Doctors Me(ドクターズミー)- “肉離れ”は冬に多いって本当? 未然に防ぎたい肉離れ対策マニュアル

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お正月太りを解消したいと思い、最近になって運動やスポーツを始めた方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、寒い冬の運動時に注意したいのが肉離れです。

今回は肉離れの概要や症状、肉離れが冬に多い理由、そして対処方法や予防方法を医師の建部先生に解説していただきました。

肉離れとは


自分自身の筋肉が過剰かつ急激な収縮によって、部分的な筋膜や筋線維の損傷、断裂を起こしてしまうことです。

発生のメカニズムについて、短距離走などで足に肉離れが発生するケースを分析すると、実はその疾走中の足を挙げる動作で起こるのではなく、地面に足をついた瞬間に起こるのです。

つまり、筋肉を収縮させて膝関節が曲がる時ではなく、膝関節の過伸展を防ぐために筋肉が引き伸ばされながらも収縮しているときに起こるということが示されます。

筋肉痛と一緒に考えてしまう方がいらっしゃいますが、筋肉痛は肉離れのように筋が部分的とはいえ、断裂したりするものではないので急激で激しい痛みは発生しません。

また、「腓返り(こむらがえり)」や「足が攣る(つる)」といった症状も同じように考えてしまう方もいますが、この2つは筋肉の痙攣によって起こるもので同じく肉離れとは異なるものです。

肉離れの症状


肉離れの多くはスポーツをしているときに、ふくらはぎの内側の中央上部(上中1/3部)や大腿部に生じたりします。その為、体重をかけると痛むために通常の歩行が出来なくなります。

具体的な症状としては以下が挙げられます。

患部の痛み(動作痛)


急激に筋肉が部分的な筋膜や筋線維の損傷を起こしてしまうことで、生じる急性の痛みでしばらくは治まりません。

適切な初期治療がなされないと痛みはなかなか取れないばかりか、かなりの高確率で再発しやすいです。

患部の痛みによる動作困難


患部の痛みに伴い、かろうじて動作、移動が可能な場合と、不可能な場合があります。

患部の腫脹


急激に筋肉が部分的な筋膜や筋線維の損傷により炎症が起こっている場合や、出血し血腫を形成した場合などに認められます。

患部の硬結


痛みや腫脹がひと段落したころに、自覚されることがある急性の炎症後、筋肉の瘢痕化とその部分の循環不全によるものです。

患部のへこみ、内出血


筋肉の部分的な筋膜や筋線維の損傷といったレベルではなく、ある程度しっかりした部分筋断裂まで進んでいる中等症以上の触診時にみられます。

その際はやや激しい痛みもありますし、内出血や当然ながら動作、移動困難を伴っていることも多いです。

肉離れの原因


■ 筋肉の柔軟性欠如
■ 筋力不足
■ 筋疲労
■ 過去の損傷
■ 体調不良
■ 電解質のアンバランスなど

上記のような様々な条件が重なった状態で、筋肉が過剰かつ急激な収縮を伴う運動、動作で発生する、とされています。

ただ、多くのスポーツ選手はこのような動作を多くこなしていますが、肉離れになる確率は実はかなり低いことを付け加えておきます。

冬に肉離れが多いとされる理由


そんなスポーツ選手であっても、冬には肉離れが起こりやすいとされており、以下の理由が考えられます。

1:寒さ


外気温の低下に伴い体温も下がり、四肢の骨格筋レベルの末梢循環血液量が少ないのところに急激な運動負荷が発生すると、部分的な筋膜や筋線維の損傷も発生しやすいと考えられます。

2:不十分なウォーミングアップ


ウォーミングアップが不十分だと、その後の急激な筋運動に見合った血流供給が少なくなり、部分的な筋膜や筋線維の損傷も発生しやすいと考えられます。

3:もともと体が硬い


普段あまり体を動かしていない人が急に運動をすると、筋肉の柔軟性の低下ならびに筋力低下が背景にあるために、筋肉が過剰かつ急激な収縮する運動、動作をすることになり発生しやすくなります。

4:ウォーミングアップの内容が異なる


寒い時期にウォーミングアップと称して、筋肉が冷えている状態での強い負荷をかけるストレッチ運動を行っていることがあります。

当然ながら筋肉が過剰かつ急激な収縮する運動、動作をすることになり肉離れを誘発しやすいのは明らかです。

冬の時期の運動前は、四肢体幹をストレッチ運動でいきなり伸ばすのではなく、体や筋肉を温めることが大切なのです。

5:水分やミネラル不足


夏などと違い、冬は運動前にスポーツドリンクなどでの事前に水分・ミネラル等を補充をしないまま、ウォーミングアップなどの運動を始めてしまうことが圧倒的に多いようです。

ウォーミングアップ後、スポーツドリンク等で水分・ミネラル等の補充を行っても、激しい運動に伴う発汗や筋収縮に見合った水分やエネルギー、ミネラル類が必ずしも行き渡りきっていない場合も考えられます。

