NBAの2016−2017シーズンは早くもレギュラーシーズンの折り返し地点を通過し、後半戦へと突入した。そこで今回は前半戦を振り返りつつ、プレーオフに向けての注目ポイントを整理しておきたい。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

 まず、前半戦でもっとも注目を集めたチームは、やはりケビン・デュラント(SF)を獲得したゴールデンステート・ウォリアーズであろう。ステファン・カリー(PG)、クレイ・トンプソン(SG)、ドレイモンド・グリーン(PF)、そして新加入のデュラント......。スターター5人のうち4人がオールスター選手という豪華布陣に、「昨シーズン打ち立てた73勝9敗というリーグ新記録も更新するのでは?」とささやかれた。

 しかしいざフタを開けてみると、ウォリアーズはサンアントニオ・スパーズとの開幕戦を100−129で落とすというまさかの衝撃。「昨シーズンより守備力は低下している」と言われていたものの、これほどの大敗を喫するとは誰もが想像しなかっただろう。

 ただ、ウォリアーズは初戦のショックをそのまま引きずらなかった。昨年の勝率にこそ及ばないものの、その後は順調に白星を積み重ね、現在38勝7敗のリーグ最高勝率(.844)でウェスタン・カンファレンスの首位をキープしている。

 好調を支えているのは、その爆発的な得点力だ。1試合平均117.6得点は、リーグ2位のヒューストン・ロケッツ(平均114.5得点)、3位のトロント・ラプターズ(平均110.0得点)を大きく引き離し、リーグナンバー1の座に君臨している。

 35勝9敗で現在ウェスタン2位のスパーズは、1月19日にパウ・ガソル(C)が左手の第4中手骨を骨折し、長期離脱が確定的。同4位のロサンゼルス・クリッパーズ(30勝16敗)も、1月17日に司令塔のクリス・ポール(PG)が左手親指のじん帯を断裂し、6〜8週間の離脱となった。ウェスタンの上位陣がもたつけば、3シーズン連続でウォリアーズがNBAファイナルに進出する可能性もより濃厚となるだろう。

 そのウォリアーズの独走を止められそうな後半戦の注目チームは、ウェスタン3位のロケッツ(34勝14敗)ではないだろうか。エースのジェームス・ハーデン(SG)を中心に、スリーポイント(3P)シュートに特化したオフェンスの破壊力は圧巻だ。

 ロケッツは1試合に放つ全シュートのうち、45.9%に当たる平均39.9本の3Pシュートを放つ。2位のクリーブランド・キャブスは平均33.4本。3P試投数30本以上のチームは、30チーム中6チームしかない。いかにロケッツが3Pを多く打っているかがわかるだろう。伸(の)るか反るか、ギャンブル性が高いオフェンスシステムだが、プレーオフでの大物食いの予感を今からプンプン漂わせている。

 一方のイースタン・カンファレンスは、キャブス(30勝13敗)が首位をキープして前半戦を折り返した。昨年12月、キャブスはスターターのJ・R・スミス(SG)が左手親指を骨折。復帰は4月ごろになる見通しとなった。

 すると、キャブスはすぐさま「リーグ屈指の3Pシューター」カイル・コーバー(SG)をアトランタ・ホークスからトレードで獲得。見返りにマイク・ダンリービー・ジュニア(SG)と、2019年のドラフト1巡目指名権をホークスに放出した。未来ではなく、今、勝つこと――。なりふり構わず連覇を目指す姿勢をキャブスは崩さない。

 NBAファイナルの最有力候補に挙げられている「キャブスvs.ウォリアーズ」のカードは、今シーズンすでにレギュラーシーズンで2度行なわれている。1度目の対戦は、昨年12月25日のクリスマスゲーム。カイリー・アービング(PG)が残り3.4秒でジャンパーを沈め、109−108でキャブスが勝利した。

