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サッカー日本代表の試合中継において度々ネタとして話題に上がる、解説者・松木安太郎。その熱すぎる解説(応援?)の数々は、さながらシリアスなドラマに登場するコメディ俳優の演技ように、ささやかな笑いを私たち視聴者へ提供してくれます。

「レッドカード3枚くらい必要だ、これ!」
「PK!PK!PK PKだろ!」
「長谷部が2人いる」「パクチソンが4人いる」

実際、こうした名言が言い放たれたとき、繁華街のスポーツバーなどでは、笑いが沸き起こります。静かに試合展開を追いたい人には邪魔かも知れませんが、やはり、彼の解説を求めている人は一定数いると思っていいでしょう。

そんな松木さんと長らく実況×解説のタッグを組んでいたのが、テレビ朝日の角澤照治アナウンサー。1993年にテレビ朝日へ入社。今年度で入社24年目を迎えている、御年45歳のベテランです。
そんな彼は今から数年前、『やべっちFC』の生放送中に後輩の前田有紀アナへ告白するという、前代未聞の行動に出て周囲を唖然とさせたことがあります。

テレ朝スポーツ実況のエース的存在だった角澤アナ


角澤アナが、同局のサッカー中継において、もっとも活躍していた時期は、2000年代前半から後半にかけて。2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯といった、国民的行事ともいうべき重要な試合を託されるという、テレ朝スポーツ実況のエース的存在でした。
しかし、そのスキルには疑問を投げかける声が多かったのも事実。90分間ひたすら繰り返される、常套句の列挙、選手名の誤認、そして、絶叫による状況説明の放棄……。その定型的実況スタイルは「Kakuzawa XP」とネット界隈で称され、「穴だらけのOS」「バグ多すぎ」などと叩かれていたものです。

こうしたサッカー実況での実績? を買われ、2002年4月には『やべっちFC』の進行キャスターに抜擢された角澤アナ。そこで同じキャスターを務めていたのが前田有紀アナでした。

『やべっちFC』のエンディングでそれは起きた


前田アナは2003年入社。健康的な地黒の肌とスラっと伸びた細身の長身、天真爛漫な笑顔が特徴的な、どこか少女っぽさを残した美女です。
2013年にテレ朝を退社した後は花屋へ転身し、2015年には大学時代の同級生と結婚するという、女子アナでは珍しい素朴で堅実な女性であり、そういった人柄の部分においても人気を集めていました。

そんな彼女と共演していた角澤アナ。2008年9月28日、角澤アナが『やべっちFC』を卒業する番組終了間際に、その瞬間は突如として起こります。

「何言うてんねん最後に!」と怒る矢部浩之


「実はですね、今日の放送をもって、角澤アナがやべっちFCからいったん離れることになってますね」

エンディングで、角澤アナの卒業を伝えるやべっち。その言葉を受けて、「テレビをご覧の皆さん、本当にありがとうございました。堀池さんも、矢部さんも、ありがとうございました!」とセオリー通りに、お辞儀をし挨拶をする角澤アナ。しかしここから、まさかの“角澤劇場”が始まります。

矢部が「こちらこそありがとうございました」と言って番組を〆ようとしたその矢先、くるりと前田アナのほうを向いた角澤アナは「前田さん、あの、ずっと好きでした」と、急に愛の告白を言い放ったのです。口を押さえて唖然とする前田アナ。ドン引きした表情のまま、この先輩へ花束を渡します。
「何言うてんねん最後に!」「ええ終わり方しようと思ったのに…この馬鹿!」と矢部から怒鳴られても、角澤アナの表情は真剣そのもの。演出ではなく、ガチだった……そう考えるのが妥当ではないでしょうか。

まさに、ラブストーリーは突然に。しかし、ドラマのようにロマンチックな恋愛に発展することなく、逆に、公共の電波を通じて後輩に告白したという事実だけが、角澤アナのキャリアに残ってしまいました。一体、なぜ、こんなことをしてしまったのか……。今でも謎なままです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりやべっちF.C. magazine Vol.2 (ヨシモトブックス) (ワニムックシリーズ 210)