1968年とは何だったのか?

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『創造元年1968』(作品社)という本があります。押井守はアニメーションの映画監督として、笠井潔は、思想家、推理小説家として知られています。本書は、2人の青春時代にあたる、1968年をタームに当時の、文化を語り合うものです。さらに、この時代に2人の創作の原点を見出しています。

何があった年なのか?

1968年は何があった年なのかといえば、世界的に社会運動の嵐がふきあれた年です。特にスチューデント・パワーと呼ばれる、若い学生運動が盛り上がりました。アメリカではベトナム戦争の反戦の動きが広がり、日本でも各地の大学で特定の党派に所属しない全共闘運動が盛り上がりを見せました。

高校生活動家?

押井守と笠井潔は、1968年に大学生ではなく高校生でした。高校生活動家として、時代を過ごしていたのです。高校生の学生運動というと、生徒会活動の延長のように思えるかもしれませんが、もっと殺伐としたものでした。押井は、来るべき武装蜂起に備えて、中学生を率いて訓練を行っていたようです。といっても、はたからみればガキ大将のような行為でしょう。ですが、大学生に比べて高校生で活動家となることは、ドロップアウトを意味するため、強い覚悟が必要だったそうです。押井は、将来をおもんぱかった父親の手で山小屋にとじこめられたこともありました。一方の笠井潔も学生運動に挫折し、貯金を食いつぶしながら、あの時代をふりかえる「テロルの現象学」の執筆を構想します。その際、もっともお金がかからない場所としてフランスのパリを選び、屋根裏部屋で執筆活動にいそしんだようです。2人の個人的な体験から、あの時代が語られています。