コスモポリタン アメリカ版によると、アメリカ女性の57%が学士号を取得していながら、コンピューターサイエンスの分野における資格保有者は全体のわずか18%。また、労働人口の59%が女性だというのに、コンピューターや数学の分野で働く女性の割合は、1990年〜2013年の間に35%から26%にまで減少しているのだとか。有名企業で商品開発などの特別な技術職についている女性の割合は、さらに低いそう。

IT系メディア企業<CNET>の調査によると、グーグルやFacebook、マイクロソフト、Twitterで技術職に就いている女性は全体の20%以下で、Twitterのテクニカルスタッフのうち、女性はわずか10%というデータも。

現在では女性の技術職を増やすための取り組みは増えているものの、課題は数字の問題だけにとどまらないよう。シリコン・バレーで働く200人以上の女性を対象に行った調査では、実に84%が周囲から「強引過ぎる」と言われた経験があったり、88%が「自分が担当する案件について、クライアントが男性社員にだけ質問を送っていた」ことを発見したり、60%が望まない性的な誘いを受けたと回答。

けれども、こうした残念な調査結果にもかかわらず、100万人以上の女性がテクノロジーの世界で働き、彼女たち自身のコミュニティを作りながら、女性をめぐる偏見と日々闘っているのも事実。その中の6人の女性から、職場での女性蔑視や性差別、プレッシャーにどう対処しているのか、話を聞きました。

ローズ・アフライさん 

(低所得者向け社会サービス情報サイト<MRelief>共同設立者/イリノイ州、シカゴ在住/32歳)

「子どもの頃、技術職の女性について耳にしたことはほとんどありませんでした。特に、黒人の女性は(※アフライさんは黒人女性)。例えばビル・ゲイツは、誰もが何度でも口にする名前です。でも、女性で(特に黒人では)それほど有名な人はいません。

テクノロジーの世界で女性設立者であることは、リスクの大きいことです。例えば、政府からの受注や多額の助成金の申請をする際、唯一の女性であったりすると、自分の行動が女性全般に及ぼす影響を考えざるを得ません。私の会社は、人々が社会サービス(例えば、食事の配給など)を受ける資格があるかどうかを簡単に検索できるプラットフォームを提供しているのですが、主要な助成金や受注には、時間どおりではなく、必ず前もって申請するようにしています。テクノロジー業界は女性が少なく、黒人女性はさらに少ないので、成功も失敗も目立ちます。間違える余裕はないんです」

自分の行いが女性全員に影響するというプレッシャーはあります。

「そうしたプレッシャーはありますが、今のところ私のキャリアは順調です。全体として見れば、この業界にはまだ改善すべき点があると思いますが、私自身は最初からこの業界にあたたかく迎えられた気がします。

私と設立仲間は<Chi Hack Night>イベント運営組織で一緒に働き始めたのですが、このイベントはシカゴで毎週行われていて、市民の役に立つ技術を学んだり、シェアしたり、ともに作り上げていくことを目的としているので、会社はとても進歩的な雰囲気の中で生まれました。私たちは女性だけで起業しましたが、男性も働いていて、皆で価値観やヴィジョンを共有しています。進歩的な空間を作るためには女性しかいない方がいいとは思いませんが、ともに働く以上、男性は女性に対して平等に接するべきだと思います」

パトリシア・アーボーナさん 

(疾病予防プログラムサービス<Omada Health>のソフトウェア・エンジニアリング・インターン/カリフォルニア州、サンフランシスコ在住/24歳)

「私の技術職としてのキャリアは、女性だけのプログラミング訓練キャンプ、<Hackbright>に参加したことから始まりました。男性たちの起業文化にはどうしてもなじめそうになかったので、女性にとって望ましい文化を備えた会社やスペースを探しました。私は<Double Union>の1員なのですが、これはサンフランシスコにある、フェミニスト・コンピューターマニアのためのコミュニティスペースです。ベイ・エリアに移る前はオハイオに住んでいたのですが、そこには技術職の女性のための集まりはありませんでした。でも、世の中には素晴らしいオンラインコミュニティもあって、<Women in Technology>、<WeAllJS>、<LGBTQ in Technology>などがそうです。

でも、女性に対する偏見は根強いものです。女性であるがゆえに見下され、技術力がないと思われた友人もいます。エンジニアとしてではなく、"メモをとるために会議に来た人扱い"されたという女性たちの話も何度も聞きました。

面接官や会社の人と会う前に、私は必ずその会社にどれぐらい女性がいるか確かめます。面接では、いくつかの質問をしてみることで、その会社の女性に対する姿勢が見えてきます。例えば、チームで行う仕事や育児休暇についてなどです。当面子どもを持つ予定はなくても、こういう質問をした女性も知っています」

ナディア・バジュワさん 

(ソフトウェア企業<Thirdwave, LLC>のフロントエンドデベロッパー/イリノイ州、シカゴ在住/27歳)

「私が育ったパキスタンでは、一家に1台しかパソコンがなくて、動作も重かったんです。だからこっちに来たときは、自分が遅れをとっている気がしました。女性としてこの業界にいるだけで道を開いているとは、思いもしなかったんです。

技術部門に入ると、自分がしばしば女性として見下されていて、まるで何も知らない人のように扱われていることに気づきました。女性というだけで私は他より目立つし、自分自身も知らないことがあるのを気にしていたからです。男性は私より自信たっぷりに大声でしゃべっていて、私はいつも劣等感を抱いていました。プログラミング能力は性別と関係ないとわかっていても、もし自分が白人男性だったらずっと楽だっただろうな、と考えてしまうこともあります。でも、仕事で実績をあげ、自信をつけてきた今では、前ほどそんなふうに感じることもなくなってきました」

