音楽産業の未来は明るい?

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よく音楽産業の未来は暗いといわれますが、果たして本当にそうなのでしょうか。確かにCDの売上は落ちています。ですが、それ以外の要素、新しいミュージシャンのファンは今日も生まれていますし、むしろライブ産業は伸びているともいわれています。むしろ、CDを通してしか音楽を売ることのできない、音楽産業の古さに問題があるのではないか……そんなテーマに挑んだのが、柴那典による『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)です。

現場と評論の両立

著者は、ロッキング・オン出身の編集者・ライターです。ロッキング・オンは、かつては『ロッキング・オン』『ロッキング・オン・ジャパン』といった音楽雑誌を出版する会社でしたが、現在はロックインジャパンフェスや、カウントジャパンフェスなど多くのフェスを打つ興業会社になりつつあります。ロッキング・オンの編集者は、広告営業も同時に行うため、レコード会社をはじめ音楽業界のさまざまな場所とつながりを持ちます。そのため単なる評論の領域にとどまらない、著者ならではの視点が本書には生かされているといえるでしょう。言うなれば現場感覚と評論の両立です。

ミュージシャン自身の声

さらに、本書では音楽業界の現場の声を拾い上げるために、ミュージシャン自身へのインタビューも行われています。小室哲哉が90年代の感覚をふりかえったり、いきものがかりのメンバーへのインタビューが掲載されていたりと、それぞれのミュージシャンのファンが読んでも面白い内容となっています。音楽雑誌に掲載されるインタビューの場合は、作品論や、その人のバックグラウンドなどに話が偏ってしまいます。音楽関係者自身が、音楽業界を語る本は珍しいといえます。それも音楽産業のひとつの変化かもしれません。