WEEKLY TOUR REPORT
■米ツアー・トピックス

 年が明けてPGAツアーは、ジェイ・モナハン氏(46歳)が新たなコミッショナーとして正式に就任。文字どおり"ニューイヤー"を迎えることになった。

 前コミッショナーのティム・フィンチェム氏(69歳)が同役職に就いたのが、1994年。昨年まで、実に22年間の長きにわたってツアーをけん引してきた。彼の手腕によって、ツアーが大きな成長を果たしたことは間違いない。

 しかしながら、やはり長期政権となると、どこかしらに歪みが出てくるもの。そうした部分を正しつつ、ツアーに新たな風を吹き込むことが期待されるのが、4代目のモナハン氏である。はたして、これからPGAツアーはどんな道を歩んでいくことになるのだろうか。

 新コミッショナーのモナハン氏は、マサチューセッツ州ボストンの出身。トリニティカレッジ時代は4年間ゴルフ部に在籍し、オールアメリカン(ディビジョン2)に選ばれるなどの活躍を見せた。その後、マサチューセッツ大で『スポーツマネジメント』の修士課程を修了し、以降はスポーツビジネスの道を一貫して歩んでいった。

 EMCコーポレーションのグローバルスポンサー担当としてそのキャリアをスタートさせると、次の3年間はIMGに所属し、パターの名手として知られるブラッド・ファクソン(アメリカ)のマネジメントを担当。この、選手たちからの信頼が厚く、ツアープロの選手会長まで務めたファクソンから、PGAツアーの多くを学ぶことになる。

 ボストン出身のモナハン氏は、アメリカ北東部への郷土愛にあふれる人物で、ファクソンのマネジメントを務め上げたあとは、メジャーリーグのボストン・レッドソックスや、イギリス・プレミアリーグのリバプールFCの親会社となる、フェンウェイスポーツグループ(FSG)に転職。そこで彼は、PGAツアーからボストンでのツアー開催の依頼を受けた。

 モナハン氏はまず「そのためにはコースが必要だ」として、すかさずコースの建設に着手。2002年、PGAツアーの依頼を受けてわずか数年でTPCボストンを完成させた。さらに、当時全盛期だったタイガー・ウッズと組んで、ドイツ銀行との契約に成功。のちにフェデックスカップのプレーオフ(4大会)のひとつとなる、ドイツ銀行選手権のTPCボストンでの開催を2003年に実現してみせる。

 そんなモナハン氏のスピーディーな行動力と実行力には、選手、ツアー関係者からも感嘆の声が上がった。

 そして2008年、ついにモナハン氏はPGAツアーに移籍。同ツアーのフラッグシップ大会となるプレーヤーズ選手権のディレクターに就任する。2014年からは、フィンチェム氏から政権を受け継ぐべく副コミッショナーとなり、ツアーの運営に大きく関わっていった。

 ところで、PGAツアーの初代コミッショナーは、ジョー・デイ氏。彼は1968年にPGA・オブ・アメリカ(全米プロゴルフ協会)から独立。ツアー運営に専念する『PGAツアー』を立ち上げることに成功した。

 2代目は、元選手のディーン・ビーマン氏。1974年にツアーの運営を引き継ぐと、スポンサー名を大会名とすることで、トーナメントを開催してくれる多くのスポンサー企業を獲得した。また、ツアー競技を開催するためのコース、TPC(トーナメント・プレーヤーズ・クラブ)を全米に展開することを計画し、さらにテレビ局から放映権を獲得するなどして、現在のツアーの土台を築いた。

 3代目のフィンチェム氏は、そもそもカーター大統領政権下のホワイトハウスで経済顧問を務めた辣腕弁護士だった。1994年にコミッショナーに就任し、ウッズというスーパースターの出現もあって、ツアーは右肩上がりの時代に入っていった。賞金総額は、1996年シーズンの6600万ドル(約65億円)から、2015−2016年シーズンでは約3億2700万ドル(約327億円)と、およそ5倍に膨れ上がっている。

 また、フィンチェム氏はプレジデンツカップ(米国選抜vs世界選抜)や世界選手権シリーズ(WGC)を創設。加えて、フェデックスカップというシーズンポイントレースを開始するなど、ツアーの充実を図って、PGAツアーをより大きく成長させてきた。

 さて、新コミッショナーのモナハン氏だが、彼の経歴からすると、前コミッショナーのフィンチェム氏が歩んできた道を継承し、ツアーのマーケティング、タイトルスポンサーの獲得など、ビジネス面でその力を発揮していきそうだ。とはいえ、まだ46歳という若さ。斬新かつ新たなアイデアを繰り出して、さらなるツアー発展に力を注いでくれることが見込まれる。

 年明け初戦となったSBSトーナメント・オブ・チャンピオンズの際には、会場となるハワイ州マウイ島のカパルア・プランテーションコースで、選手や関係者たちと積極的にコミュニケーションをとっていたモナハン氏。メディアの取材にも対応し、今後の取り組みについて語った。

 ひとつは、これだけ大きくなったPGAツアーでも、アメリカ4大スポーツ(MLB、NFL、NBA、NHL)に入っていないことから、「他のプロスポーツリーグのコミッショナーたちから多くを学びたい」と語って、他のプロスポーツ界との連携を強化していく意向を示した。

「(他のプロスポーツの)いいところはどんどん取り入れていく。例えば(サッカーくじのような)ギャンブリングを取り入れることも大賛成。世界的なトレンドをどんどん取り入れていくべきだ」

 そして同時に、「LPGAツアーとの提携も強化する」と、女子ツアーとの関係性を深めることも強調した。

「例えば、このトーナメント・オブ・チャンピオンズは、このカパルアで(男女)一緒に開催することが可能。実際にスポンサーも興味を示しているから、この話は(実現に向けて)具体的に進んでいる」

 もしかすると来年は、男女のチャンピオンたちが年明けのハワイに顔をそろえるかもしれない。

 実際に話をしてみると、思ったよりもフレンドリーなモナハン氏。それでも、今後の展望を語る姿は凛々しく、新しい時代の到来を感じさせた。

 とにもかくにも、PGAツアーの将来はモナハン氏に委ねられた。新時代の幕開けに、心躍らされる1年になることを期待したい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN