「EKIDEN NEWS」主宰者の西本武司氏

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 大学駅伝シーズンを通して、本誌で最新情報をレポートしてきた陸上長距離専門ウェブメディア「EKIDEN NEWS」主宰者の“博士”こと西本武司氏と、マラソン解説で数々のトリビア情報を紹介する増田明美氏(スポーツジャーナリスト)との対談が実現。箱根駅伝は王者・青学大の3連覇で幕を下ろしたが、2人はどこに注目したのか?

──増田さんは今年の箱根は沿道で観戦を?

増田:夫婦で(1区の)増上寺の前で観ました。今年はわざわざピンクと黄色の目立つウェアを着て、テレビで映った時に見つけやすいようにして。

西本:箱根はそういう楽しみ方もできますよね。僕は山登りの5区、大平台の手前あたりを走って登っていたら、5000m日本記録保持者・大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)のご両親とばったり会ったんです。「息子と孫が、米国で箱根の中継を見ているから、ここで映って元気な姿を見せようと思って」と話していました。そんな使い方もできるのかと(笑い)。

──結果としては青学大の圧勝でした。

西本:今季マスコミに登場し続けた青学大の原(晋)監督の車が通ると、沿道は大盛り上がり。青学の選手は走りやすかったと思う。

増田:さすが人気者。

西本:対照的だったのが昔からの早稲田ファン。「追いかけろ」「お前はこんな後ろを走っている場合か」と“叱咤”ばかり(苦笑)。あれだと選手は萎えます。

増田:原監督は今どきの選手のツボをわかっている。褒められると調子に乗る性格の3区の秋山さん(雄飛、4年)を事前にはあまり褒めず、当日の勝負所で「お前は湘南の神になる!」と。あの一言でご本人は張り切ったでしょう。

西本:それを聞いた途端、長距離選手ではありえないタテ方向の大きな腕振りを始めましたからね!

──増田さんは全日本大学駅伝で、選手に並走する「監督バス」に乗り込んで突撃レポートをしていました。

増田:あのバスに乗るのは本当に緊張するんですよ。車内ではテレビ中継をつけながら、ラジオの音声を流しているんですが、ライバル校同士の監督が隣り合わせで画面を見つめている。

西本:あのピリピリ感の中に入るのは普通、無理です。

増田:本当に監督さんたちも鬱陶しいでしょうね。でも、テレビ向けにしゃべってもらわないと私も困る。だから53歳の“おばさん力”でぐいぐい接近してマイクを向けちゃう。30代ではできなかったと思いますよ。

西本:その渾身レポートのおかげで、監督たちの戦略がダダ漏れでした(笑い)。

増田:でも、本当に監督さんたちは個性的で面白い。山学大の上田(誠仁)監督みたいに「哲学」を語ってくれる方もいれば、“漢(おとこ)だろ!”の檄で有名な駒澤大の大八木(弘明)監督もいる。大八木さんは、会津弁で話すのに、持っているセカンドバッグがルイ・ヴィトンだったりして、あのちぐはぐさが面白い。

西本:なんとも言えないマイルドヤンキー感ですよね! 僕らオタクは、あの監督バスで、誰がどの席に座ったかだけで盛り上がれる。去年はスタート直後、大八木さんが「指定席」のはずの最後列左側の席でなく、そのちょっと前の席に座った。それだけでコアなファンのSNSは“なぜだ!?”と大盛り上がり。増田さんには次回はぜひ、監督バスの「席次表」の変化をツイッターで実況中継してほしいんです。

増田:いいですね! それ、やりましょう。

●ますだ・あけみ/1964年千葉県生まれ。スポーツジャーナリスト。私立成田高校在学中、長距離種目で次々に日本記録を樹立し、1984年ロサンゼルス五輪に女子マラソン代表で出場。1992年に現役引退し、解説者として数々のレースに携わる。

●にしもと・たけし/1971年福岡県生まれ。「駅伝ニュース」主宰者。本業はコンテンツプロデューサー。ツイッターアカウント名は「公園橋博士」、相棒のマニアさん(アカウント名「@EKIDEN_MANIA」)とともに全国の長距離レースを観戦。

※週刊ポスト2017年2月3日号