ヴィオラ・デイヴィス

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第89回アカデミー賞のノミネート作品が1月24日に発表された。昨年、同賞の候補に挙がった俳優が白人ばかりだとして批判がSNS上で噴出し、#OscarsSoWhite(白すぎるオスカー)というハッシュタグが取り沙汰されるなど、ハリウッドにおけるダイバーシティ(多様性)の欠如が話題になったが、今年は打って変わって、ダイバーシティに富んだ結果となった。米Varietyなどが報じている。

昨年、一昨年と、2年連続で候補者全員が白人だったが、今年は全カテゴリーで白人以外の候補者が見られ、俳優部門でも7人のマイノリティがノミネートされており、2007年の記録と並んでいる。さらに、6人の黒人俳優ノミネートは史上最多。主演男優賞候補のデンゼル・ワシントンは『Fences(原題)』で自身7度目のノミネートと、黒人俳優の中では最も回数が多い。共演者のヴィオラ・デイヴィスは、オクタヴィア・スペンサー(『Hidden Figures(原題)』)、ナオミ・ハリス(『ムーンライト』)とともに助演女優賞にノミネートされている。ヴィオラは女性の黒人俳優としては最も多いノミネート回数(3)を誇っている。ルース・ネッガは『ラビング 愛という名前のふたり』で主演女優賞にノミネートされ、『ムーンライト』のマハーシャラ・アリは、イギリス出身でインド系のデヴ・パテル(『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』)とともに助演男優賞にノミネートされた。

俳優部門だけにとどまらず、作品賞でノミネートされている『マンチェスター・バイ・ザ・シー』を制作したキンバリー・スチュワードは、オプラ・ウィンフリー(『グローリー/明日への行進』)に続いて2人目の黒人女性の制作部門ノミネートとなった。『ムーンライト』の監督と脚本を担ったバリー・ジェンキンズは、黒人で4人目となる監督賞にノミネートされたほか、同時に脚色賞にもノミネートされており、これは黒人監督として2人目の快挙となる。

また、過去に3人の黒人監督しかノミネートされていなかったドキュメンタリー部門は、今回ほとんどが非白人の候補者で占められた。中でもエヴァ・デュヴァネイ監督(『13th −憲法修正第13条−』)は黒人女性として初のノミネートだ。

そして『メッセージ』で撮影賞にノミネートされたブラッドフォード・ヤングは黒人として史上2人目、『ムーンライト』で編集賞にノミネートされたジョイ・マクミロンは同カテゴリーでの黒人女性初のノミネートとなっている。編集賞でノミネートされている『ラ・ラ・ランド』のトム・クロスはアジア系だ。『モアナと伝説の海』の歌曲賞にノミネートされたヒスパニック系のリン=マヌエル・ミランダは今回受賞を果たした場合、過去13人しかいないエミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞全ての受賞者となる。

アフリカ系アメリカ人映画批評家協会(AAFCA)の会長ギル・ロバートソン4世は、「本当に大勢の、様々な人種の俳優やアーティストが候補者に選ばれたことを大変喜んでいます」と声明を出し、米映画芸術科学アカデミーを称えるとともに、今後も米国の豊かな多様性が反映されるよう、さらなる努力を熱望している。

しかし、その一方でアフリカ系アメリカ人以外のマイノリティにとっては、ダイバーシティにはまだほど遠い結果と言えよう。人種問題を扱うサイト「Color Of Change」の責任者であるレイシャッド・ロビンソン氏は、「ダイバーシティはもはやアカデミー賞だけの問題ではありません。制作側やスポンサーにも求められるべきものです。そしてアフリカ系だけでなく、ヒスパニック系、アジア系、ネイティブアメリカンなど、ハリウッドで過小評価されている全ての人たちに公正な機会が与えられるべきです」と述べている。女性の候補者にとっても同様だ。今回監督賞にノミネートされた女性はおらず、撮影賞に至っては過去に女性は一人もノミネートさえされていない。だが、作品賞では『最後の追跡』のカーラ・ハッケンとジュリー・ヨーン、『ムーンライト』のアデル・ロマンスキーとデデ・ガードナー、『Hidden Figures(原題)』のドナ・ジグリオッティとジェンノ・トッピング、『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』のアンジ―・フィールダーなど、女性が制作に携わった作品が多く評価された。

第89回アカデミー賞授賞式は2月26日、米ABCで放送。(海外ドラマNAVI)