夜中に何度も目が覚めるので寝た気がしない。目が覚めた後、なかなか寝つけない。そんなお悩みを抱えている人は多いです。今回はIT系企業に勤める佐藤春奈さん(仮名・34歳)からの相談です。

「夜中に目が覚めると、そのまま眠れなくなってしまいます。トイレに起きないように寝る前の水分摂取を減らしているのに、それでもやっぱり目が覚める……ぐっすり眠りたいのに、どうしたらいいのでしょうか?」

友野なおさんに教えていただきましょう。

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「遅寝早起き」で睡眠効率を高める

「いい眠り」とは適切な量(睡眠時間)と、質の高い眠りが確保されて初めて成立します。夜中に何度も目が覚めてしまうのは、専門用語で言いますと「睡眠効率が悪い」ということになります。「睡眠の質が低い」とも言えます。中途覚醒の原因にはさまざまなことが考えられますが、ひとつにはストレスによる自律神経の乱れです。また、「今日も夜中に起きてしまうのでは?」という不安それ自体もストレスになります。

自律神経の乱れを防ぐストレス・ケアについては人それぞれ、さまざまな方法があり、みなさんもそれぞれ実践されているかと思います。ここでは睡眠に直結した対策方法をご紹介します。「睡眠時間制限法」という、やや強行的ではあありますが、睡眠効率をグッと高める方法です。

よい眠りの大原則は一般に「早寝早起き」と言われていますが、睡眠時間制限法では「遅寝早起き」を実践します。いつもより遅く寝て、起きる時間はいつもと同じにするのです。つまり睡眠時間を少なくします。えっ!? 睡眠時間減らすの? と、びっくりされる方もいるでしょう。ただでさえ少ない睡眠時間を減らすなんて絶対いや! と思われる方もいるでしょう。睡眠時間が減ることへの恐怖が強い方は、週末やお休みの日の前などに試してみてください。

睡眠時間制限法は、もともと中途覚醒が増えて睡眠効率が落ちてくる60歳以上を対象に用いることの多い睡眠療法のひとつです。年齢とともに熟睡する時間が減少し、日中うとうとしてしまう、夜眠れないという悪循環にはまりがちです。そこで夜の睡眠時間を減らして密度の高い眠りにするために有効なのが、睡眠時間制限法です。

睡眠効率85%以上なら心配なし

たとえば、布団に入っている時間は8時間でも、実際に寝ている時間が6時間しかないとすると、睡眠効率は8分の6で75%です。睡眠効率85%以下は眠りの質が高いとは言えません。そこで分母の数を減らします。布団に入っている時間を7時間にします。今まで12時にベッドに入っていた人は1時に入ります。ここでも実際に寝た時間が6時間だとすると、睡眠効率は7分の6で86%になり、睡眠効率が改善されたことになります。

この方法の主眼は、睡眠を短い時間に凝縮させることです。限られた時間に寝るクセをつけることです。というのも、夜中何度も目が覚める人は、中途覚醒がクセになっている可能性があるのです。このクセを、睡眠時間を減らすことで強制的になくすのです。

当然ながら、この方法では睡眠時間が少なくなります。「いい眠り」には睡眠の質とともに量(睡眠時間)も必要です。自分にとってちょうどの量を確保することも大切です。そこで睡眠時間制限法を実践して、コンスタントに睡眠効率85%以上を確保できるようになったら、ベッドに行く時間を15分ずつ前倒しにしていきましょう。

睡眠効率の出し方は簡単。

総睡眠時間(実際に眠っていた時間)÷総就床時間(ベッドの上にいた時間)×100

私のホームページに睡眠効率が計算できる睡眠日誌が掲載されているので(こちら)、ダウンロードしてご利用ください。

中途覚醒が当たり前になっている人にとって「朝まで一度も起きずに眠れた!」という経験は貴重です。よく寝た! という大きな満足感を実感することで、睡眠をしっかり取ることの大切さにあらためて気がつくことでしょう。夜中に何度も目覚めてしまう人は、2週間をメドに睡眠時間制限法にトライしてみてください。

思い切って睡眠時間を減らし、睡眠効率を高めるトレーニングを取り入れましょう。

寝る時間をいつもより遅くして睡眠効率を高める。



■賢人のまとめ
思い切って睡眠時間を減らし、睡眠効率を高めるトレーニングを取り入れましょう。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。