陸上輸送などと多岐にわたり、同社は海運業者や外部の物流業者が行う一連の業務を一手に引き受けるサービスを構築していると、オーシャンオーディットのCEOは述べている。

自社ブランドのトラックや航空機を導入

 アマゾンは一昨年の12月、同社の倉庫など米国における施設間で商品を輸送するために、自社ブランドのトラックを数千台導入すると発表した。

 また昨年8月には、「Amazon One」と呼ぶ自社ブランドの貨物航空機を利用した輸送業務を始めたことも明らかにした。同社は2社の大手貨物航空会社とボーイング「767-300」を40機リースすることで提携しており、Amazon Oneはこの機体を使っている。

 米テッククランチによると、アマゾンの物流サービスは現在のところ、同社のeコマース事業が取り扱う商品の一部しかカバーしていない。そうした中、今後いかに自前の物流事業を拡大できるかが、eコマース事業におけるコスト削減のカギを握るという。

 アマゾンはeコマース事業で市場を支配しており、小売り事業全体においてもそのシェアは高い。物流事業の規模をさらに拡大しようとする同社の狙いは理にかなっているとテッククランチは伝えている。 

筆者:小久保 重信