LPGAツアー(米女子ツアー)の2017年シーズンがいよいよ開幕する。初戦は、ピュアシルク・バハマ(1月26日〜29日)。世界有数の高級リゾート地、バハマ・パラダイスアイランドで行なわれる。

 日本勢のなかで注目は、何といっても今年ルーキーとして参戦する畑岡奈紗(18歳)。昨季、アマチュアながら日本女子オープンを制した逸材だ。

 昨年12月に行なわれた米女子ツアーの最終予選会では、3日目までトップを独走。最終日に崩れて順位は落としたものの、前日までの貯金が生きて14位タイ(優先順位は18番目)でフィニッシュ。20人までが得られる今季の出場権を見事に獲得した。

 試合後、畑岡は「改めてゴルフの厳しさを知りました」と、まずは反省の弁を述べたが、米ツアー参戦という夢をつかんで、その舞台に思いを巡らせるとすぐに瞳が輝いた。

「アメリカで戦うには、もちろん(大事なのは)飛距離。あとは、やっぱりグリーン周りのアプローチをいかに寄せられるかだと思います。オフにはトレーニングを重点的にやって、2017年シーズンの目標は賞金ランク80位以内に入ってシード権を確保すること。そして、できれば1勝したい」

 そして迎えた2017年シーズン。畑岡は、開幕戦で無事にデビューを飾ることになる。

「無事」と記したのは、出場できるかどうかの確約がなかったからだ。米女子ツアーの2017年シーズンは、全34試合(メジャー5大会を含む)が開催されるが、各試合に出場できるかどうかは、その選手の持つ"優先順位"で決まる。

「プライオリティーリスト」とも呼ばれるこの優先順位は、1〜21のカテゴリーに分けられていて、第1の優先は前年度の賞金ランキング80位以内、2番目が生涯獲得賞金のトップ20、3番目がメジャー勝者と続いて、畑岡が持つ最終予選会の合格者(20名)はなんと12番目のカテゴリー。さらに畑岡は、その20人の中で18番目となる。

 ゆえに、上位のカテゴリーで優先される選手がこぞって試合に出場した場合は、畑岡まで出場の権利が回ってこない。特に日照時間が短い冬場の試合は、出場人数が制限されるため、なおさら出場できない可能性が高まる。厳しい予選会を戦って得た権利でも、まだまだ厳しい現実が待ち受けているのが、米女子ツアーなのだ。

 今回のバハマでの開幕戦のあとは、再び2週間のオープンウィークとなる。そうした状況にあって、特にトップクラスの選手たちは本格的にツアーが始まるまでゆっくりとオフを過ごすため、開幕戦を欠場することが多い。おかげで今回は、畑岡も"無事"に出場できることになった。

 ちなみに、もし畑岡まで順番が回ってこなければ、一昨年の横峯さくら(31歳)のように、彼女もマンデー予選会から挑戦することになっただろう。

 では、畑岡は今季、ずっとこの立場(カテゴリー12番目の優先順位)でいなければいけないのか。実は、そうではない。米女子ツアーでは「シャッフル」あるいは「リランキング」と呼ばれる優先順位の入れ替えがシーズン中に何度かある。

 今季の1回目は、4月末に開催されるテキサス・シュートアウト(4月27日〜4月30日/テキサス州)のあとに行なわれる。そこまでに獲得した賞金が80位以内に入っていれば、「今季の賞金ランキング80位以内」という8番目のカテゴリーへとジャンプアップすることができる。

 逆に言えば、それまでに確実に賞金を得ていないと、試合に出場できない可能性がさらに増す。畑岡にとっては、序盤戦の戦いはかなり重要なポイントとなる。

 開幕戦のピュアシルク・バハマに続いて、オーストラリアで開催される第2戦のオーストラリア女子オープン(2月16日〜19日)もおそらく出場できる見込み。畑岡としては、この2試合で確実に賞金を積み重ねて、次のステップへと進んでいきたいところだ。

 さて、この1月に18歳になったばかりの畑岡。アメリカでは、彼女のことはどんなふうにとらえられているのだろうか。アメリカのゴルフ雑誌の記者はこう語る。

「畑岡は(アメリカでは)無名だが、最終予選会で彼女のプレーは見たよ。体は大きくないが、非常に力強いショットを打っていたのが印象的だった。その飛距離は、この米ツアーで戦うには十分。あとは、小技を磨けば、上位で戦えるだろう。

 ティーンエージャーは、今や米女子ツアーの主流。昨季も、リディア・コ(19歳/ニュージーランド)やブルック・ヘンダーソン(19歳/カナダ)ら、10代の選手がメジャー大会を制してどんどん活躍している時代。畑岡も日本でナショナルオープンを制した。そこで自信もつけただろうから、新たなティーンの登場として期待している」

 やはり、最終予選会でのプレーぶりは、アメリカでも大きな話題となったようだ。今季は、注目ルーキーとして迎えられることだろう。

 畑岡は昨年4月、まだアマチュアだったときに、1度だけ米女子ツアーに出場している。サンフランシスコ郊外で開催されたスウィンギングスカート・クラシックである。その際も見事予選を突破。最終的には50位タイでフィニッシュした。

 また、そのときの平均飛距離が252.75mだった。米女子ツアーの1年間の平均スタッツでみると、おおよそ80位に相当する。決してロングヒッターとは言えないものの、十分に戦える飛距離であることは間違いない。さらにトレーニングを積んでいることを思えば、その飛距離はさらに伸びているだろうから、楽しみは膨らむ。

 今週のバハマのコースは、美しい海沿いのホールもある。リゾートコースではあるが、ひとたび風が吹くと、それはかなり厄介なハザードとなる。その難コースで、18歳のルーキーがどんなプレーを見せてくれるのか。

 日本期待の畑岡奈紗。その初陣に注目である。

武川玲子●文 text by Takekawa Reiko