<著名な弁護士グループが憲法違反でトランプの提訴に踏み切った。納税報告書も出さず事業売却もしない初めての大統領の金脈を暴く突破口になるか> (写真は、1月11日に大統領選の勝利演説を終えたトランプと子供たち。わざわざ積み上げられた手前の書類は、息子たちに経営権を渡すためにトランプが署名したものだという。左から次男エリック、長女イバンカ、トランプ、長男ドナルド・トランプ・ジュニア)

 ドナルド・トランプ大統領の批判者たちが、トランプを訴える準備を進めていることは驚くに値しない。1月23日の提訴もそうだ。トランプが所有するホテルなどの事業で外国政府から利益を得ているのは利益相反で憲法違反に当たるとして、有力弁護士や法学者のグループが提訴した。もっともな訴えだが、訴訟に勝つのは困難そうだ。

 アメリカの大統領が納税申告書の提出を拒み、自らの事業を売却もしない──前例のない事態だ。大統領に就任した20日、トランプはトランプ・オーガニゼーションの経営権を2人の息子(ドナルド・ジュニアとエリック)に託すと発表したが、共同経営などを通じて巨大な「帝国」を今もトランプが所有していることに変わりはない。トランプは、これらの資産を処分して利益相反を回避するための実質的な取り組みを何も行っていないのだ。

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民主主義を守るため

 リチャード・ニクソン以降、すべての大統領は納税申告書を開示してきた。だがトランプ大統領は、米内国歳入庁(IRS)が会計監査を行っていることを理由に拒否してきた。だが本当に監査が行われているのか、IRSからの監査通知書など簡単な証拠すら提示していない。たとえ監査を受けていようと、トランプ大統領には自身の納税申告書を開示する自由はあるはずだ――依頼人に対して開示しないよう助言する弁護士も、一部にはいるだろうが。

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 ところがケリーアン・コンウェイ大統領顧問は1月22日、監査を受けていようと受けていまいと、トランプ大統領は納税申告書を開示しないと発表した。国民はこの話題に関心を持っていない、と言うのだ。ピュー・リサーチ・センターが行った世論調査では、回答者の60パーセントが納税申告書の開示を望んでいるのに。翌日ホワイトハウスは、方針を再び転換し、監査が完了したのちに、トランプは納税申告書を開示する意向であるとした。

 外国からの報酬を禁止する憲法の条項にトランプを従わせようとする訴訟も、勝つのは容易ではないだろう。報酬に関する憲法の条項は、大統領に限らずすべての政府関係者に対して、外国企業から利益を得ることを禁じている。この禁止条項は、当時まだ生まれたばかりだったアメリカ民主主義の土台が、外国勢力のカネで転覆されるかもしれないという建国者たちの懸念を反映している。大統領になれるのはアメリカで生まれたアメリカ人に限る、という条項もそうした名残のひとつだ。

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マシュー・クーパー