GReeeeNの映画で兄弟を演じた松坂桃李と菅田将暉:「言葉を交わさなくても分かち合える」

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HIDE、navi、92、SOHという4人からなるヴォーカルグループ、GReeeeN。メンバー全員が歯科医で素顔や本名を明かさないことでも有名な彼らは、2007年のデビュー以来数々のヒットを打ち出し、中でもシングル『キセキ』は誰もが知る名曲として、現在も広い世代に歌い継がれている。

2017年1月28日に公開される映画『キセキ ―あの日のソビト―』は、その名の通りGReeeeNの軌跡と奇跡を描いた作品だ。グループの創始メンバーであるヒデ(HIDE)役の菅田将暉と、彼の実兄であり音楽プロデューサー・ジン(JIN)役の松坂桃李が作品の魅力や撮影の裏側を語った本誌掲載インタヴューの完全版。役と同時に音楽にも向き合った撮影期間が、彼らにもたらしたものとは。

―今回GReeeeNという実在のアーティストの物語ということで、役作りはどのようなことを意識されましたか?

菅田:まず、最初に桃李くんと僕とHIDEさんとJINさんでご飯会を開いてもらったんですけど、その時に見た2人の関係性がすごくいいなと思ったんです。JINさんの方がお兄ちゃんなのに、完全にHIDEさんがツッコミで。GReeeeNさんの実際のレコーディング風景も映像で見させてもらって、同じことでずーっと笑っていたり、すごく微笑ましいんですよね。きっとその楽しさが楽曲のグルーヴ感や青春感に繋がっているんだなと思って、そういった兄弟・メンバーの関係性をうまく出せたらと思いました。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―GReeeeNといえば姿を見せない謎のグループとして有名ですが、そういった一般的に実態があまり知られていない、だけど誰もが知っているという特殊な人物を演じるというのは、他の役を演じる時と何か違っている点や難しさがあるものなのでしょうか。

菅田:過去に実在の方の実写をいくつかやらせてもらいましたけど、それと同じような感覚ですね。難しいというより、むしろ知られてない方が見る側のイメージが固まっていないので楽です。難しかったポイントでいうと、ステージでOh, Ohイ辰堂里辰討い討皸穗卒兇里覆ぐ絣慇犬砲靴覆い箸い韻覆ったところ。最初に用意されていた衣装がチェックシャツにジーパンの、いかにも浪人生という感じだったんですけど、この格好であの曲は歌いこなさないだろうと思って、衣装もヒップホップとかストリートを感じるものに変えさせてもらいました。実際にHIDEさんが着ていたブランドのものを使わせてもらったり、そこはこだわりました。

―松坂さんは?

松坂:僕は、JINさんご本人にお会いした時に感じた、人を惹きつける感じというんでしょうか。JINさんの言葉って抽象的なんですけど、どこか説得力があるんです。例えば、ドを感じてパッと窓を開けたら、あ、来たなって思ったんですよ〜イ箸(笑)。何だか分からないけど聞き入ってしまう、独特の吸引力を持っている方なので、そこを上手く役に反映できればなと。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―今回それぞれにライヴのシーンや歌唱のシーンがあって、それも新たなチャレンジだったのではないかと思うのですが。

松坂:そもそも僕、ずっと歌は苦手だと事務所に言っていたんですよ。うちの社長はすごく歌が好きなのでゲ里錣覆い痢イ箸茲言われていたんですけど、そのたびにゲ里Δ海箸砲覆辰燭號榲に大変なことになるんで・・・イ函

菅田:パンドラ感あるなぁ(笑)。

松坂:今回のお話をいただいた時もゥ廛蹈妊紂璽機爾量鬚世らイ箸いΔ海箸如△泙,修譴覆藺臂翩廚世蹐Δ隼廚辰動き受けたんですけど、実際フタを開けてみたらいきなり冒頭から歌っていたという(笑)。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―そうは思えないほどハマっていましたよ。ライヴのシーンは誰かを参考にしたりしました?

松坂:参考にしたというわけではないけど、撮影の前にPay money To my Painのライヴ動画を見て、イ茲掘 やったるぞ!イ筏す腓い鯑れていました。あと、JINさんがそのシーンの時に付いてくださって、彼の魔法の言葉によって上手く乗せられながら(笑)。歌ってお芝居とはまたちょっと違った、誤魔化しが効かない感じがあるじゃないですか。グリーンボーイズ(劇中で菅田が組んでいるグループ)の完成した歌を聴いた時も思ったんですけど、それぞれの素質とか生き方や人間性が歌には全部出るんだなって。それは、歌う側に立ったからこそ分かったことなんですけど。

―菅田さんも歌唱シーンが多いですよね。何か心がけたことなどありますか?

