まずは1日1ページ。読書を習慣にするための3つのコツとおすすめ10冊

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「今年こそはたくさん本を読もう!」と誓ったものの、読まずに積まれていったり、1ページで挫折してしまったり……。読書が続かない理由を「忙しいから」で片付けていませんか?かつては1ページどころか1センテンスすら読むのがおっくうだった筆者ですが、1日1ページ読むという小さな目標を作り、今では1日1冊のペースでもりもり読めるようになりました。読書を毎日続けるのはたしかに難しいですよね。しかし、日常生活にほんの少しの工夫をするだけで読書は身につくんです。

毎日の生活に読書を取り入れるためのコツと、楽しく刺激的な読書にぴったりの作品を紹介します!

■ 1:最初に手に取る本は、興味のあるものを

本屋に足を運んだにもかかわらず、大量の本を目の前にすると、どの本を読めば良いかさっぱりわからなくなります。タイトルや装丁に惹かれて購入したにもかかわらず読めなかった経験があると、本を選ぶことに戸惑ってしまいますよね。そのような場合におすすめの本の選び方は、自分が今一番関心のあるテーマの作品を選ぶこと。興味のある事柄であるため、本にのめり込みやすくなり、内容も頭の中にぐんぐん入ってきます。

■ 2:まずは1日1ページから

千里の道も一歩から。まずは1日1ページから始めましょう。初めのうちは面倒ですが、毎日続けることによって1ページが苦ではなくなります。1ページを読みきるために必要な時間は、長くても5分から10分くらいでしょう。電車に乗っている時間や休み時間などのすき間時間を読書に有効活用してみては?また、不思議にも1ページ読むだけで先の展開が気になり、気づけばページをめくる手が止まらなくなっているものです。

◎ 1ページすら読めない日があっても落ち込まない

仕事や勉強に忙殺され、疲れきってベッドにダイブ、結局本を読むタイミングが見つからず後悔することもあるでしょう。しかし、たった1日読書ができなくとも落ち込まないこと。マイペースに読み進めていきましょう。

■ 3:同時に複数の本を並行して読む

1冊を読んでいるうちにストーリーに飽きてしまい、読むことを後回しにしたくなるときもあります。そんな時は他の本に手をつけるべし。読書のスタイルは自由です。一度に1冊しか読んではいけないというルールはありません。そのため、ジャンルや著者が異なる複数の本を並行して読むのがおすすめ。それぞれの本を読むたびに異なる視点を持てます。そして何より面白いのが、一見関係ないように見える複数の本の間で思いもよらぬ発見を得られること。たとえば、恋愛小説とマーケティング解説書を並行して読むと、恋愛にも市場原理と似たものがあり、マーケティングと同じく相手に自分をどう見せるかどうかがカギだとわかります。そのような予期せぬ発見は、まるで地面を掘ると宝物が見つかるような感動に近いでしょう。

■ おすすめの著作

◎ 読書を始めるきっかけにぴったりの本

最初に手に取ることをおすすめしたい本は、好きな映画やドラマの原作。すでに作品を観ている場合、あらすじがわかっているため小説も読みやすいです。また、色々な作品を読んでいくにつれて「この部分、どこかで読んだ覚えがあるな」と気づくことも。オマージュを発見すると、読書がさらに楽しくなりますよ。

・スカイ・クロラ/森博嗣

押井守監督『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』の原作。戦争が娯楽になった世界で、戦闘機で戦うことを仕事にする子供たちの物語です。無機質で淡々とした語りであるにもかかわらず、静かで甘美な情景がありありと浮かび上がります。極めつけは空中での戦闘シーン。激しい銃声や、空から見下ろす山や海の荘厳さを肌で感じていると錯覚してしまうほどの没入感。映画とあわせるとより圧倒的な世界を味わえます。

・蜜のあわれ/室生犀星

二階堂ふみ主演映画『蜜のあわれ』の原作。人間の女の子の赤子に姿を変える真っ赤な金魚と老作家の物語です。赤子が金魚であるのは2人だけの秘密であるはずが、赤子の言動には金魚らしさが垣間見え、どことなくシュール。尾ひれをひらつかせているようにコケティッシュな物言いをする赤子に、読んでいる身も翻弄されてしまいます。

◎ 1ページからでも手軽に読める本

筆者のおすすめとしては1日の終わり、寝る前にエッセイや短篇集、詩集を読むことです。幼いころに寝る前に読み聞かせをしてもらった人も多いでしょう。そのような、現実と夢をさまよう心地よい感覚に浸れます。

・二十億光年の孤独/谷川俊太郎

詩人谷川俊太郎さんの第一詩集。一つ一つの言葉が星のごとくきらめき、さらにそれらが群れをなしひとつの銀河のような詩を作っています。戦後間もない1952年の作品とはいえ、それから60年以上経った今もなお色褪せずに人々を魅了する作品。さらに何ヶ国語にも翻訳されています。時空を越えて伝わる言葉の力に思わず息をのむほど。眠れない夜におすすめです。

