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全19作品がそろった2017年の冬ドラマ。今回もドラマ解説者の木村隆志が、全作品の初回放送をウォッチ。俳優名や視聴率など「業界のしがらみを無視!」したガチンコでオススメ作品を探っていく。

別記事(冬ドラマ19作の傾向分析&オススメ発表! - 制作サイドがこだわりと野心を詰め込んだ2作を発見)において、冬ドラマの主な傾向を[1]月〜水は恋愛、木〜日は家族 [2]ユニーク原作と大胆オリジナル [3]主演級男女キャストの再会 の3つと分析。

おすすめドラマとして、『カルテット』(TBS系 火曜22時)、『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系 金曜24時12分)、『銀と金』(テレビ東京系 土曜24時20分)、『増山超能力師事務所』(日本テレビ系読売テレビ 木曜23時59分)、『嘘の戦争』(フジテレビ系 火曜21時)の5本を選んだ。

本記事では、それらの作品を含む、今クール全作品のひと言コメントと採点(3点満点)を紹介していく。

○『突然ですが、明日結婚します』 月曜21時〜 フジテレビ系

出演者:西内まりあ、山村隆太、山崎育三郎ほか
寸評:ひさびさにシンプルかつストレートなテーマで勝負の月9。「結婚したいvs結婚したくない」のキャラ造形こそ浅さを感じるが、全力疾走するようなハイテンポでグイグイ突き進む脚本は、若年層にフィットしそう。並木道子監督の繊細な映像がヒロインに華やかさを添えている。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『嘘の戦争』 火曜21時〜 フジテレビ系

出演者:草なぎ剛、水原希子、山本美月ほか
寸評:草なぎの十八番と言えるダークヒーローもの。今作ではさらに情念を込めた演技で視聴者を悪の世界へ引き込んでいく。判で押したように毎週1人ずつ復讐する展開に既視感があり、詐欺の手法も単純だが、それを余りある存在感。恋の三角関係で視聴者が醒めないか、やや心配。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『カルテット』 火曜22時〜 TBS系

出演者:松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平ほか
寸評:坂元裕二脚本らしいセリフ劇の妙で、文句なしに楽しませてくれる大人のドラマ。演奏の音色と4人の演奏姿は美しく、目や耳でも楽しませてくれる。コントラストとしてのウソと秘密が胸の高まりを呼び、これからどんな“まさか”で楽しませてくれるのか、興味は尽きない。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

○『東京タラレバ娘』 水曜22時〜 日本テレビ系

出演者:吉高由里子、榮倉奈々、大島優子ほか
寸評:独身女性の「あるある」に留まらずシビアな現実を見せるのはいいが、原作よりも毒気が抜けているのが気がかり。ポップな演出に徹している分、もっと視聴者をドキッと脅かし、チクチクと刺すようなセリフもほしい。脳内キャラのタラ・レバも使う以上、ガンガン前へ出すべき。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『レンタルの恋』 水曜0時10分〜 TBS系

出演者:剛力彩芽、太賀、岸井ゆきの、ほか
寸評:剛力のコスプレが最大の売りなのは明白で、深夜ドラマとしては「あり」のラインか。ただ、喜んでやりそうなタイプでなく、「絶対にやらない」というイメージのキャスティングがベターではないか。ファン以外を引きつけるには、「ヒロインの闇をどう魅力につなげるか」が重要。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】

○『就活家族〜きっと、うまくいく〜』 木曜21時〜 テレビ朝日系

出演者:三浦友和、黒木瞳、前田敦子、工藤阿須加ほか
寸評:家族の転落と、奮闘・再生を描くストーリーは定番だけに、“就活”というテーマにどう時代性を持たせるか。職を失う展開や職を得られない理由がステレオタイプなのが気になるところ。視聴者に主人公を「思わず応援したくなる」気持ちにさせられたら、評判も上がるはず。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

○『嫌われる勇気』 木曜22時〜 フジテレビ系

出演者:香里奈、加藤シゲアキ、椎名桔平ほか
寸評:「一人を好み、空気を読まない変わり者」は、刑事ドラマでよく見られるキャラである分、椎名が演じる大学教授の存在が鍵を握る。アドラー心理学と事件解決をどうリンクさせるのか、ハードルの高い挑戦に挑む姿勢は素晴らしい。ただ、それだけに脚本のクオリティが気がかり。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】

○『増山超能力師事務所』 木曜23時59分〜 日本テレビ系

出演者:田中直樹、浅香航大、中村ゆり、ほか
寸評:超能力師という変化球と脱力ムードの相性はよく、深夜だけにファンタジー設定は気にならない。田中は役作りの難しいスーパーキャラをどう演じるのかが成否を左右しそう。その点、浅香の愛すべきヘタレキャラに人気が集中する可能性も。原作の持ち味を生かした脚本は上々。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆☆】

○『三匹のおっさん3〜正義の味方、みたび!!〜』 金曜20時〜 テレビ東京系

出演者:北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎ほか
寸評:初回の冒頭から悪の成敗シーンを入れるなど、第3シリーズも通常運転。おっさん3人の負担を減らすべく、登場シーンもカット割りも減らすなど、バランスのよさは相変わらずで、勧善懲悪ドラマのお手本とも言える仕上がり。俳優として成長した大野拓朗が頼もしく見える。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『お母さん、娘をやめていいですか?』 金曜22時〜 NHK系

