まだまだ生まれたばかりのスリランカサッカー。育成ビジネスの商機も

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 いま、アジアサッカーが熱い。東南アジアや中国、インドなどの新興国でサッカーが爆発的な人気を博してきており、その経済規模も日本サッカーを凌駕するものが出てきている。サッカーのレベルも徐々に日本や韓国などの強豪国に近づいてきており、色んな意味で無視できない存在となってきている。

 しかしながら、まだまだアジアの小国においては世界の舞台からかけ離れた地域も存在する。東アジアだと、香港やマカオ、台湾などの中華圏地域や、グアム、サイパンのように国家からは独立したような形でサッカー協会が存在し、「地域」としての代表チームが存在する。また、インドはようやくサッカー人気が出てきたが、スリランカやパキスタンなどの南アジアはまだまだクリケットの人気が高く、サッカーはいまだ不毛の地とも言える。

 2015年5月に行われたロシアワールドカップ予選1次ラウンドで、当時FIFAランキング最下位のブータンに歴史的勝利を許し、スリランカ代表は早々にワールドカップへの道を閉ざされた。

◆FIFAランキングは195位と過去最低

 試合後、セルビア人監督を解任し、代表選手たちも若い選手たちへと一新された。

 しかし、2015年12月インドで行われた南アジア選手権でネパール相手に勝利を挙げたものの、今日まで8戦1分け7敗と下降の一途をたどっている。2016年11月にマレーシアで行われたSolidarity Cupではラオス(当時FIFAランキング175位)とモンゴル(同202位)に苦杯を喫し、既に予選突破を決めてメンバーを落としてきたマカオ(同196位)に引き分けに持ち込むのが精一杯であった。現在FIFAランキング195位と過去最低に位置している。

 そんな代表選手達がプレーするのがスリランカのトップリーグの「チャンピオンズリーグ」である。今年は「アジアの渡り鳥」の異名を持つ伊藤壇選手がコロンボFCの一員としてプレーした。このリーグは18のチームを9チームずつの2つのグループに分け、各グループ内で総当たり戦を行い、それぞれのグループ上位4チームの計8チームが決勝ラウンドであるスーパーエイトと呼ばれるプレーオフに進出する。この決勝ラウンドでは8チームが総当たりのリーグ戦でチャンピオンチームを決める。

◆アフリカ人に牛耳られているスリランカリーグ

 Army、NavyやAirforceといった軍関連のチームがある一方、先に挙げたコロンボFCのようにExpolankaという国内大手の物流会社がスポンサーとなっているチームもある(このExpolanka社には日本の物流大手でもある佐川急便の資本が入っている)。

 多くのチームにはナイジェリア人やカメルーン人といったアフリカ人が所属しており、各チームの中心となるポジションにはアフリカ人が陣取り、リーグは彼らに依存しきっているとも言える。

 このチャンピオンズリーグの下にはプレミアリーグDivision1、Division2といった2部3部に相当するリーグがある。これらのチームには在留日本人も数人所属している。いくつかのチームは育成年代のアカデミーを有しており、無償でグラスルーツ・ユース年代の選手の練習を行っている。昨年には富裕層を対象としたアカデミーが設立され、在留外国人や裕福なスリランカ人の子どもが所属している。

 しかし、アカデミーを有しているのはコロンボのような大都市にあるチームの、それもほんの僅かである。

 グラスルーツ・育成年代の大会はSchool Football Associationという教育省管轄の組織によって行われる(スリランカサッカー協会はスポーツ省所属)。

◆サッカーアカデミー創設で未来に賭ける

 しかし、コロンボ以外では日本でいうところのインターハイや全国高校サッカー選手権のような大会しか定期的には存在しない。ゆえに多くの選手が学校のチームに所属している。しかし、学校のチームは大会の数週間前から練習を開始するために、大会がない期間には練習が止まってしまう。このような時期には子供たちは自分の村の大人のチームに混ざってプレーをする。この育成年代へのアプローチの悪さが現代表の下降を物語っている。

 この事態を打開するために、2017年1月よりスリランカサッカー協会によりサッカーアカデミーが開校されることになった。

 初めに北部州のジャフナにて開校される。その後に、西部州コロンボ・ウバ州バドゥッラ・サバラガムワ州ハットン・南部州マータラの計5校が開校される予定である。このアカデミーではグラスルーツの子どもたちからU-18の選手までが、サッカー協会により任命された常勤コーチによる指導を受けることになる。

【アジアサッカー研究所】
東南アジアを中心としたアジア新興国と日本およびアジアの国々のさらなる発展のために、各国の取り組みをリサーチし、関係者に共有し、さらなる価値を創造していくことを目的として、人材開発とコンサルティング分野など、日本とアジアのサッカー交流を加速させるプロジェクトとして活動している。http://ja.ifaf.asia/