菅田:今回の役を演じるにあたって、多分人生で初めてひとつの曲をちゃんと突き詰めて聴きました。今まではメロディしか聴いていなかったけど、そこにはドラムの音とかベースの音も当たり前に入っているわけじゃないですか。特にGReeeeNさんの曲にはコーラスも含めていろんな音が入っていて、あんなに爽やかでキラキラしているのに実は結構えげつない音の取り方をしているところとかあって、そういった楽曲の本質が見えてくると、やっぱりこの曲を作っているのはJINさんなんだな、と改めて思いました。というのも、最初にお会いした時、楽曲のイメージとのギャップがすごくあったんですよ。

松坂:あったね(笑)。第一印象は、恐そうな人だと思った。

菅田:喋ると全然雰囲気が違っていて、すごくピュアなんです。まさに、GReeeeNの楽曲通りの方でした。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―面白いですね。歌のテクニックという部分では、どうでしたか?

菅田:口の中に当てる音をもう1個上に変えてとか、ここはもっと愛しく歌ってとか、そういう普段お芝居でやっているような細かい表現を音楽という形で初めてやって、自分の中で何かが開けた感じがしました。今までの人生にはなかったところを刺激されたんです。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―今作は音楽面のほかにも人間関係の描写がリアルで面白いところだと思うのですが、特にお2人が演じた兄弟のやり取りがすごく印象的でした。

松坂:実は今回、そんなにセリフの掛け合いをしていないんです。でも、兄弟って言葉はなくても通じ合える瞬間があるじゃないですか。この映画で言うと、兄弟喧嘩した後、ヒデがジンの部屋に戻ってきた時。ガチャッとドアを開けると目が合うだけで、何も言わなくても分かるという。それがすごく素敵だなと思いました。お兄ちゃんとか弟とか、そういう存在がいたことがないので、兄弟ってこういう感じなんだなぁって。

―一人っ子ですか?

松坂:姉と妹がいます。姉妹に挟まれた真ん中なので、兄弟らしい遊びとかしたことないんです。姉と妹が仲良く買い物に行っている中、僕は一人でコロコロコミックを読んでいるような(笑)。だから、兄弟特有の関係性というか空気感に憧れがありましたね。

―菅田さんは、ご兄弟は?

菅田:僕は弟が2人います。

―実際はお兄さんなのに弟役を演じるのって、不思議なものですか?

菅田:それが、弟役を演じることが結構よくあるんですよね。これって多分デ侏コΔ△襪△譛イ覆鵑任垢韻鼻弟キャラっぽい人の方が実は兄で、兄っぽいクールな人の方が実は弟だったりする。

―へぇー、何故ですかね。

菅田:芸能界ってどこか二面性が必要なんじゃないでしょうか。人前に出る時は明るいけどプライベートは物静かだったり、その逆もあったり。本来の自分じゃない自分の方が戦いやすいというのもあって、本来とは違った顔になっていくんだと思います。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―なるほど。ところで、この2人の共演って今までもあったんですか?

松坂:同じ作品に出ていたことはあったけど、ガッツリ共演というのは『王様とボク』以来だから多分5年ぶりくらい。その間、お互いがいろんな現場を経験して、こうして時間空けてまた同じ現場で一緒になって、やっぱり彼には刺激もらえるなと思いました。

菅田:桃李くんは、僕の中での唯一変わらない距離感というか関係性の人で。それはやっぱり同じ事務所でデビュー時期も近かったりとか、そういうところも含めて俳優、役者として以上の何かを勝手に感じています。だから、最初に桃李くんと兄弟役って聞いた時、すごく腑に落ちる感じがあったんですよね。2人の兄弟という画もすぐにイメージできたし、さっきも少し話に出ましたが、言葉をあまり交わさなくても分かち合えるものがある相手だと思ったんです。

松坂:その感覚にすごく助けられたね。自分がこう行ったら相手はこう来るだろう、みたいなものがお互いある程度読み取れるし、その辺は関係性を1から作らなくてもよかったので。

菅田:桃李くんとは初対面の頃からそんな感じだったよね。うちの後輩の杉野(遥亮/ソウ役)だったらきっと一生築けない関係ですよ(笑)。

松坂:そんなこと言うなよ(笑)。

―そんな2人の空気感が一気に張り詰めた兄弟喧嘩のシーンも今作の見どころだと思うのですが、このシーンの撮影はいかがでしたか?

