『ハーゲンダッツ バニラ』(「Amazon HP」より)

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 日本では高級アイスクリームの代名詞的存在となっている「ハーゲンダッツ」。

 1920年代、ポーランドからのアシュケナジム・ユダヤ人移民者が米ニューヨークでアイスクリームの行商を始めたのが起源というブランドだ。61年、レシピに卵黄を加えて乳脂肪分を17%にまで上げる変更をし、ハーゲンダッツの社名にした。

 日本には84年に上陸。東京都港区青山に1号店をオープンさせ、長い行列ができたことが当時のニュースに取り上げられた。最盛期の94年には全国95店舗まで展開していたが、現在は店舗経営を行っていない。それでも、コンビニエンスストアやスーパーマーケットのアイスコーナーで、一際強い存在感を放っている。

 そんなハーゲンダッツの価格を見てみると、ミニカップサイズ(110ml)のメーカー希望小売価格は272円(税抜、以下同)となっている。コンビニなどに広く置かれている明治の代表的なラクトアイス「エッセルスーパーカップ(200ml)」が130円であることを考えると、かなり割高感を覚える。

 高級アイスクリームとして認知されているハーゲンダッツだが、実はアメリカでは473mlサイズが約4ドル(約460円)で販売されており、大衆向けの低価格アイスクリームとして親しまれているのである。日本で同サイズは765円だ。

●日本人の味覚に合わせ日本オリジナルのアイスに

 そこで今回、ハーゲンダッツ ジャパンの広報担当者に、「日本での戦略」について話を聞いた。

「当社は、日本でのビジネスのみを行っており、価格に対しても原材料費や物流費など、かかるコストをベースに、お客様の受容性も勘案して価格設定させていただいております。また、ハーゲンダッツの工場は世界にアメリカ、フランス、日本の3カ国のみなのですが、現在日本で販売している商品は、日本国内で製造、日本国内のみで販売となっています」(ハーゲンダッツ ジャパン広報担当者)

 日本で販売されているハーゲンダッツは、日本で暮らす人々の味覚に合わせて製造、販売されており、価格もそれに見合った額に設定されているということだ。

「アイスクリームの主原料となるミルクは、味を決める重要な原料であり、日本のハーゲンダッツでは北海道の根釧地区のミルクを使用しています。また、風味を決める副原料につきましても、ハーゲンダッツアイスクリームになったときの味のバランス、香り、食感を優先して、世界各国から厳選したものを使用しています」(同)

●ハーゲンダッツというブランディングへのこだわり

 ハーゲンダッツには、多少コストがかかったとしても品質を重視するという理念があると語る。

「当社では、家庭にあるような身近な素材を使うことを“キッチン・フレンドリー”と呼び、アイスクリームづくりの基本にしております。その分、コストや手間はかかりますが、『素材の味を楽しんでもらいたい』『安心して食べられるアイスクリームを提供したい』という思いから、キッチン・フレンドリーの理念を守り続けています。今後も、お客様の期待を超えるフローズンデザートを提供し、お客様にハーゲンダッツを口にしたときの喜びと感動を提供し続けていきたいと考えております」(同)

 ハーゲンダッツは一般的なアイスクリームよりも高価だが、日本の高級アイスクリーム市場で長らくトップシェアを守り続けていることからわかるように、「高くても食べたい」と消費者に感じさせる魅力があるといえる。

 また、高級だからこそ特別感が増し、とっておきのときに食べる“ご褒美”として、日本国民に愛され続けているのだろう。
(文=日下部貴士/A4studio)