モニター参加者が90万円を支払うそうです。

8,000ドル(約90万円)の参加費を払って、16〜25歳の若い人間から採取した血しょう1.5リットルを注入させてくれませんか。そんな臨床試験を、カリフォルニアのスタートアップ「Ambrosia」が開始しました。治験データベースを扱うClinicalTrails.govでも詳細が確認できます。

若い血液を用いて老化の始まったマウスの一部機能を「若返らせる」という実験はこれまでも成功しており、ギズモード・ジャパンでも取り上げてきました。

Ambrosiaのビジネスは、それを人間で行なうことを目標としているようです。...もうそんな時代がきていましたか。若い人間の血液を年上の人間が買うわけですね。しかし、マウスで成功したからって人間で試すのは無謀なのでは?と素人でも思ってしまいますが、専門家も軒並み批判的なようです。

2014年に若いマウスの血しょうを注入することで老いたマウスの学習能力と記憶力を改善させた研究がありましたが、それを率いたTony Wyss-Corayさん、Ambrosiaの臨床試験に対してScienceのインタビューで次のようにコメントしています。


とにかく、(この治療に効果があるだろうという)臨床的な証拠が一切ない。ただ人々の信頼とこの分野に集まる大衆の興奮を悪用しているにすぎない。


AmbrosiaのファウンダーであるJesse Karmazinさんはスタンフォード大学医学部を卒業し、国立老化研究所(National Institute of Aging)でのインターンを経験したという人物。他の若返りビジネスにはノーベル賞科学者なども参加し話題になっていますが、Karmazinさんは若く、オフィシャルサイトでは「内科医、老化研究者、元パラリンピック・ボート選手」と紹介されています(しかしThe Next Webの記事では「Karmazinは医学部卒だが医師免許は持っていない」と紹介されているのが気になります...)。

Karmazinさんはすでに30人が1.5リットルの若い血しょうの注入を体験し、効果がすでに見られていると述べているようです。治験参加者たちは集中力が増し、見た目と筋肉に改善が見られたとのこと。600人のサンプル規模に達したときにどのような結果が観測されるのか、興味はありますが、専門家はやはり批判的なようですね。

90万円は高いですが、600人の参加希望者は集まりそうな気がします。若返りには多くの人が興味を持っていますし、老化防止の研究が盛んなのはアルツハイマーの治療や予防という重要な目標があるからです。しかしこの実験が成功して人間でも若返り効果が見られたら、恐ろしいパンドラの箱が開かれそうです。

アルツハイマーの治療が進むのは素晴らしい一方で、富裕層が見た目と健康を改善するために若い人間の血液を購入するようになるのでしょうか...。


・禁断の治療に? 若者の血液が老化ストップに効くかも!


image: Malota / Shutterstock, Inc.
source: Ambrosia, ClinicalTrials.govTNW, Science
参考: Wired, LinkedIn

(塚本 紺)