将来の年金に不安を抱えている人は多いはずです。しかも、昨年12月に成立した年金制度改革関連法によると、仮に物価が上昇しても年金の支給額が減らされる可能性があるというのです。将来に備えた「老後のお金」を真剣に考える必要がありそうです。

今月の知りたがりテーマ もう年金だけには頼れない

年金制度改革関連法が国会で成立しました。この法律は、投資へスタンスを改めて考えさせるきっかけになりそうです。これまでの年金制度では、物価上昇時は年金支給額も増える仕組みでした。しかし、今回の改正では、仮に物価が大きく上昇しても、年金制度を支えていた現役世代の賃金が平均的に下がっていれば年金支給額は減らされることになります。当然といえば当然かもしれません。

しかし、原油価格の上昇や円安は、物価上昇のきっかけになります。たとえば、クルマが必需品である地方の年金生活者は、ガソリン代の上昇が続いても年金支給額が一定ならば生活が苦しくなります。つまり、年金だけを当てにした生活は、立ち行かなくなる可能性が大きくなっています。

そして、エコノミストの私としては、年金改定はこれにとどまらず、支給開始年齢にもメスが入ると考えています。

年金制度を支える財政が優良な先進国のドイツでは、GDP(国内総生産)に対する政府債務比率は約 70 %です。にもかかわらず、年金支給開始年齢を 69 歳にしようと国会で議論されています。政府債務比率が200%超えの日本で、65 歳からの支給開始を維持できるとは到底思えません。

さらには少子高齢化以上に長寿化も拍車をかけると指摘されています。ロンドンビジネススクールのリンダグラットン博士は、2007年生まれの先進国の子供たちの平均寿命は107歳を超えると試算。加えて、現在のアラサーやアラフォーの平均寿命も 90歳を超えると予測します。

平均寿命が 60 歳代につくられた現在の年金制度はいかに継続が難しいかがわかります。

各種データから日本は短期投資家が多いことが指摘されています。楽しみのためのトレードだけでなく、自分年金のための長期投資スキルも向上させる必要性が増しているようです。私も人生100年時代に備えて再構築中です!

Masumi Sai 崔 真淑 Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している。