シャープが16年秋に投入したウォーターオーブン「ヘルシオAX−XW300」(「シャープ HP」より)

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 今や成長が望める新たな産業分野と言えば、「人工知能(AI)」とあらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」の2つが連想される。

 2016年12月に日本経済新聞社と韓国の毎日経済新聞、中国・人民日報系日刊紙の環球時報の3紙が共同で実施した日中韓経営者アンケートでも、今後10年間で最も有望な成長産業として、この2つが選ばれ上位を占めた。日本は首位がIoTで2位がAI、中国の順位は日本と逆の結果であった。

 この2つが有望視されるのは、生産性の向上や新市場の創出が期待されるからだ。停滞する世界経済とハイパーコンペティション(超競争)の時代を生き抜くために、新たなるビジネス機会の獲得や収益拡大の手段として日中韓の経営者からも注目されている。

 IoTにしてもAIにしても実用化が進み、さまざまな場面で利用が広がりつつある。日本では家電製品にもこの2つが活用され始め、新たな製品が次々と生まれている。その背景には、家電のコモディティー化が進むなか、製品の便益向上を目的に両者を取り込むことで、成熟市場を未成熟市場に転換する狙いがある。

 シャープが16年秋に投入したウォーターオーブン「ヘルシオAX-XW300」もIoTとAIを活用した新製品である。季節や天候、調理履歴などを考慮して、お薦めのメニューを音声で提案してくれる。

 たとえば、ヘルシオに「今晩、何つくろう?」と相談すると、「魚料理が続いているから肉料理はいかがですか?」と提案してくれる。対話を通じて、ユーザーの文脈を把握しながら状況に応じた最適な献立をクラウド上にある豊富なメニューから見つけ出してくれる。IoTにより家族の嗜好を調理履歴や相談内容から蓄積し、AIにより自動的に機械学習していくので、利用すればするほど我が家に合ったヘルシオに進化していくというわけである。

●窓拭きロボット

 一方、家電製品のなかでロボット化がいち早く進んだ分野といえばロボット掃除機であるが、従来の掃除のほかに、窓拭きといった家事にもロボット化の波が押し寄せている。04年から米iRobot社のロボット掃除機「ルンバ」を販売し、トップシェアを維持してきた実績を持つセールス・オンデマンド社が16年12月に、窓拭きロボット「ウインドウメイト(windowmate)」を今春にコンシューマー向けに販売する旨を発表した。

 ウインドウメイトは韓国RF社が開発した窓専用のロボット掃除機である。従来困難とされていたロボットの垂直移動を実現し、オリジナルのソフト技術で窓の高さや窓枠の幅を認識しながら、窓の内側と外側とを同時に掃除できる機能を備えている。まさに窓拭き作業という危険な負担から人を解放してくれる代替ロボットである。

 このように、家事の負荷を軽減してくれるIoT家電や家事ロボット。IoTやAIを活用して少子高齢化や共働きといったすでに顕在化している需要を今後どのように取り込んでいくのか、後続の製品化がますます期待されるところである。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)