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清水建設、日本IBM、三井不動産の3社は1月26日、東京日本橋の宝町地区における高精度な「屋内外音声ナビゲーションシステム」の実証実験を共同で行うと発表した。

このシステムは、清水建設と日本IBMが共同開発した、ビーコンが発信する位置情報を活用した高精度な屋内外音声ナビゲーション・システムとコグニティブ技術を活用し、車いす利用者、視覚障がい者、訪日外国人を含む来街者を、それぞれに適した誘導方法により目的地まで快適に案内することを目指す。

この実証実験は、屋内外音声ナビゲーションシステムのサービス課題や技術課題を抽出してシステムに反映するために行うもの。アプリは日本語と英語の2カ国語に対応する。実施期間は2月8日〜28日までの3週間。

対象エリアは、東京メトロ銀座線三越前駅から江戸桜通り地下歩道、三井不動産が運営する都心商業施設「コレド室町 1〜3」に至る約21,000平方メートル。この中に、5-10mおきに224のビーコン発信機を設置、それをスマートフォンで受信し、スマートフォンの加速度センサーもあわせて利用しながら屋内位置を測位。対話による音声と地図でナビゲーションを行う。

アプリは、音声で質問すると対話サーバがIBMのコグニティブ・テクノロジーWatsonを利用しながら回答を検索。その後、現在地をビーコン電波やスマホの加速度センサーを利用しながら現在位置を特定し、経路情報、地図、店、障害物の情報を取得。地図と音声で案内する。このシステムはカーナビと同じターン・バイ・ターンナビゲーションだという。

屋内での位置測位にはWi-Fi電波を利用するケースが多いが、今回測位にビーコンを利用した理由は、コスト的なメリットを考えたもので、ピーコ発信機の費用が約2000円、設置費用が約3000円だという。精度は1-2mを目指しており、今後はビーコンに加え、Wi-Fiの電波をあわせて利用していく計画だという。

今回取り組みは、清水建設と日本IBMが平成27年からアクセシビリティに関する共同研究を開始したことに始まる。その後、三井不動産が実証実験を行うにあたり、新たに参加している。

三井不動産 日本橋街づくり推進部 事業グループ長 中原修氏は、実証実験に参加した理由を「昨年春に、清水建設さんやIBMさんから開発の状況を聞き、リアルな街で実証実験を行いたいという申し出を受けた。三井不動産は、日本橋地区において都市型スマートスマートシティの構築を目指しており、この取り組みは人類の課題を解決する上で有用だと考え、参画した」と説明した。

3社の役割は、清水建設が位置情報取得のための屋内インフラの構築やナビゲーション地図(空間データベースの構築)、日本IBMが屋内測位のための電波計測とアルゴリズム開発やコグニティブ・アシスタント技術を活用したナビアプリの開発。三井不動産が、実証実験場所の提供や入居するテナント関係者の調整のほか、店舗や施設情報を提供する。

技術的には、高精度な位置情報・音声対話による利用者に最適なナビゲーションであること、特別な機器を利用しないスマートフォンによるサービスであること、国交省・歩行空間ネットワークデータに準拠しており、屋内外のシームレスなナビゲーションを実現することなどが特徴だという。

視覚障害者でもあり、今回の実証実験に参加する日本IBM 東京基礎研究所 IBMフェロー 浅川智恵子氏は、「視覚障害者には本が読めないという情報の壁と、一人で外出できないという移動の壁という2つの壁があり、今回の実証実験のゴールは視覚障害者が街歩きを楽しむことだ。これを実現するため、人間の機能をコンピュータが補うのがコグニティブ・アシスタント技術だ。この技術が実用化され、2020年に東京が世界のロールモデルとして広がっていることを願う」と述べた。

今回の実証実験では、参加者を対象にアンケート調査を行い、位置精度、音声案内のタイミング、わかりやすさ、提供情報の適切さ等について分析し、その結果をシステムに反映する計画。また、清水建設は日本IBMの協力の下、空港等不特定多数の人が集まる施設に屋内外音声ナビゲーション・システムを導入し、日本のバリアフリー・ストレスフリーな街づくり技術を2020年に向けて世界に発信していくことを目指すという。

(丸山篤)