 しかし、2度目の対戦となった1月16日の試合では、ウォリアーズが126−91で大勝している。しかもこの試合、第2クォーターで問題児のグリーンがレブロン・ジェームズ(SF)の速攻をハードファウルで止めてフレグラント・ファウル(※)を取られると、その直後にグリーンが客席に向かってレブロンの倒れ方を小馬鹿にするようなジェスチャーを披露した。

※フレグラント・ファウル=ボールに対して正当にプレーをしていないと判断された場合、もしくは正当にプレーしていても身体接触が激しく危険と判断された場合に宣告されるファウル。

 このグリーンのアクションによって、両チームの因縁が一層深まったのは間違いない。今後のレギュラーシーズンでの対戦はなく、次に両者が激突することがあるならば、それはNBAファイナルのみ。2015年はウォリアーズ、2016年はキャブス、NBAファイナルでの成績は1勝1敗。今シーズンはどちらが強いのか、白黒つけることを多くのファンも望んでいる。

 イースタン2位はトロント・ラプターズ(28勝16敗)。キャブスとのチーム力の差が昨シーズンより縮まった印象は、シーズン前半戦を見るかぎり受けない。むしろ番狂わせの可能性があるのは、アル・ホーフォード(C)の加入でチーム力が格段に上がったイースタン3位の古豪ボストン・セルティックス(26勝17敗)ではないだろうか。

 セルティックスといえば、エースとなった175cmのアイザイア・トーマス(PG)が絶好調だ。12月30日のマイアミ・ヒート戦では第4クォーターだけで29得点を挙げて1ピリオドにおける球団最多記録を樹立し、52得点のキャリアハイをマークした。トーマスの平均29.0得点は、ラッセル・ウェストブルック(オクラホマシティ・サンダー/PG)の30.8得点に次ぐリーグ2位。得点王も十分に射程圏内だ。

 現在27歳のトーマスは、過去に4度の得点王に輝いた180cmのアレン・アイバーソンと比較されることが多い。彼自身もアイバーソンを意識しているという。

 昨年11月、アイバーソンから「君のやることを続けてくれ。俺は見ている」とメッセージをもらったトーマスは、こう返信した。「ありがとう。あなたみたいになろうとチャレンジしているところだ」。もしもトーマスが得点王となれば、アイバーソンを抜いてNBA史上もっとも身長の低い得点王の誕生となる。

 そして今、イースタンで一番勢いがあるのは、フィラデルフィア・76ers(15勝27敗)ではないだろうか。イースタン13位ではあるものの、直近11試合で8勝3敗と白星を急増させている。その立役者は、今季がデビューイヤーとなった22歳のジョエル・エンビード(C)だ。平均19.8得点というオフェンスだけでなく、リーグ2位の平均2.5ブロックとディフェンス面での貢献度も高い。

 エンビードが人気を博しているのは、プレーのみならず、その陽気な性格も影響している。ツイッターで女性シンガーのリアーナをデートに誘うと、「オールスター選手になったら誘ってね」と軽くあしらわれたエンビード。しかし、フラれても落ち込むことなく、「夢中になっている女性とデートに行けるチャンスがきた! みんなの助けが必要だ!」とオールスターのファン投票で自分に投票するようにツイッターで呼びかけるほど、ポジティブシンキングの持ち主だ。それでいて、一度コートに立てばチームを牽引する頼もしさもあるのだから、リアーナはともかく、地元ファンに愛されないはずがない。

 さらには、右足骨折でチームを離れていた2016年ドラフト1位ルーキーのベン・シモンズ(SF)が1月下旬に復帰するのでは、とも言われている。しかも、ブレット・ブラウン・ヘッドコーチは208cmのシモンズをポイントガードとして起用する予定だという。シモンズのマルチな才能は、昨年のサマーリーグですでに実証済み。「救世主」と呼ばれたルーキーが上昇気流に乗るチームにフィットすれば、ひさびさのプレーオフ進出の可能性も十分にあるだろう。

 今シーズンのNBAファイナルは3季連続で因縁のカードとなるのか、それに待ったをかけるチームは現れるのか、そして得点王争いの行方は......。シーズン後半戦もNBAから目が離せない。

※成績は1月23日時点

水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro