Inc.:2017年1月23日、ドナルド・トランプ氏の大統領としての仕事始めに、ホワイトハウスには特別なゲストが何人かいました。デンバーポストの記者マーク・K・マシューズによると、イーロン・マスク氏も、大統領と副大統領のマイク・ペンスと会談した多くのビジネスリーダーのうちの1人でした。他には、デルの創業者マイケル・デル氏や、アンダーアーマーの創業者ケビン・プランク氏もいました。

およそ10分ほどの会談の中で、トランプ大統領は貿易や税金や規制について話し、「中産階級と中小企業のために税金は大幅に削減します。大幅にというのは、15〜20%の間にしようと考えています」と発言しました。

ロイター通信のホワイトハウス特派員のロバータ・ランプトンは、マスク氏がトランプ大統領のシニア政治アドバイザーであり、トップスピーチライターの1人であるステファン・ミラーと話している写真を投稿しました。

選挙結果がわかるまでの間、マスク氏は公然とトランプを批判しており、CNBCには「トランプ氏は大統領にふさわしくない」と言っていました。

昨年、2016年11月4日には、マスク氏は「トランプ氏はアメリカの評判を高めるようなタイプの人ではないと思う」と言っていました。また、ヒラリー・クリントンの経済と環境政策が正しいと信じている、とも付け加えていました。

その一方で、マスク氏とトランプ大統領は、アメリカの雇用を維持することなどで合意しているようです。現在ネバダ州に建設中のテスラ社のギガファクトリーは、すでに3000人の雇用を生んでおり、完成したら6500人を雇うことになるとのこと。また、テスラはニューヨーク州バッファローの工場で太陽電池を生産するために、パナソニック社とも取引しています。

しかし、マスク氏とトランプ大統領は気候変動に関してはかなり意見が異なります。テスラ社のミッションステートメントの大部分は、マスク氏が地球を救うことになると信じている、二酸化炭素排出量の削減です。テスラは最近、屋根に取り付けるソーラーパネルを販売する準備として、SolarCity社を23億ドルで買収しましたし、テスラ社のガソリンを使わない電気自動車は、1回の充電で200マイル(約322km)走ります。

一方のトランプ大統領は、石油や石炭の企業の税金を減らすことを約束し、気候変動は中国政府がでっちあげた作り話だと信じている、とかつて話していたことがあります。

新大統領は、企業の役員を苦しい立場に追い込むというパターンをすでに構築しています。彼は、ビジネスの決断を公然と報酬や罰にするのが好きです。たとえば、アメリカ国外に雇用の外注を計画していたものの、その一部を取りやめた経緯のあるCarrier社には、700万ドルの税制優遇をしています。一方、彼が提案した税率にボーイング社の役員が反対した時には、ボーイングに(オバマ大統領[当時]が)注文していた大統領専用航空機を「キャンセルする!」とツイートしました。Twitterを自分を批判する企業をバッシングするのに用いているのです。

2017年1月23日の朝に投稿された記事でRecode社を創業したカラ・スウィッシュ氏は、「アマゾンのジェフ・ベゾス氏などその場に呼び出されたテック系企業のリーダーは、トランプに采配をふるわせることを認めた」と言っています。2017年1月初旬、アマゾンは今後18カ月で米国内に10万人の雇用を生むという計画を発表しました。トランプ陣営のスポークスパーソンは「次期大統領はアマゾンの決断に影響を与えられたことをうれしく思う」と自分たちの手柄としました。明らかに、2017年12月のトランプ氏とテック業界のリーダーたちとの会合で、米国内の雇用を維持することを参照してそう言っているのです。

ベゾス氏は、少なくとも公然とは、トランプを支持も反対もしていませんでした。スウィッシュ氏は、「この沈黙は"政府の影響を受けている企業"である証拠だ」と主張しています。

最後になりますが、これまでのところテスラ社は、トランプ氏が大統領になったり、要求したりするかなり前から、猛烈な勢いで米国内に雇用を生み続けてきました。この10年で35000人の雇用を生んでおり、その大半はアメリカ国内です。トランプ大統領が、2014年に着工した電池の大量生産を始めるギガファクトリーを自分の手柄とするのはかなり難しいわけです。

マスク氏は公然とトランプ大統領に反対の立場を表明することになるでしょう。2016年11月にマスク氏が発表した2つ目のギガファクトリーの建設場所は、ヨーロッパになる予定です。


Elon Musk Meets With Donald Trump at the White House|Inc.

Kevin J. Ryan(訳:的野裕子)
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