第2話で視聴率を2ポイントあげて12パーセントになった『嘘の戦争』(フジテレビ系、関西テレビ制作)。評判は上々のようだ。


このドラマの全ての登場人物の苗字に、数字が入っていることはご存じだろうか?主人公の一ノ瀬(草なぎ剛)、ターゲットの二科一家、養護施設経営者の三瓶(大杉漣)、社長秘書の四谷(野村麻純)、医者の五十嵐(甲本雅裕)、弁護士の六反田(飯田基祐)、会長秘書の七尾(姜暢雄)、詐欺師見習い八尋カズキ(菊池風磨)、一ノ瀬の相棒の十倉ハルカ(水原季子)、バーのマスター百田ユウジ(マギー)、一ノ瀬の旧姓は千葉だ。

2話で新しく登場したのが、新米弁護士の九谷(前田公輝)と刑事の三輪(六平直政)。そして名前だけの登場が九島と四条だ。三、四、九がすでに被ってしまい、数字縛りは早くも限界を迎えている。

これからまだまだ登場人物は出てくるはずだが、数字縛りは最後まで続投するのだろうか?それとも、この数字に何か秘められた謎が存在し、続けなければいけない理由があるのだろうか?個人的には一ノ瀬の仲間たちの名前が、ハルカ、カズキ、ユウジとカタカナ表記なのも気になる。

2話あらすじ


ニシナグループ会長の興三(市村正親)をかばってナイフで刺された一ノ瀬。入院中に二科家顧問弁護士の六反田と出会う。名刺を渡された事で、30年前の事件の嘘の証言者が当時新聞配達員をしていたこの六反田だということに気づく。今話のターゲットはこいつだ。
ニシナコーポレーション社長の隆(藤木直人)の名前でメールを送ったり、金融屋になりすまして電話をしたり、事務所に潜入したりと、あの手この手で30年前の事件の興三の証言を録音したテープを奪い取るが、そのあまりにもひどい内容に一ノ瀬は我を失ってしまう。

2時間かけて刺されたのに……


いったん第1話を振り返ってみたい。冒頭で一ノ瀬は、プールサイドで興三をかばいナイフで刺されてしまった。そして一か月前に遡り、それが興三に取り入るための作戦だったということがわかる。簡単にいうと初回2時間スペシャルのあらすじがこれだ。

そして第2話の冒頭、興三と隆から衝撃的なセリフが飛び出す。

興三「あの男は何者だ?単なるバカか、それともよほどの魂胆があるのか」

隆「何か企んでいるのは間違いないかと。私に任せてください」

なんという疑り深い性格なのだろう。この二人、まったく一ノ瀬を信じていないのだ。最初から疑っていた隆はともかく、酷いのは興三だ。

長男の紹介で初めて対面する→30秒ほど言葉を交わす→頭のおかしな男がナイフを持って走ってくる→それを一ノ瀬がかばう→「単なるバカか、よほどの魂胆が……」

どういう思考回路なのだろう?巨大企業を作りあげる男はこれぐらいの用心深さがないとやっていけないのだろうか?もはや人外。

ときにはシリアスに、ときにはユーモラスに


公式ホームページの一文に“ときにはシリアスに、ときにはユーモラスに描き、先が気になるスリリングな展開で視聴者を魅了する!”とある。おおむね狙いは成功しているように思えるが、気になるのはユーモラスという部分だ。このドラマにユーモラスなんてあっただろうか?

六反田と隆がホテルのラウンジで録音テープを聞くシーン。六反田がセットして再生を押すと「アホがみ〜る〜ブタのケ〜ツ〜」いつのまにかテープはすり替えられていた。混みあったホテルのエレベーターで、おばさんに扮した百田が「ちょっと誰〜私のお尻触ったの〜?あ、案外タイプ!私の部屋来る?」と六反田に絡んでいる間に、横にいた八尋がすり替えたのだ。

1話2話と3時間近く見続けてここにきて急なユーモラス。なるほど、詐欺のテクニックの一部にユーモラスな表現が使われるのは、エッジが効いて確かにアリかもしれない。しかし、今回のこれがギリギリな気がする。あくまで個人的見解だが、あと一言でも百田が何か発していたらせっかくの空気が台無しだったように思える。

言うまでもないが、シリアスで劇画チックな思い切った演技をする草なぎ剛がこのドラマ最大の魅力だ。しかし、ユーモラスという部分が下手に入り込んでしまうと、一気に草なぎの演技の価値が下がってしまう。第3話以降、このちょうどいいユーモラス加減を何とか保ってもらいたい。
(沢野奈津夫)