『アップル帝国の正体』(著・後藤直義、森川潤、文藝春秋)

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1984年1月24日、アメリカのアップル社が初代の「Macintosh」128Kを発売したのが今から33年前。それから現在に至るまで、iPhoneやiPadといったスマートフォンやタブレット、iPodといった音楽プレイヤー、さらにはアップルウォッチやアップル TVといった新時代を切り開く製品を発売し、世界中を興奮させる一大企業として躍進を続けている。今回は、創業者、スティーブ・ジョブズ氏はもちろん、Macintoshおよびアップル社の歴史、関わった人たちの秘話を公開する3冊。

J-CASTニュースの書籍サイト「BOOKウォッチ(http://www.j-cast.com/bookwatch/)」でも特集記事を公開中。

アップル内部で何が行われているのかを追求

1976年、創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が立ち上げた小さなパソコンメーカーは、40年の時を経て、60兆円を超える時価総額を誇る巨大メーカーに変貌した。多くのアップルファンは、その美しいデザインや斬新なアイディアを絶賛し、彼の遺した言葉の一つ一つに今も酔いしれている。カリスマの陰に隠されたアップルの真の凄みは、時に獰猛な姿さえ見せてビジョンを実現する組織の「遂行力」にあるという。ものづくり、流通、通信、コンテンツなど、日本企業を翻弄するその手法を知る人は少なく、それらが表に出されることは決してなかった。

『アップル帝国の正体』(著・後藤直義、森川潤、文藝春秋、1404円)では、アップルに関わってきた大手企業のビジネスマンからエンジニア、町工場の社長、デザイナー、ミュージシャンまで多くの人々の証言を集め、厚いベールに包まれた「アップル帝国」の正体に迫る。

アップル好きにはたまらない「奇蹟の軌跡」

「夢のある製品」「夢のあるサービス」を四半世紀にわたって提供し続け、世界中の人たちのライフスタイルまで変えてしまった、スティーブ・ジョブズ氏とアップル社の「奇蹟の軌跡」を振り返る一冊。『The History of Jobs & Apple 1976〜20XX【ジョブズとアップル奇蹟の軌跡】』(著・高木利弘、普遊舎、2052円)では、1976年から始まった「勃興の時代」、1985年からの「脱皮の時代」、2001年以降現在までの「奇蹟の時代」の3つの時代に区切って、数々のスタンダードを確立してきたアップルの歴史を辿る。

「パーソナルコンピュータ全盛時代ここにはじまる」、「アップルの危機を救ったのはデザインパワーであった」、「音楽の無法地帯から世界最大の音楽ストアが誕生した」、「魔法のようなタブレットの快進撃」など、懐かしい商品の写真はもちろん、詳細な年表で全貌を紹介する。ポスター付き。

ジョブズが崇拝した天才ウォズニアックによる創業秘話

スティーブ・ジョブズ氏とともにアップルを創業したスティーブ・ウォズニアック氏。プログラマーとしての才能はジョブズ氏も崇拝する一方で、経営者となることにまったく興味を示さない生粋のエンジニアというウォズニアック氏。

「僕はアップルを退社したことになっているし、不満があったから退社したってことになってる。どっちも違うんだよ。(中略)アップル草創期のコンピュータを僕がどういう風に作ったのか、どんな具合に設計して、それがどうなったのか。だれもきちんと書いてくれないんだ。だから、今回の本で、こういう間違いが訂正されてくれればいいなと思ってる。(本文より)」

『アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝』(著・スティーブ・ウォズニアック、ダイヤモンド社、2160円)では、名誉も地位もお金も求めず、人を喜ばせることしか考えていない規格外の男が創業の秘密を語る。