的確な外国人補強をした鹿島は“ブレない”チームだと語るセルジオ越後氏

写真拡大

Jリーグ各クラブが続々と始動している。ストーブリーグでは中村俊輔が磐田に、大久保がFC東京に移籍するなど、例年以上に活発な動きがあったけど、なかでも僕が注目したのは鹿島だ。

昨季はJリーグと天皇杯の2冠を達成。クラブW杯でも決勝に進出し、レアル・マドリードを苦しめた彼らは、実に的確な外国人補強をした。

まず神戸からFWペドロ・ジュニオールを獲得。日本のサッカーに慣れていて、昨季も11得点。即戦力だ。

そして中盤には、新潟からリーグ屈指のボランチであるレオ・シルバを獲得。豊富な運動量で相手のボールを奪い取るだけでなく、攻撃面でも力を発揮する。彼の加入は本当に大きいよ。鹿島のボランチといえば、クラブW杯のレアル戦で2得点を決めた柴崎ばかりクローズアップされるけど、レオ・シルバ、ベテランの小笠原、日本代表の永木と実力者がズラリとそろった。仮に柴崎が欧州移籍しても痛手にはならないだろう。

Jリーグで実績のあるふたりに加えて、さらに前線にはブラジル代表歴(1試合出場)のある23歳のFWレアンドロも加わった。どこまで活躍するかは未知数だけど、面白いチャレンジだと思う。FWも2列目もこなせるらしいので、前線に激しいレギュラー争いをもたらすかに注目したいね。

この3人のブラジル人の獲得を見てあらためて感じたのは、鹿島は“ブレない”チームだということ。

Jリーグ開幕当初から外国人選手はブラジル路線を継続していて(アジア枠を除く)、監督も日本人以外はすべてブラジル人。やっているサッカーも4バックをベースにした、1点を守り切る手堅いサッカー。Jリーグにはフロントや指揮官が代わるたびに強化方針や目指すサッカーがガラリと変わるクラブが多いなか、鹿島は成績に多少の浮き沈みがあっても変えなかった。

そんなチームカラーについて、よくジーコの功績が語られるけど、いまだに彼がもたらしたプロ意識は受け継がれていると思う。日本的に言えば体育会っぽいというか、規律が取れている。金髪や茶髪の見た目がチャラチャラした選手は少なく、インタビューの受け答えもしっかりしている。ベテラン、今のチームなら小笠原がにらみを利かせ、コーチなどスタッフにもOBが多いので、そういう雰囲気をつくり出せているんだと思う。

鹿島は大きな街のクラブじゃない。首都圏のクラブに比べて集客やスポンサー獲得などのハンデはある。でも、かつての黄金時代を支えた本田(泰人)さんや秋田(豊)さん(いずれも元日本代表)は「東京まで遠いし、遊ぶ場所が少ないからサッカーに集中できる」「一年中合宿をやっているようなもの」と言っていた。

以前、若手選手の家に妹が遊びに来たときには、地元住民からクラブに「若い女性が部屋に入っていくのを見た」と連絡が入ったこともあるそうだ。また、生活費も安上がり。同じ年俸でも首都圏のクラブよりもはるかに貯金できる。そうした地方ならではの環境を生かして、継続したチームづくりをしているんだ。

昨季は2冠を達成したとはいえ、決して横綱相撲じゃなかった。でも、今年は真のチャンピオンにふさわしいチームになるんじゃないかと予感させる。Jリーグ連覇を目指すのはもちろん、ぜひアジアチャンピオンズリーグでも結果を残してほしいね。

(構成/渡辺達也)