結果、特に水分の相対的な不足が血液粘度を上昇させ、四肢の骨格筋レベルの血流量低下を招き、肉離れを起こしやすくしてしまっている可能性があります。

肉離れを起こしてしまった際の対処方法

肉離れの応急対処方法としてはRICES処置が一般的です。

RICES処置



■ R:Rest
痛みがなく体部分が機能するまで安静にします。

■ I:Ice
受傷後12〜24時間、間欠的に冷やします。

■ C:Compression
腫脹が消失するまで包帯やテーピングで常時圧迫します。

■ E:Elevation
下肢の場合、受傷後24時間はできるだけ下肢を挙上させておきます。

■ S:Stabilization
痛みがなく受傷部位が機能するまで固定しておきます。

早めに整形外科を受診する



RICES処置を行ったうえで自覚症状が軽い場合でもできるだけ早めに整形外科を受診し、筋断裂の有無や内出血による血腫の穿刺吸引、ならびに筋断裂部に対する縫合手術の必要性などについて判断してもらうことが重要です。

そして、整形外科医の判断と指示に従い、治療、リハビリテーション、再発予防に取り組んでゆくことになります。

何が正しい動きで何が出来ていないかなどは、普通、自分自身で分かるものではありませんので、トレーナーや理学療法士等の専門家の助言と指導が原則、望まれます。

自分流のセルフケアは再発を伴いやすくするのでオススメではありません。

本当に重要なのは、肉離れの急性期症状が落ち着いたその後のケアをいかにしていくかにかかっています。

肉離れを起こしやすいタイプ


筋力不足や体の柔軟性が乏しい


筋力も筋肉の柔軟性も低下しているため、筋肉の予備能力が低下しており起こしやすいと考えられます。 

過去に肉離れを起こしたことがある


肉離れは再発率が高く、これで悩むプロのアスリートも居るほどです。

ウォーミングアップ不足


ウォーミングアップ不十分だと筋肉の柔軟性欠如に繋がり、肉離れを起こしやすいと考えられます。

運動後の筋肉ケアをきちんと行わない


運動後のクールダウンやマッサージ等を行い筋肉の炎症や疲労の蓄積を防いで、筋肉の柔軟性低下予防することを疎かになれば当然、起こしやすくなります。

運動競技における技術が未熟


フィギュアスケートや社交ダンスなどでは、出来るだけ急激な筋収縮を生じないよう技術的コントロールが必要で、これが伴わないと発生しやすくなってしまいます。

肉離れを起こしやすいスポーツ


理論上、医学的には特定のスポーツ種目に肉離れがおこりやすいということはありませんが、以下のようなオリンピックなどのスポーツ競技種目であれば、どれに限らず肉離れを起こしやすいのではないかと考えられます。

・サッカー
・野球
・短距離走
・テニス
・バトミントン
・アメリカンフットボール
・レスリング
・柔道

肉離れは体の様々な筋肉で起こり得るのですが、実際にその大半は下肢に発生しやすいスポーツで生じており、走り出した瞬間やジャンプの着地、ジャンプの瞬間、切り返し動作などで起こりやすいようです。

肉離れを予防する方法


◎運動前に必ず十二分なウォーミングアップを行う

◎十分な休養・睡眠をとる

◎運動後の筋肉ケアを行う

◎日ごろから運動をする習慣をつけておく

◎運動の前後と合間に、スポーツドリンクなどで水分や電解質を適宜、補充する

◎運動競技によっては、急激な筋収縮を伴う運動を生じにくい技術的指導をトレーナーや理学療法士等の専門家から受ける
(特に肉離れを経験している場合は、肉離れをした場所に過度な負担がかからないように、他の部位をしっかり働かせるトレーニングが再発予防の繋がります)

日ごろから上記の内容を実践することで、筋肉の予備能力を高めておくのが具体的な予防策になります。

最後に建部先生から一言


肉離れは、スポーツや運動に取り組む人においては、警戒するべき怪我の一つです。

重度であれば、身動き不可能なほどの激しい痛みに見舞われることも多く、初期対応を誤れば、その後は運動困難になるほど悪化することもありますし、痛みが落ち着いてすぐに動こうものなら、肉離れの再発が起こりやすいのです。

スポーツや運動をしていて、体調の変化や痛みがあれば、すぐにそのことを申し出て重症化させない取り組みが必要です。

運動が苦手な私が言うのは説得力がありませんが、体調不良時や怪我をしてしまった時の報告のしやすい環境も、肉離れといった怪我を重症化させない隠れた要素であります。

運動をできるだけ長く楽しみつつ健康な体を作るためには正しい食事と水分補給、適度の運動、そしてストレスを発散できる適度な余暇が必要と思う次第です。

ご参考になりましたら幸いです。

(監修:医師 建部雄氏)