松坂:あれこそ本当に『王様とボク』以来の感覚を覚えたな。気づいたら終わってた。

菅田:『王様とボク』の時はテーブルをはさんで向かい合わせにナポリタンを食べるだけのシーンだったんですけど、お互いに何故か演じている時の記憶がなくて。今回の喧嘩のシーンも、まさにそんな感じだったんです。文字にしづらくて申し訳ないんですけど(笑)。

―それほど集中して、入り込めていたということですかね。そして、最後はこの映画最大のポイントとなる、夢と現実のはざまでヒデとジンがどのような選択をするのか、というところへと話が進んでいきます。映画の中に限らず、こういった話ってよくあるじゃないですか。でも、実際は現実的な問題で夢を諦めてしまったり、妥協せざるをえないことが多いと思うんですよね。

菅田:そこでGReeeeNさんがすごいのは、二兎を追うものが二兎を得ているところだと思うんですよ。好きなことと現実的な仕事、その両方を諦めず結果的に両立できているわけで。さらに、それが両親のことを一番に考えた選択というのも素晴らしいし、希望を感じますよね。


(C) 2017「キセキ あの日のソビト」製作委員会

―両方を手に入れるのは容易いことではないですからね。普通だったら、どちらか一方を選ぶでしょうし。

松坂:でも、どちらか一方を選んだとしても間違いではないんですよ。この作品は一見すると若い子向けだと思われがちですけど、僕は大人の男性にこそ見て欲しいと思っていて。夢に折り合いをつけて別のところに居場所を見つけた人って結構多いと思うんです。この間、撮影の時に元メジャーリーガーの人がロケバスの運転手をしていたんですけど、きっとその人もどこかで夢に折り合いをつけたわけで、それはその人自身が下した決断だから、思い描いていた姿と違っていたとしてもけっして間違いではない。この『キセキ〜』という映画は、夢を追いかけている人だけではなく、そうやってかつての夢と違った道を選んだ人をイ修譴任いい鵑世蕣イ塙猟蠅靴童絏,靴靴討れる、そんな作品だと思います。


写真左:松坂桃李 写真右:菅田将暉 Photograph by Tsukasa Kubota

TORI MATSUZAKA
松坂桃李 1988年10月17日、神奈川県生まれ。『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビュー。『ツナグ』『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』『今日、恋をはじめます』(12)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その他の主な出演作は『僕たちは世界を変えることができない。』(11)、『マエストロ!』『日本のいちばん長い日』『ピース オブ ケイク』(15)、『真田十勇士』『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)など。2017年1月スタートの連続ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』(NTV)で主演。

MASAKI SUDA
菅田将暉 1993年2月21日、大阪府生まれ。『仮面ライダーW』(EX)で俳優デビュー。『共喰い』(13)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の主な出演作に『王様とボク』(12)、『そこのみにて光輝く』(14)、『明鳥』(15)、『ピンクとグレー』『暗殺教室-卒業-』『ディストラクション・ベイビーズ』『二重生活』『溺れるナイフ』『デスノート』『何者』(16)など。2017年は『帝一の國』『銀魂』『あゝ、荒野』が公開待機中。

『キセキ ―あの日のソビト―』
監督/兼重 淳
出演/松坂桃李、菅田将暉ほか
2017年1月28日(土)より全国ロードショー
http://kiseki-movie.com/

松坂桃李&菅田将暉写真
Photograph by Tsukasa Kubota
Styling by Shogo Ito (sitor)
Hair & Make-up of Matsuzaka by Koichi Takahashi (Nestation ), Suda by INOMATA (&s management)

ライダースジャケット¥129,000 セヴシグ(スタジオ ファブワーク Tel 03-6438-9575)、Tシャツ¥7,800 ヴィンテージ(ラボラトリー / ベルベルジン(R) Tel 03-5414-3190)、パンツ¥17,000 ブフト(HEMT PR Tel 03-6427-1030) 以上松坂分、トラックジャケット¥7,800 ヴィンテージ(ラボラトリー / ベルベルジン(R) Tel 03-5414-3190)、カットソー¥11,000 トーガ ビリリース(TOGA 原宿店 Tel 03-6419-8136)、パンツ¥28,000 ヨシオ クボ(ヨシオ クボ Tel 03-3794-4037) 以上菅田分