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by Aditya Doshi

2016年1月にアメリカの税関・国境警備局が偽造パスポートを駆逐するために顔認証技術導入を発表し、実際にジョン・F・ケネディ国際空港で一部利用者向けに顔認証システムの運用が始まっていますが、オーストラリアでは国を挙げて、「90%の旅客がパスポートを出すことなく顔認証と指紋スキャンによって入国できる体制」を2020年に整えることを目指しています。

'World first': Government moves to radically overhaul Australia's international airports

http://www.smh.com.au/federal-politics/political-news/world-first-government-moves-to-radically-overhaul-australias-international-airports-20170116-gtss5w.html



Facial recognition systems to replace passports at Australian airports by 2020

http://www.telegraph.co.uk/travel/news/facial-recognition-systems-to-replace-passports-at-airports-in-australia/

顔認証システムをパスポート代わりにするという考え自体は数年前から取り組みが行われていて、2015年3月から5月にかけてワシントン・ダレス国際空港で試験運用が行われたのち、2016年1月からジョン・F・ケネディ国際空港で入国審査に顔認証システムを導入。2月からはワシントン・ダレス国際空港にも導入されることになっています。

ここで用いられているのはNECの「NeoFace」と呼ばれる技術で、入国審査用ゲートに取り付けたカメラで撮影した旅行者の顔と読み取ったパスポートの顔写真データとを照合し同一人物かどうかをリアルタイムで判定します。

日本でも、2014年に成田空港と羽田空港で顔認証による入国審査の実証実験が実施されたことがあります。このケースでも用いられたのもパスポートのICチップに登録された顔写真と旅行者の顔を照合するシステムで、旅行者は「パスポートを機械にかざす」「顔を撮影する」という手順を踏むことで早い人なら20秒ほどで審査を終えていたとのこと。

顔認証で出入国 成田空港で実験開始 NHKニュース

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140804/k10013537351000.html(WebArchive)



オーストラリアが取り組んでいるのは「シームレス・トラベラー」プロジェクトという5カ年計画で、2015年からスタート。名称の通り、旅行者をシームレスに入国させることを目指しています。

もともとオーストラリアではこの手の取り組みが積極的に行われていて、2007年から電子パスポート所有者向けに「スマートゲート」と呼ばれる出入国自動管理システムが用いられてきました。スマートゲートでは、電子パスポートのICチップをスキャンすることで手続きを迅速に済ませることができました。

新たなシステムはこの「スマートゲート」をさらに便利に置き換えるもので、顔・虹彩・指紋のいずれか、あるいはいくつかを認識させることで手続きを行うというもの。オーストラリア戦略政策研究所・国境警備担当リーダーのジョン・コイン氏によると、スマートゲートと異なり、新たなシステムでは旅行者は立ち止まることなく認証を済ませられるので、これまでよりもスムーズに手続きを行えるとのこと。

システムは2017年7月からキャンベラ空港で、シンガポールとウェリントンへのフライトに限定した試験運用を開始する予定。2017年11月にはシドニーやメルボルンのような主要空港でも試験を開始し、2019年3月には実運用を始める予定です。

オーストラリア政府は2020年には90%の旅行客の手続きを人の手を介さず自動的に処理できるようにすることを目標にしているとのことです。