もし自分が白人男性だったら、ずっと楽だっただろうな、と考えてしまうこともあります…

「技術職の女性だけのプログラミングイベントやランチ会などがあることで、男性たちと言い争いになったこともあります。彼らはなぜ女性にだけそういうものがあるのかと憤慨しているんです。おそらく、この業界に男性と同じぐらいの割合で女性が参入したときには必要がなくなるでしょうけど、今はまだこういう場が必要です。男性が悪いから排除しているわけではなく、必要とする人々のための支援グループを作ろうとしているだけなんです」

アイーシャ・ボウさん 

(仕事検索サイト<STEMBoard>CEO、創立者/ワシントンD.C.在住/31歳)

「私が化粧をして着飾っていると、多くの人々は女優か、モデルか、先生だと思うようですが、誰もエンジニアだと言い当てる人はいませんでした。私がNASAにいたときでさえ、管理スタッフと間違えられたものです。会議に出席しようと部屋に入ったら、1人の男性にコーヒーを頼まれたこともあります。

私の同僚の男性たちは、私がエンジニアであることをグループのメンバーに紹介し、仕事の内容を説明してくれるようになりました。平等な職場を作るには、男女両方の協力が必要だということがわかります。

私がソフトウェア・ハードウェア・ソリューションを政府や民間企業に提供する会社を始めたとき、まだ夫も子どももいないうちから、どうやって家庭と両立するつもりだと聞かれました。資金を提供したり、融資したりするパートナーも決して見つからないだろうと言われ続けました」

会議に出席しようと部屋に入ったら、1人の男性にコーヒーを頼まれたこともあります。

「人の前に立つのはとても難しいことです。拒絶されても、その理由ははっきりとはわからないのです。私が黒人女性だからあんなことを言ったのだとは言いませんが、確かなのは、反応が驚くほど否定的だったことです。そして、あるデータは、私の経験が偶然でないことを裏付けています。これによると、アメリカ合衆国では、外部から100万ドル(約1億1,000万円)以上の資金提供を受けた黒人女性はたったの11人しかいないというのです。これはひどい数字です。

会社を興す前は、学校に行って子どもたちにエンジニアになることについて話したり、エンジニアのイメージを絵に描いてもらったりしました。その際、茶色いクレヨンを手にとる子は1人もいませんでした。あまりにイメージが深く心に染みついているのでしょう、彼らにとってエンジニアとは、白衣を着ている白人男性なのです。このイメージを変えない限り、どうやってこの業界への希望者を増やすことができるでしょう?」

技術職女性6人が語る!テクノロジー業界の実情

ティアナ・エップス=ジョンソンさん 

(行政テクノロジーサービス供給団体<Center for Technology and Civic Life>創立者、エグゼクティブ・ディレクター/イリノイ州、シカゴ在住/30歳)

「この業界に入ってまだ日が浅い頃、会話の席でよく男性の同僚が男性同士で話したがり、私を仲間はずれにしようとすることがありました。私が彼らの上司である場合でも、です。ある人は、私と同じ共同設立者の男性に対して、『あなたの技術力は本当に高いですね』と言ってから、私に向きなおってこう言いました。『あなたは…別のことで高い能力を持っているんですね』と。実際は、同僚がやっていた仕事の多くは私がそれ以前にやっていたものでした。ですから、彼はこんな風に返しました。『いやぁ、APIが何か僕に説明してくれたのはティアナなんだよ。だから僕が優れているのは、優秀な人から学ぶことにおいてだね』。最近ではこういうことはあまりありませんが、それはここ数年同じ人々と同じ組織で働いてきたからだと思います。

また、とても魅力的な仕事の話が舞い込んだときに、席を外すよう頼まれることもあります。有色人種の人々にとってもう1つの試練は、会議に出席すると、仲間を支援してくれるような有色人種の人々が重要なポストにはほとんどないということ。そのため、私は時間がなくてもできるだけゲストスピーカーとして出席するようにしています。有色人種の女性として技術について話す立場にあることは、非常に貴重なことだと知っているからです」

ジュリアン・チューロさん 

(オープンソース・ソフトウェア&サービス・プロバイダー<Red Hat>ソフトウェア・エンジニア/ノースカロライナ州、ラリー在住/25歳)

「この業界はとてもカジュアルなので、あまりフェミニンな格好をしないようにしようかと思っているところです。本当はかわいい格好が好きなんですけど…。ワンピースを着たり、フルメイクをしたら、まともに扱ってもらえなくなる気がします。先日、会議の席に、かわいいセーターを着ていきました。他の男性たちはTシャツとジーンズだったので、自分がオシャレし過ぎで、フェミニン過ぎるような気がしてしまって…。誰も何も言いませんでしたが、私はジーンズとTシャツを着て、溶け込む努力をかなりしてきました。自分が何か間違えると、それが"女性だから"だと思われるのがいつも心配なんです。

私はコンピューターエンジニアリングを大学で専攻していたんですけど、バーで男の人と話すと、『ウソだ、そんなわけ(エンジニアなわけ)ない』って言われるんです。誰も信じてくれませんでした。

ただキャリアにおいては、これまで良いことしかなくて、性差別的なことは何も経験していません。とても同僚に恵まれているんだと思いますが、自分がうまくできるかどうかというプレッシャーはあります。女性には能力がないとか、向いていないから女性の技術職が少ないんだと思われたくないんです。だからこそ何か間違えると、自分が女性だからだと思われないか気になるんです。自分が女性全員の代表になっているように感じることがあります」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US