今回の質問は、制作会社に勤める木村裕子さん(仮名・31歳)から。

「社内でインフルエンザが流行りはじめました。先日もひとり倒れて休暇中です。弊社はシェアオフィスの1室で10人が内勤している状態なのですが、全員がマスクをしています。オフィスのドアをあけた瞬間、マスクをつけた全員がこっちを向くのでギョッとしてしまいます。マスクって仕事中はつけないほうがいいんでしょうか……」

さっそく、鈴木真理子先生に伺ってみましょう。

☆☆☆

オフィスワーカーのマスクの付き合い方

医療従事者などは、感染症を防ぐためにマスクをするのがルールです。では、オフィスワーカーの場合はどうでしょうか? 内勤の執務中、予防のためにマスクをするのは問題ないと思います。また、風邪をひいたときなどは、咳をすると周りに迷惑です。マスクをつけたまま仕事をするのは、ビジネスマナーに適っているといえます。

人と話すときにはマスクを耳から外す

でも質問者の方のように、全員が全員マスクをつけたオフィスというのは、ある種、異様な光景ではありますよね。マスクは顔を覆ってしまう分、相手に与える印象があまりよくありません。健康に問題がなければ、人と話すときだけでも、マスクは外したほうがよいでしょう。マスク越しに話すと、声がこもってしまい、何を言っているのかもよくわかりません。そのせいか、マスクをつけた状態で、話すときだけアゴにかける人をよく見かけます。これは、簡略的で相手に失礼です。面倒でも、耳から外して畳んでデスクの上などに置きましょう。

お手本は接客のプロ

最近、通勤中などにもマスクを着けている人を多く見かけます。風邪やインフルエンザの感染予防にマスクは有効ですから、体調管理のためにもマスクを活用したいところです。しかし、マスク姿というのは、人に不安を与えるものだということを心に留めておいてください。つけたままでもよいかどうかの判断は、接客のプロを見習いましょう。

デパートやショッピングモールに行ったときのことを思い出してみてください。インフォメーションセンターなどのブースに座っている案内係の女性でマスクをつけている人はいるでしょうか。接客の仕事の方は、マスクをつけないのがマナーなのです。レストランのサービス係やフライトアテンダントの方も同じです。つまり、敬意を払うべき方には、マスク姿を見せないのが基本マナーということ。取引先へ伺うときはコートと一緒にマスクもとる、来客があったときにはマスクを外して接客する、上司や先輩に指示を受けるときなどはマスクを外す、ということを心がけると印象がアップします。

マスクのデザインにも注意

ところで、最近はいろいろなデザインのマスクが売っています。ワンポイントがついたものや、淡いピンク色のものなどは、かわいくて仕事のテンションも上がりますね。ただ、大げさなフリルが付いたものや、目立つ柄、キャラクターモチーフのマスクを仕事の場で使うのは考えものです。プロ意識を疑われかねません。休日や家用にするとよいでしょう。

また、 同じマスクを数日間使い続けると、自分では気づかないうちに悪臭を放っている場合も。衛生面にも気をつけたいものです。

マスクをつけていないと不安になってしまうマスク女子急増中ですが、ビジネスの場では、そのマスク姿が相手に不安を与えることもあるのです。



■賢人のまとめ
デスクワーク中のマスクはOK。ただし、接客のときには外しましょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/