出演者:波瑠、柳楽優弥、斉藤由貴ほか
寸評:「仲のよすぎる母娘」というテーマ背景は、現代性たっぷり。波瑠と斉藤が本気でぶつかり合うシーンが多いほど盛り上がりそうだが、「母親のモンスターぶりばかりがフィーチャーされないか?」一抹の不安が漂う。柳楽と寺脇康文の男性陣が翻弄される姿も、隠れた見せ場に。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『下剋上受験』 金曜22時〜 TBS系

出演者:阿部サダヲ、深田恭子、小林薫ほか
寸評:中卒両親の役に阿部と深田がフィット。受験勉強に挑みながらも悲壮感はなく、どこか明るいムードで、視聴者の間口を広げている。テーマとしてはニッチだけに、どういうシーンで盛り上げるのか。毎週、「見てよかった」という感動を与えるための脚本が背負う責任は大きい。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『奪い愛、冬』 金曜23時15分〜 テレビ朝日系

出演者:倉科カナ、三浦翔平、大谷亮平ほか
寸評:誰がどう見ても「大映か韓流か」。初回ではオマージュと呼ぶのをためらうほどダイレクトなシーンが続いた。ドロドロの相関図が視聴者の予想を上回るものになればネットを中心に盛り上がりそう。あえて男女とも色気のあるキャストをそろえなかったのは新境地発掘の狙いか。
採点:【脚本☆ 演出☆ キャスト☆ 期待度☆】

○『バイプレイヤーズ』 金曜24時12分〜 テレビ東京系

出演者:遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲら
寸評:「奇跡の共演」と言える6人がそろうだけで、映像に力が宿るのだから、さすがというほかない。本人役というイレギュラーな設定だが、「演じているのか、素に近いのか」考えさせるギリギリの線をついていた。ゴールが見えにくい分、カタルシスは少ないが、酒の肴には十分すぎる。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆☆】

○『スーパーサラリーマン左江内氏』 土曜21時〜 日本テレビ系

出演者:堤真一、小泉今日子、ムロツヨシほか
寸評:福田雄一らしさ全開のおバカな世界観に、土曜21時らしいハートフル要素をプラス。脚本・演出の質としては、前作『ラストコップ』よりも一歩進んだ印象を受ける。何とも都合のいい“忘却光線”という設定を生かして、どんな爆笑シーンを作ってくれるのか、単純に楽しみたい。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

○『精霊の守り人 悲しき破壊神』 土曜21時〜 NHK

出演者:綾瀬はるか、板垣瑞生、真木よう子ほか
寸評:第2シリーズとなり、キャストの役作りに進歩が見られ、チャグムの成長ぶりに目を細めてしまう。丁寧に作り込まれた映像に、豪華キャストの力感あふれる演技が華を添える。ただ、物語としての起伏は乏しく、国内の視聴者傾向と制作費を踏まえると、海外に売り出したいところ。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆】

○『銀と金』 土曜24時20分〜 テレビ東京系

出演者:池松壮亮、リリー・フランキー、村上淳ほか
寸評:裏社会を描くにふさわしいキャストがそろい、不穏なムードを創出。悪に染まる主人公の目線で楽しめるが、中盤から「ハラハラドキドキする」サスペンスと怖さが加速しそう。クライマックスで池松とリリーが対立し、壮絶なつぶし合いのシーンが描かれれば注目を集めるだろう。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】

○『A LIFE〜愛しき人〜』 日曜21時〜 TBS系

出演者:木村拓哉、竹内結子、浅野忠信ほか
寸評:「失敗もする」「手術前のアプローチに時間を割く」コンセプトは、同じ外科医の『ドクターX』とは真逆。前提としてのプロットにご都合主義が見られる分、各話のエピソードを作り込んで感動を与えたいところ。心臓血管と小児外科が専門だけに、病状のシリアスさは申し分ない。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『大貧乏』 日曜21時〜 フジテレビ系

出演者:小雪、伊藤淳史、成田凌ほか
寸評:「貧乏でも悲壮感がないシングルマザー」という設定は現在の視聴者ニーズに合うが、「会社の陰謀を暴く」サスペンスとのバランスが難しい。母子ともに無邪気で感情の落差が少ない分、共感ムードは高まらず……。仕事で人生を切り拓くシーンがなければタイトルと合致しない。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】

○『視覚探偵 日暮旅人』 日曜22時30分〜 日本テレビ系

出演者:松坂桃李、多部未華子、濱田岳ほか
寸評:不可思議なムードを作る映像感覚は、堤幸彦監督ならでは。各話の事件解決に加え、「計画」をめぐるミステリーとしての奥深さも期待できそうで、「視覚を失うかも」という危うさも作品を盛り上げる。連発されるギャグが視聴者の集中力を削ぎ、感動を目減りさせているのが残念。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20〜25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。

(木村隆志)