この本は、私が15年間勤めた外資系コンサルティングファームで、働きながら得たノウハウをまとめた1冊です。「できるだけ短時間で高い生産性を発揮したい」という欲張りな方に向けて、今日から実践できる即効性の高いことについて書きました。(「はじめに ハイスピード×ハイクオリティ=望む人生」より)

『1時間の仕事を15分で終わらせる』(清水久三子著、かんき出版)は、このような解説文からスタートします。ちなみに、紹介されているノウハウの一例として挙げられている項目は以下のとおり。

・ITを駆使したペーパーレスで身軽なワークスタイル
・短時間で物事を深く広く考えられる思考法
・生産性を高める時間の使い方
・周囲の人たちを巻き込み、自分のプロジェクトをスムースに進めていくテクニック
・仕事のスピードとクオリティを保つためのコンディションの整え方
(「はじめに ハイスピード×ハイクオリティ=望む人生」より)

目的は、限られた時間内で最大の結果を出すこと。自分の時間をつくるためには、生産性を高め、仕事を短時間で終わらせることが不可欠だという考え方です。興味深いのは、その方法として著者が「4倍速仕事術」を推奨している点。そして、そのために重要な意味を持つのが、「ボトルネックの解消」なのだそうです。

ハイスピードを妨げるボトルネックを解消せよ


いうまでもないことですが、ボトルネックとはビンの首の細い部分。ビンの首は、内部の液体が少しずつ出るように細くなっていて、流れをせき止めているわけです。もともとコンピュータシステムの用語で、処理を遅くさせる要因のことを指すもの。仕事においても同様に、スムースな流れを妨げるボトルネックが潜んでおり、全体の効率を落として流れを遅くしてしまう要因となるというわけです。

だとすれば、仕事の高速化・高品質化を実現するにあたって最初にすべきことは、ボトルネックが自分の仕事のどこに潜んでいるのかを突き止めることであるはず。そのために有効な考え方が、仕事の大きな手順を示す「IPO」なのだそうです。

どんなに複雑に思えたとしても、大半の仕事は「インプット(Input:入力)」「プロセス(Process:処理)」「アウトプット(Output:出力)」という流れで進んでいるということ。やらない仕事/やるべき仕事を整理して、必要な情報やモノを揃えるのがインプット。情報や考えを処理・加工して形にするのがプロセス。それらをしかるべき人に伝えて成果に結びつけるのがアウトプットというわけです。

このシンプルに思える3つと、さらに「コンディション(Condition:体調)を加えて、仕事のボトルネックを見つけ出そうというのが著者の考え方です。ちなみにコンディションを加えているのは、気力や体力の維持・向上も生産性を大きく左右するものだから。

これが、基本的な考え方。次いでページをめくっていくと、インプット、プロセス、アウトプット、コンディションのボトルネックを探るためのチェックリストが登場します。

《インプット・ボトルネック》
□とにかく仕事は断らず、なんでも引き受ける
□自分が今どんな仕事を抱えているかを理解していない
□自分でなにをすべきかを決めるのが苦手
□発生した順に仕事を処理している(優先順位をつけていない)
□スケジュールのほとんどが会議で埋まる
□仕事で使うモノを探すのに時間がかかる
□デスクが資料や郵便物で山積み
(30ページより)

《プロセス・ボトルネック》
□ネットやスマホを見ながら仕事をしている
□仕事中に人に中断されて集中できない
□やらなくてはいけないことを後回しにしてしまう
□出社して「今日はなにをしよう?」といちいち考えている
□複数の締め切りを抱えていると、気持ちが焦ることがある
□毎回行き当たりばったりで結論を出す
□自分ではよく考えたつもりなのに「もっとよく考えてよ」と言われる
□「アイディアは量より質だ」と思っている
□いいアイディア、斬新なアイディアがなかなか出てこない
(30ページより)

《アウトプット・ボトルネック》
□やり直し作業や手戻り、追加の修正依頼が多い
□「まだできてないの?」と催促される
□メールの返事をなかなかもらえない
□報告や提案をしても手応えを感じられない
□自分が言っても通らなかった案を、他の人が言ったら通ったことがある
□「言ってることがよくわからない」と言われたことがある
□企画や提案の内容はいいはずなのに、なぜか反対される
(31ページより)

《コンディション・ボトルネック》
□イライラして集中できない
□慢性的に疲れている
□仕事のモチベーションやパフォーマンスに波がある
□体調管理のために何もしていない
□いつも漠然とした不安感がある
□一日の終わりに達成感や充実感が得られない
□自分なりの悩みやストレスの解消法を持っていない
(32ページより)

インプット、プロセス、アウトプット、コンディションのなかで、チェックがついた項目がいちばん多かった部分が、仕事のスピードを落とすボトルベックである可能性が高いと著者は説明しています。

具体的にいえば、インプットにチェックが多くついた人は、やることやモノがあふれかえっていて「詰まり」が起きている状態。プロセスにチェックが多くついた人は、仕事の進め方やアイディアの出し方が効率的、効果的にできていない状態。アウトプットにチェックが多くついた人は、上司や顧客などの期待をとらえられず「やり直し」に時間を奪われている容態。コンディションにチェックが多い人は、気力や体力にムリ・ムラがあり仕事のスピードを維持できない状態なのだそうです。

もちろん。複数にチェックがついている場合もあるでしょうが、まずは自分の生産性にブレーキをかけているボトルネックが、どのあたりに多いのかを把握すると解消しやすくなるといいます。(27ページより)


4つの力で生産性を爆発的に上げる


ボトルネックを解消し、ハイスピード、ハイクオリティを手に入れるために必要なのは、著者によれば「選択力」「処理力」「突破力」「持久力」の4つの力。

1つ目の「選択力」は、不要なモノやタスクを捨て、残った重要なものにだけエネルギーを集中させる力。やることが多すぎたり間違っていたら、いくら高速処理をしても徒労に終わります。また雑多で膨大な情報やモノは、スピーディな判断を鈍らせるため、仕事の初動が遅くなります。そこで、迷うことなく確信を持って1点に集中するためにも、やるべきことと必要なものを選択する力が必要だということ。

2つ目の「処理力」は、「時間」「習慣」「思考」を整えることにより、やるべきことをより速く、効果的に処理する力。思考を妨げるさまざまな誘惑を断ち、意識を目の前の仕事に集中させ、仕事の質を高めるわけです。

3つ目の「突破力」は、相手の期待に応えて、最短でYESを引き出す力。仕事は自分ひとりで完結できるものではなく、社外の人や上司の期待と合致しなければ、結局は無駄になってしまうもの。そのため、実行段階で不要な衝突を避け、自分の意見を確実に通すために突破力が必要だということ。

最後の「持久力」は、高い生産性を発揮するための土台となる、メンタルや体力を維持する力。忙しいと、生活習慣の改善や体力づくりを後回しにしがちですが、実は結果を出している人ほど、心身のメンテナンスに注力しているというのです。

ボトルネックを解消し、仕事を早く片づけられると、「アウトプットの質が上がる」「鮮度を価値にできる」「疲れにくい」「人間関係をよくする」「人生が濃くなる」というメリットがあると著者は主張しています。たしかに、パフォーマンスを向上させるためには意識しておくべきかもしれません。(34ページより)



以後の章では「選択力」「処理力」「突破力」「持久力」について、より具体的な解説がなされています。そこで紹介されているコツをつかめば、時間を有効に使えるようになれそうです。


(印南敦史)