昨年とにかく世間を騒がせた話題といえば、「不倫」。女子同士のトークも、30代になると愛だ恋だより、不倫で泥沼、不倫で離婚といったダークな話題が増えてきます。アディーレ法律事務所の篠田恵里香(しのだ・えりか)先生によると「独身女性が既婚男性と不倫した場合、痛い目を見るのは自分だけ!」とのこと。

実際に不倫で払う代償を考えれば「禁じられた二人の恋」なんて甘いこと言ってる場合じゃないんです! これを機に、不倫をすると一体何が違法になるのか、どんな罰が待ってるのか知っておきましょう。

<今回のポイント>
【1】不倫は何がいけないの?
【2】結婚してるって知らなかった! それでも責任はある?
【3】不倫が会社にバレたら解雇されちゃう!?

【登場人物】

エリカちゃん(永遠の30歳)
「六法全書」の妖精。本名はオピストコエリカウディア・スカルジュンスキィ。辛口で正論をバシバシ言うが、困っている人は放っておけない姉さんキャラ。神様から派遣され、困っている女性のリーガルマインドを鍛え直している。

ヨシノ(32)
保険会社で営業をしている32歳。勝気でサバサバした姉さんタイプだが、恋人には意外と乙女で尽くしちゃう。実は取引先の担当社員(妻子アリ)と半年以上不倫関係に。

不倫に悩むOL、六法全書の妖精と出会う

“彼に送ったLINEが既読にならない……。土曜の昼間に連絡しても返信はすぐに来ないってわかってるけれど、私の指は何度もスマホに触れてしまう。こんなこと続けてもしょうがないからもう終わりにしようと何度も決意はしているのに、結局連絡が来ると喜んでしまうし、会いに行ってしまう。まるで甘い花の蜜に吸い寄せられる蝶みたい。今日は二人が初めて結ばれた記念日だから、会いたかったナ……”

「うわ〜〜〜何? この腐れポエムは?」

「ひっ」

「せっかくの休日に昼間っから何をしてるかと思えば! 鍵付きの日記帳なんて本当に使ってる人いるのね〜」

「……リカちゃん人形が喋ってる!?」

「私はオピストコエリカウディア・スカルジュンスキィ。リカじゃなくて、エリカちゃんよ。いわゆる六法全書の妖精やってます」

「きっと私、夢見てるんだわ……日記を書きながら寝ちゃったんだ……」

「こーんな寝ぼけたこと恥ずかし気もなく日記に書きつけてるんだから、いっそ夢の方があなたのためだったと思うわ」

「な、何?」

「あのさ、あなた不倫してるわよね? 単刀直入に言うけど、それ、違法だから」

不倫は「違法行為」です!

「わ、わかってる! いけないことだって……でも!」

「あのさ〜不倫してる人って本当掃いて捨てるほどいるのね〜。でもみんな自分たちが何が違法なのかわかってないんだよね〜。あなた自分が何してるか本当にわかってる?」

「うっ……」

「まず、婚姻関係にある夫婦っていうのはお互い「貞操義務」っていうのがあるの。これは配偶者以外の異性と性的な関係を持たない義務ってこと。わかる? 男だろうと女だろうと関係ないの。これ、義務なの」

「悪いと思うけど、でも私は未婚だし……そもそもあなたに関係ないでしょ?」

「当然結婚してる人は「婚姻生活の平穏を維持する権利」っていうのも持ってるわけ。相手に奥さんがいるってわかっててセックスした場合、その奥さんの平穏を維持する権利を侵害してるのよ」

「そんな犯罪みたいな言い方しないでもらいたいんだけど」

「はあ、しょうがないわね。確かに不倫は犯罪じゃないわ。だから法律的に刑事責任を負うような「罪」ではないの。ただし、民法上の「不法行為」に当たるから、損害賠償の責任を負うことになるわ。つまり奥さんに与えた精神的苦痛の分、お金を払いなさいってことね」

「結婚してるなんて知らなかった!」は通らない

「で、でも私、最初は奥さんがいるって知らなくって……」

「最初は、でしょ。それに私も不倫トラブルをいろいろ見てきたけど、まず知らなかったは基本的に通らないわね」

「そんな……」

「例えば土日に連絡が取れないとか、絶対外泊しないとか、家を教えてくれないとか、そういうのって注意すれば「これは結婚してるな」ってわかるわよね?」

「でも仕事の都合だってこともあるでしょ?」

「頭のめでたい人ね〜! 相手が詐欺師でもない限り結婚してるかどうかなんて、ちょっと注意すればわかるようなことなの。それがわからなかったとなれば、こっちの「過失」とされるのよ」

「例えば、めちゃくちゃ調べたけど見抜けなかった場合は……?」

「あなたの場合それには該当しないわよ」

「例えばの話だってば!」

「ちゃんと調べた上で結婚してないって信じきってた場合でも、やっぱりそれが認められて責任から逃れられるケースは少ないわね」

「なんだか厳しすぎない?」

「厳しくなんかないわよ。ヨシノちゃんの不倫についての認識が甘いの」

もし不倫の事実が会社にバレたら……

「この際だから聞いてみるけど、私が不倫してる人って大口の取引先の担当者なのね。これ会社にバレたら解雇されたりするの……?」

「ほーんとしょうもないわね?。あなた実力で仕事とってきてるのに、そんなことしてたら枕営業なんて言われるわよ」

「う、うるさいな!」

「はあ、あきれた! まあ、仮に解雇されても「解雇無効」の主張はできるでしょうね。というのも、法的に会社が従業員を解雇するのが認められるのって、相当あくどいことをして会社にいてもらっては困る場合とか、とにかくハードルが高いのよ」

「(ほっ……)」

「今ほっとしたでしょうけど、解雇を宣告されたらそれを争うのも大変だし,不倫の事実が社内に広まって職場の環境がものすごく悪化した場合とか、例外として解雇が許されるケースもあるんだからね?」

「うう……」

「それに会社によってはかなり問題視されるところもあるから、自主退職を勧められたりってことはあるみたいね。まあ、どちらにせよ会社にバレて毎日白い目で見られてれば居づらくなるでしょうね」

「そうだよね〜……はあ……わかってるんだけど……」

「早く関係を断ち切った方が賢明だと思うわ」

「うん、そうだよね……そうは思ってる……」

「(こいつ、わかってないわね)」

はあ、と深いため息をついて顔を上げると、リカちゃん人形みたいなエリカちゃんは跡形もなく消えていた。これがいわゆる白昼夢っていうやつなのかな……。ふと手元に目をやるとさっきまで書いていた日記のページに、大きく「バカ」と書かれていた。うーん、その通り。その通りなんだけど……。

<今回のポイント>

【1】不倫は何がいけないの?
婚姻関係にある夫婦は、お互い配偶者以外の異性と性的な関係を持たないという「貞操義務」があり、「婚姻生活の平穏を維持する権利」というのを持ってるわ。不倫はその平穏を維持する権利を侵害する、違法行為なの!
【2】結婚してるって知らなかった! それでも責任はある?
多くの場合で、結婚してるかどうかは注意すれば気づけることとされるわ。だから知らなかったは通らないことがほとんど。調べられなかったこちらの過失ということになるわね。
【3】不倫が会社にバレたら解雇されちゃう!?
会社が従業員を解雇できるハードルはとても高いから、法的に解雇が認められるケースは少ないみたい。ただし会社によって規則の運用も様々なので、自主退社を勧められるケースも。どちらにしろ、会社に居づらくなるようなことはやめといた方が賢明よ。

(阿部 洋子)