写真提供:マイナビニュース

写真拡大

●『イッテQ』4週連続視聴率20%超
テレビ局が一斉に衣替えを行った秋の番組改編。10月からタイムシフト(録画)視聴率、それとリアルタイム視聴を加味した総合視聴率の計測もスタートし、新たな指標で視聴形態が浮き彫りとなっていた中、民放キー局の編成戦略を担う「編成部長」に、今回の改編の総括と今後の展望を語ってもらった。

最後に登場する日本テレビは、昨年秋に、各局が強力な新番組を投入した日曜ゴールデンタイムも、『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』をはじめとして横綱相撲を展開し、3年連続で「年間視聴率三冠王」を達成。こうした盤石のタイムテーブルを誇る地上波に加え、BS・CS・Huluといった総合的な編成戦略を"最重要ポイント"として位置づけているという――。

――2016年の年間視聴率が3年連続三冠王という好調で、秋の改編も小幅でした。プライム帯唯一のバラエティ新番組である『1周回って知らない話』の状況はいかがですか?

視聴率面で言いますと、2回目の放送で12.9%という横並びトップを獲得し、この枠で戦えるんじゃないかという感触を得ました。発明品とも言えるような番組に育つにはまだブラッシュアップしなければいけない部分もあると思いますが、良い方向に向かっています。

――日曜の午前帯に目を向けると、『誰だって波瀾爆笑』の時間枠を30分拡大して90分番組にされました。『サンデー・ジャポン』(TBS)、『ワイドナショー』(フジ)というワイドショー系番組の対決が注目される時間帯ですが、こちらの状況はどうでしょうか。

こちらも両番組が非常に強いので激戦区ですが、『波瀾爆笑』は1月15日のOAでも12.5%と横並びトップの視聴率を獲得し、60分番組の時よりもかなり数字を上げています。これで日曜日の縦の流れが、さらに良くなっているという状況です。夕方は『笑点』が引き続き高視聴率を獲得し、昼の『スクール革命』も10%を超えるなど好調です。

――昼は『アッコにおまかせ!』(TBS)、『ビートたけしのTVタックル』(テレ朝)と、午前中と同じように情報系の番組がせめぎ合っていますが、日テレさんはそことは違う路線で独自のカラーを出している印象です。

他局さんと差別化することで情報系以外の視聴需要を取り込めているかもしれませんね。

――金曜の夜についてはTBSが強い時間帯ですが、その牙城を崩すべく、半年ごとに新番組を投入されました。

15年秋に19時台の『沸騰ワード10』、16年春に20時台の『究極の○×クイズSHOW!! 超問!真実か?ウソか?』とドラスティックに改編したのですが、『沸騰ワード10』に関しては人気企画も生まれて、1月のスペシャルが13.2%を取るなど着実に育ってきています。『超問』も、1月のスペシャルが12.1%としっかり結果を残しています。視聴率的にはまだTBSさんを追っている状況ではありますが、企画の軸はしっかりしており、OAを重ねるごとに番組としての足腰が鍛えられてきていると思います。

――着実に足固めが進んでいるんですね。昨年秋の改編は日曜ゴールデンタイムに各局新番組を投入して注目を集めましたが、引き続き日テレさんは『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』で、"王者の貫禄"を見せているなという印象です。

『イッテQ』は、11月から4週連続で20%超えも記録して、おかげさまで好調を維持しています。

――裏で新番組が一斉に始まることで、なにか対策などはされたのでしょうか?

『日曜もアメトーーク!』(テレ朝)、『クイズ☆スター名鑑』(TBS)が始まった10月に、日曜の看板番組の流れのイメージをしっかり打ち出す施策として『ザ!鉄腕!DASH!!×世界の果てまでイッテQ! はじめての交換留学スペシャル』と題し、スペシャル番組を編成しました(視聴率は20.5%)。

――もともと強かった日テレさんの視聴率が、10月以降さらに上がっていますよね。

他局さんが「定評のあった番組を復活」「深夜の大人気番組のゴールデンタイム版」「ブッキング的に注目度の高い2時間番組」など、いろんなベクトルで日曜日に新番組を始められたので、日本テレビの制作現場もさらに視聴者に支持される面白い番組を目指して気合が入っています。地上波タイムテーブル全体の活性化にもつながると思いますので、日曜夜が盛り上がっている感じはとても良いことだと思います。

●土曜夜のドラマ・バラエティを入れ替え
――10月クールを振り返ると、ドラマは『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』が好調でした。

「女性が共感するお仕事ドラマ」という水曜22時ドラマの枠のイメージにしっかり合った企画で、バラエティ出身の小田玲奈プロデューサーが、『家売るオンナ』から2作品連続でヒット作を生み出しました。バラエティで培った「世の中の空気を敏感に察知する力」を生かして、視聴者ニーズに合った面白さを塗しながらドラマにうまく落とし込んだ成果だと思います。

――そして、1月からまた新たなドラマが始まり、好スタートを切りましたね。

水曜22時は『東京タラレバ娘』で、吉高由里子さんが朝ドラ以来2年ぶりの主演を務めています。原作もすごく売れているコミックで、アラサー独身女性のリアルストーリーはこの時間帯の視聴者層をしっかり掴み、初回13.8%と高い支持を得ることができました。

土曜21時は『スーパーサラリーマン左江内氏』で、ちょっと今までの土曜ドラマとは違う攻め方をします。藤子・F・不二雄さんの原作を元に、人気クリエイターの福田雄一さんが脚本・演出を手掛け、堤真一さんと小泉今日子さんという豪華な役者さんが演じるという試みです。初回12.8%と高視聴率を獲得しました。

そして日曜22時30分は『視覚探偵 日暮旅人』。金曜ロードSHOW!枠で2時間スペシャルをOAし、13.5%の高視聴率をとった作品の連続ドラマ化です。非常に企画性も立っていて、久々に堤幸彦監督が日本テレビで連続ドラマをやるので、男性も含めて幅広い層に楽しんでもらえる作品になると期待しています。

――年末年始の特番も、定番の番組が安定して視聴率を獲得されていました。

大みそかの『ガキの使い』や、1日の『TOKIO×嵐』、2・3日は『箱根駅伝』と、高視聴率を記録しました。定番ということで言えば、8月の『24時間テレビ』だけではなく、5月には笑福亭鶴瓶さんをメインにした「7daysTV」、11月には上田晋也さんがキャプテンを務める「カラダWEEK」というキャンペーンもやりました。

1週間飽きずに日テレを見ていただくために「習慣日テレ」をキーワードとして週間の編成をしていますが、1年間のタイムテーブルの中でも、この時期にはこの特番、このウィークというように、年間でも「習慣日テレ」で視聴者の皆さまに楽しんでもらいたいです。

――4月改編で、土曜21時台のドラマ枠と22時台の『嵐にしやがれ』を入れ替えることを発表されましたが、ここもやはり、縦の流れを意識した改編なのでしょうか。

はい。各番組の特性を考えて総合的に判断しました。

――ますますタイムテーブルは盤石の印象ですが、課題はありますか?

ドラマのようなストック型コンテンツや、鹿島アントラーズの活躍で決勝戦が26.8%と驚異的な視聴率を記録した『サッカークラブワールドカップ』もそうでしたが、1つのコンテンツを、地上波に加えてBS・CS・Huluといったさまざまな伝送路でどう多角的に展開していくのが良いのか…コンテンツによって最適解はまったく違ってきます。総合的なメディア編成が問われる時代への対応が最重要ポイントだと認識しています。

(視聴率の数字は、ビデオリサーチ調べ・関東地区)

(中島優)