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●歩きにくいほどの賑わい
1月18日〜20日の3日間、東京ビッグサイトにてロボット関連の展示会「ロボデックス」が開催された。"ロボデックス"と聞くと、古くからの読者には以前パシフィコ横浜で開催されていた「ROBODEX」を思い出す人もいるかもしれないが、これは全く別のイベントで、今回が初開催。137社が出展し、3日間でトータル1万6千人が訪れたという。

会場は、東京ビッグサイト西ホール4階の半分ほど。規模としてはそれほど大きなイベントではないが、産業ロボット、サービスロボット、コンポーネント、要素技術など、様々なロボット関連技術・製品が展示されており、通路を歩きにくいほどの賑わいになっていた。本レポートでは主に、サービスロボット関連の話題を紹介しよう。

○PaPeRoがオープンプラットフォームに

最初の話題としてまず取り上げたいのは、NECプラットフォームズが展示していた「PaPeRo i」である。「PaPeRo」といえば、NECが1997年から開発してきたコミュニケーションロボット。古参とも言える存在だが、なかなか本格的な事業展開の話が聞こえてこないまま、NEC本体での取り扱いはすでに終了となっていた。

そして現在、NECプラットフォームズが手がけているのが新型のPaPeRo iだ。外見こそ従来のPaPeRoのイメージを踏襲しているが、PaPeRo iでは、ロボットの機能をユーザーインタフェースに特化。オープンプラットフォームとして各社との協業を進めており、すでにパートナー企業は90社にも達しているそうだ。

ブースでは、その活用事例がいくつか紹介されていた。その中の、勤怠管理システム、見守り支援システム、受付システムなどは、ロボットの活用方法として非常に分かりやすい。機能としてロボットの形である必要はないものの、ロボットであれば親しみを持ってもらえる。会話もしやすいだろう。

ちょっと面白かったのは、プログラミング教室向けとして考えられている「ぱぺろっくりー!」(ソフィアプランニング)。Googleのビジュアルプログラミングツール「Blockly」と連携させたもので、子供でも簡単にPaPeRo iを制御することができる。2月から提供を開始する予定で、使用料は月額1万5千円程度になるとのこと。

○ワイヤー駆動のモーションフィギュアも

またNECフィールディングのブースには、「Pepper」「Palmi」「モーションフィギュア」など、様々なロボットが展示されていた。同社はロボット事業を2016年度から本格的に開始。同社はもちろんNECグループなのだが、PaPeRo iに限らず様々なロボットを取り扱い、各社のハード・ソフトを組み合わせ、ソリューションとして提供するそうだ。

●ロボットと思いきや…
○人間そっくりなヒューマノイド……?

斬新な展示で来場者の注目を集めていたのが日本ルナウェアAIテクノロジーズ。「良くできたロボットだな」と思ってよく見てみると、並んでいたのは人間。じつは同社はハードウェアの会社ではなく、人工知能を開発している会社なのだが、この展示は「未来のロボット」をイメージしているのだそうだ。

同社が開発している人工知能「LUNA」は汎用的なもので、これをカスタマイズしてコールセンター等、様々な分野に応用する。開発の拠点は米国で、共同設立者のエンジニアは米Googleで人工知能の開発に関わっていたという。実用化はこれからだが、米国では実験的に、病院の受付等で導入されているとか。

○画像認識で自律飛行するドローン

エンルートM'sは、画像認識機能を搭載したドローンを展示していた。ステレオカメラを使った画像認識による自律飛行が可能で、障害物にぶつからないように飛んだり、人間や物体を識別するようなことができる。GPSで大体の場所を把握しておいて、画像認識でより正確に位置決めするようなやり方も考えられている。

○様々な形に組み立てられるロボット

オーム社のブースで見かけたのが近藤科学の新型ロボット「KXR」シリーズだ。同社から2足歩行ロボットが発売されるのは、2009年の「KHR-3HV」以来、じつに8年ぶり。だが、後継機ではなく別シリーズになっているのは、小型サーボを使った小型機であるほか、もう1つ、これまでに無かった大きな特徴があるからだ。

それは、様々なオプションパーツが用意されていて、それを組み合わせると、ヒューマノイド型(16軸)以外のロボットも組み立てることができるということ。4脚のカメ型(9軸)など、自由に組み替えることが可能で、コンバージョンキットなども発売される予定だという。ヒューマノイド型の身長は295mm、重量は約1.1kg。

○Arduino互換で拡張性が高いロボット

Hitec Multiplex Japanが展示していたのは、オープンソースの2足歩行ロボット「IRH-100」。韓国IR Robotが開発したもので、身長は335mm、重量は1.3kg。メイン制御基板のほかに、Arduino互換ボードも搭載しており、市販のShieldを追加することが可能だという。日本での発売も準備中とのことで、価格は8万円程度になる見込み。

○上下方向も広く見られる測域センサー

様々なサービスロボットで搭載を見かける北陽電機の測域センサーであるが、"3D測域センサー"を謳う新モデルが「YVT-35LX」。通常、測域センサーは上下方向の視野が狭く、用途によっては課題になることもあったが、これは上下40度の角度で計測が可能。4月より生産を開始し、価格は60万円くらいになるとのこと。

●おまけ:ウェアラブルEXPOの宇宙展示
○おまけ:隣の会場で見かけた宇宙関係の展示

これはロボデックスではなく、隣の「ウェアラブルEXPO」で展示されていたものだが、宇宙関係の話題もあったので紹介しておきたい。

相模通信工業が展示していたのは、キューブサット用基板の「Waterbear for Cubesat」。九州工業大学の「鳳龍弐号」で運用実績がある回路をキューブサット向けに再設計したもので、これを衛星バスとして使えば、ユーザーはミッション機器の開発に注力できるようになるというわけだ。

同社は基板実装がメイン事業の会社で、JAXAの宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)など、宇宙分野での経験も豊富だという。"Waterbear"はその技術を活かした同社独自ブランドで、極限環境でも生存できる「クマムシ」の英名に由来しているそうだ。ほかの製品として、宇宙用のArduinoボードも展示されていた。

またセメダインのブースには、「Google Lunar XPRIZE」に唯一日本から挑戦しているHAKUTOの月面探査ローバーが展示されていた。セメダインといえば、接着剤でお馴染み。宇宙分野での経験は無かったそうだが、HAKUTOのパートナーとして、宇宙用の接着剤を開発中。部品のガタツキ防止や、ソーラーセルの貼り付けなどで使われるそうだ。

○来年は名古屋でも開催

ロボデックスは来年1月17日から第2回が開催される予定。来年は東京だけでなく、9月5日からは名古屋でも開催されることが決まっているそうで、大規模なロボットイベントとして、引き続き注目していきたいところだ。

(大塚実)