渡辺博史・国際通貨研究所理事長(元財務官)が講演。中国経済について「16年のGDP成長率は6.7%と日本の1%程度に比べれば相当高いが、非効率な経済体制下では5〜6%は先進国の1〜2%に相当するのではないか」と指摘した。写真は講演風景。

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2017年1月19日、渡辺博史・国際通貨研究所理事長(前国際協力銀行総裁、元財務官)が「2017年経済見通し」と題して日本記者クラブで講演した。予見可能性のないトランプ米新政権は「ピース(断片)メーカー」であり、WTO(世界貿易機関)など既存組織を粉々にするかもしれないと警告。国際政治も構造が変化し、米露に日本を加えた新たな3国の友好関係と、それに対する欧州と中国の接近という「戦後見たこともない変化」が起きる可能性があると見通した。

中国経済について、「16年のGDP成長率は6.7%と日本の1%程度に比べれば相当高いが、非効率な経済体制下では5〜6%は先進国の1〜2%に相当するのではないか。この水準を大きく下回ると大変なことが起きる」と指摘した。発言要旨は次の通り。

トランプ米新政権が実際にどのような政策を行うのか。この点が今年の経済を見通す上での最大の焦点となるが、予見可能性のない人に対して政策を見通すことは不可能だ。トランプ大統領はピース(断片)メーカーであり、WTO(世界貿易機関)など既存組織を粉々にするかもしれない。今年は何があっても驚かず虚心坦懐で対応する必要がある。
国際政治の構造が変化する可能性もある。トランプ政権の親ロシア政策で欧州の警戒感が募る。米露に日本を加えた新たな3国の友好関係と、それに対する欧州と中国の接近という戦後見たこともない変化が起きるかもしれない。

中国のGDPは年900兆円規模。米国の1300兆円に次ぐ経済大国であり、クラッシュ(崩壊)すれば世界は友連れになり、米国や日本にも大きな影響が及ぶ。債務と資本流出が問題であり、17年は大変な年になる。

中国の経済成長率は10%台からここ数年毎年減速している。16年は6.7%と日本の1%程度に比べれば相当高いが、非効率な経済体制下では5〜6%は先進国の1〜2%に相当するのではないか。この水準を大きく下回ると大変なことが起きるだろう。成長減速は循環型なのか構造的なのか人民日報などで日替わりの見解が報じられ、中国政府でも統一されていない。中国の政策対応能力が低下し始めたのではないか。債務問題は中央政府が引き締め策を推進しているが、(中国の政策構造は)分散型になっており、地方政府が勝手にやっている。中国の政策対応能力が低下しているようだ。(八牧浩行)