・異性/角田光代・穂村弘

作家の角田光代さんと穂村弘さんによる恋愛についての考察。往復書簡のように綴られた言葉のふしぶしから、恋愛観は男女で大きく異なるものだと感じます。2人の考えに「なるほど」とうなずき、ときに疑問を抱きながらも、自分なりの恋愛観の輪郭がぼんやりと浮かび上がってきます。恋愛にこれといったルールはなく、「わからない」から出発する関係をどう面白いものにしていくかが肝心で、恋愛、それはいわばゲームなのだと気づかされるスリリングな1冊。

・思いを伝えるということ/大宮エリー

大人になればなるほど、思いを言葉にして誰かに伝えることが恥ずかしくなります。また、「あんなことを言わなければ」という後悔にも悩まされます。ではどうすればお互いが快くなる伝わり方があるのでしょうか。そんな時にこの本は2つの勇気を与えてくれます。思いを伝えることの難しさを自分の中で認め、許す勇気、そして誰かに素直な思いを打ち明ける行動に移す勇気です。進みたくても足がこわばって進めない肝心な1歩。そんな1歩のために、背中を押してくれること間違いなし。

◎ 価値観を変え、視野を広げてくれる本

自分の中にある未知の価値観や感覚を引き出してくれるのが読書の醍醐味。人間は自分の思っている範囲の中でしか世界を見ることができません。つまり、視野を広げるほど世界は広がっていくのです。思いがけない視点を与えてくれる作品を紹介。

・どうしてこんなところに/桜井鈴茂

毎日のニュースでたえず流れる殺人事件の数々。被害者でも加害者でもなくニュースを眺めているだけの身にはわからない、加害者に迫った作品です。妻をふとした瞬間に殺してしまった主人公久保田輝之。彼は日本各地を転々としながら、遍路をしたり、ドヤ街で働くなど奇妙な逃亡生活を過ごします。主人公が逃亡生活の最中に出会う人物もまた、重い過去を背負っているような雰囲気を持った独特の顔ぶれ。そのような人々に揉まれながら、人を殺してもなお生き抜くことを選んだ主人公の肉声が聞こえてくる1冊。

・1984年/ジョージ・オーウェル

文学にかかわらず映画や音楽にも大きな影響を及ぼしたSF小説の金字塔。国家が人々の行動を常に監視し、規範を破った者は思想警察に捕まる社会を舞台にした作品です。記録を改ざんする仕事に従事している主人公ウィンストンは、社会の裏側を知ろうと機密書を手に入れ……。この作品を通して気づかされるのは、自分の思考回路は何者かによって知らぬ間に支配されていること、そしてその支配から解放されるためには現実を鵜呑みにするのではなく疑ってみるということです。常識に挑むことの大切さを教えてくれます。

・コンビニ人間/村田沙耶香

第155回芥川賞受賞作。おぞましいタイトルからもうかがえるように、一見日常を描いていると思われますが、身の毛がよだつ恐ろしさを感じる作品。就職せずにコンビニでバイトをしながら生計を立てるアラフォーの未婚の主人公のアパートに、同じバイト先に勤める男が転がりこみ……。「大学を卒業して就職し、結婚して子供をつくることがはたして普通なのだろうか……。とするとはたして主人公のような人物は普通のレールから外れてしまった欠陥品なのだろうか……」とありきたりに使う「普通」という言葉につきまとう偏見について考えさせられます。

・あこがれ/川上未映子

2人の小学生の男の子と女の子の恋と冒険。体はまだ小さいけれども、彼らが見ている世界は限りなく大きく、不思議なことばかり。世界と戯れながらも、あまりにも大きな世界にときどき押しつぶされてしまう、そんな子供たちの無垢な心を描いています。たとえ小学生の言うこととはいえ、彼らのセリフの一つ一つが鋭く突き刺さります。小学生をあなどるなかれ。

・人間そっくり/安部公房

火星を取り扱うラジオの担当者のもとに自称火星人が現れて、突拍子もなく理屈混じりの言葉が飛び交います。しまいにはどちらが火星人か人間か、わからなくなってしまうこと間違いなし。読んだ後に街じゅうの人たちがサイコパスに感じてしまうほど危険な本。永遠に完成しないパズルを、完成しないとわかっているにもかかわらず、熱心に組み立てているような心地よい気味悪さのあるところが、この著作に限らず安部公房作品の面白さだと筆者は思います。

■ 読書は健康な合法ドラッグ

1センテンスでさえも読めなかった頃の筆者は、つくづく「自分には読書は合わないのだろう」と諦めていました。しかし、1日1ページ読むことから始め、今では本がないと物足りなく感じさえします。読書を毎日の習慣のひとつとして身につけるには、ほんの1分でも本を開いて文章を読むことが何よりも大切です。1冊読み終えるごとに、そしてそれを繰り返していくごとに、好奇心をくすぐり、日常がもっと色鮮やかに、価値観を揺るがしながら自分が変化していく感覚を味わえるものこそ読書です。まさに合法ドラッグ。読書がいざなう無限大の宇宙に放り込まれてみませんか?

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(著:nanapiユーザー・mekds)