上場が噂されるカナダグース ファー使用をめぐり動物愛護団体が反発

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ブルームバーグは1月13日、トロントに本社を置くカナダグースが2月にも上場する可能性があると報じた。平均900ドル(約10万円)のダウンコートで有名な同社は、情報筋によれば、評価額20億ドル(約2,290億円)程度、調達額は2億〜3億ドル(約230〜340億円)になる見通しだという(カナダグースはこの報道や噂についてコメントを控えている)。

2001年にダニー・ライスが父の後を継いでCEOに就任して以降、カナダグースは華々しい成長を遂げてきた。カナダグースは1957年にメトロ・スポーツウェアの名前で創業され、かつてはカナダの警官や国立公園で働くパーク・レンジャー向けのコートや、LLビーンやティンバーランドなどのブランド製品をつくる無名のメーカーだった。だがライスはカナダグースのフード付防寒着を高級品としてブランド化することに成功し、同社は2013年までに売上高1億5,000万ドル(約172億円)を達成した。そして2016年にeコマースのプラットフォームを確立すると、次のステップとしてトロントとニューヨークに独立型の店舗をオープンすると発表した。

現在カナダグースは、高級アウターの部門でヨーロッパの上場企業モンクレールと肩を並べている。両ブランドとも、温暖化などの大きな障壁を乗り越えて業績を上げている。2015年12月に英ガーディアン紙は、アメリカとヨーロッパの暖冬がアウター業界に数百万ドルの打撃をもたらしたと報道。だが一方で、カナダグースについてはファッションの流行に敏感な人々からの熱烈な支持もあり「売上の冷え込みはない」とした。

しかし、成功には代償が伴う。この1年で、世界最大の動物愛護団体PETAのような組織がカナダグースを標的にし始めた。コートのフードの縁にコヨーテの毛皮を使っていることや、本物のガチョウの綿毛(ダウン)を使っていることがその理由だ。カナダグースは自社のウェブサイトで、倫理にかなった素材を調達していると主張しているが、活動家たちは、どのような形であれリアルファーの使用はいきすぎだと激しく反発している。

長年、暖かさやファッション目的で毛皮を身に着けるのは非倫理的なことだと受け止められてきた。だが近年では、再び毛皮がファッション界に”復活”を遂げつつあると、ニューヨークタイムズ紙も報じている。

カナダグースに対する主な批判は、商品の縁部分にコヨーテの毛皮を使っていることだ。つまり、近年のこうした傾向は、毛皮を身に着けることが容認されてきていることを意味する。

ガチョウの綿毛を使用するという”倫理”をめぐる懸念もあるが、実際はあまり表面化していない。生きたガチョウから綿毛をむしり取る場合には、ガチョウを苦しめることになる。しかしカナダグースは、使用している綿毛は全て家禽産業の”副産物”として取れたものであり、生きたガチョウからむしり取られたものではないとしている。

同社はウェブサイトで、「当社は毛皮(ファー)を着ることについて賛否があることを理解している。そうした個人の意思は尊重しているが、当社はその見解を共有していない」として、ファーについての自社の見解をはっきりと示している。動物愛護の活動家たちが、同社にコヨーテのファーの使用をやめさせることは無理そうだ。

それでも、デモなどの抗議活動が、ファーを身に着けることに対して消費者たちに否定的なイメージを与えることになるだろう。そうなれば、高級アウターを好む消費者たちは、ファー以外のものを購入するようになるかもしれない。カナダグースの商品を好む人々も、襟にファーがついていない、より価格の安い防寒着を選ぶようになるかもしれない。