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by Paul Stainthorp

2016年11月にGoogleのディープラーニング技術は糖尿病による目の病気を専門医よりも正確に見抜くという話が出たように、医療分野では人工知能(AI)の活躍しそうな兆しが見えてきています。この流れに乗るように、スタンフォード大学の研究チームがディープラーニングを活用し、皮膚がんか否かを画像(写真)から識別できるアルゴリズムを「育成」しました。

Artificial intelligence used to identify skin cancer | Stanford News

http://news.stanford.edu/2017/01/25/artificial-intelligence-used-identify-skin-cancer/



この研究内容は2017年1月25日に学術雑誌・Natureのオンライン版に掲載されました。

Dermatologist-level classification of skin cancer with deep neural networks : Nature : Nature Research

http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature21056.html

皮膚がんの診断は主に肉眼と皮膚顕微鏡を用いた「目視」で行われています。「皮膚がんである」と皮膚科医が確信したとき、あるいは目視では判断がつかなかったときには、次のステップである「生検」に進みます。

スタンフォード大学の研究チームが行ったのは、この「目視」の部分をコンピューターに担当させるということ。皮膚科医が皮膚顕微鏡で見るのと同じように、皮膚がんが疑われる部位の写真を読み取ってがんかどうかの識別を行います。

チームが「「convolutional neural networks(CNN:畳み込みニューラルネットワーク)」」と表現するアルゴリズムはゼロから構築したものではなく、ベースは1000種類のオブジェクトカテゴリについて128万枚の画像を学習したGoogle製のもの。このアルゴリズムができることは「犬と猫の識別が可能」のようなことだったため、チームでは「良性の脂漏性角化症と悪性のがんを識別可能」というところまで能力を引き上げる必要がありました。

研究チームは医学部から提供してもらったりインターネットから収集するなどして、2032種類の疾病からなる12万9450枚のデータセットを用いてCNNを「教育」しました。

その結果、教育を受けたCNNに370枚以上の皮膚がんが疑われる症例を見せたところ、同じ写真について識別を行った皮膚科医21名とほぼ同等の精度でした。

現時点ではあくまで「コンピューター向け」のものですが、研究チームはスマートフォンでも使えるようにすることを予定していて、移植自体はそう難しくないとみられています。スマートフォンならカメラもついているので、「撮影したその場で皮膚がんかどうかが識別できる」という時代も、そう遠くないのかもしれません。