入団会見に臨んだ小野が新天地での決意を述べた。

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「キャンプが始まったなかでの補強の第一弾として……」と竹原稔社長(サガンドリームス)が会見で口火を切った。第一弾ということは移籍ウインドーが閉じられるまでに、サガン鳥栖は今後も補強を行なっていくという宣言に他ならない。
 
 そして、その第一弾は、誰もが驚く選手だった。間違いなく即戦力となる“補強”である。キム・ミヌ(水原三星/韓国)や早坂良太(札幌)の“補充”ではない。今シーズンを戦う上で、マッシモ・フィッカデンティ監督は「昨年をベースに、より明確なアイデアと共にスタートした」と、ポジティブな見通しを語ったが、その言葉を体現するためにも不可欠なパーツとなる選手だ。
 
 その選手とは、じつに5年ぶりのJリーグ復帰となる小野裕二だ。2010年に2種登録ながら横浜F・マリノスでリーグ戦17試合に出場。2011年からは背番号10を背負い、攻撃の中心選手として横浜を牽引した。その後、ベルギーに戦いの場を移してさらなる成長を図ってきたが、今シーズンの戦場に選んだのはJリーグ、そして古巣ではなく鳥栖だったのだ。
 
「日本に帰るのが前提ではなかった。自分のステップアップを図るためのチームとして選んだのが鳥栖だった」と、小野は決断の理由を語った。
 
 鳥栖に加入しての目標を聞かれた小野は、「これまでの鳥栖の戦い方に、ベルギーで学んだことと自分の力を出し切って、チームのためになれれば……」と言葉を選びながら語った。がむしゃらに相手ゴールを目指していた横浜時代の小野とは明らかに違う雰囲気を持った小野がそこにはいた。
 
 続けて「鳥栖には強力なFWがいる。その周りで仕事ができれば」と、いまだチームに合流はできていないが、自分の役回りは理解している。
 
「セカンドストライカーとして期待している」と竹元義幸強化部長は語る。鳥栖には豊田陽平という絶対的なエースがいる。これに自ら相手DFを突破してゴールを狙える小野が加わるのだから、その攻撃力は相手にとって間違いなく脅威が増すことになる。
 小野はバイタルエリアからゴールに向かうだけの選手ではない。サイドに流れても仕事ができる選手であり、トップ下に鎌田大地がいることで、より効果的な攻撃オプションにもなるのは間違いない。コンビネーションが進めば、ボールを運びフィニッシャーにもなれる鎌田が、最前線に飛び出していく機会も増えるだろう。
 
 とはいえ、不安がないわけではない。ベルギーでは大怪我を負ったせいで試合から離れている期間があった。5年ぶりのJリーグに、スムーズにフィットできるかも未知数だ。
 
 ベルギーはシーズン中だったということもあり、「身体もコンディションも問題はない」(本人談)とは言うものの、少しでも早くチームに合流し、少しでも長く連係を図りたいところである。
 
「ステップアップを図るために選んだチームが鳥栖」と語る本人だけに、過去の実績や海外の経験だけで戦うつもりは毛頭ない。24歳の若さとその可能性を武器に、鳥栖で大爆発を起こすつもりなのである。
 
 フィッカデンティ監督の言う「より明確なアイデア」を体現できる選手の加入によって、鳥栖の上位進出の可能性も増してきたと言えるだろう。