「エコ認定ワイン」の方が美味しいのか、専門家の評価は?

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いわゆる”エコラベル”とは、「企業と消費者の双方に、環境にやさしい行動をとるよう促すツール」の一つである――。

この前提に基づき、カリフォルニア大学のマガリ・A・デルマ、オリビエ・ガーゴードとジンウィ・リムは、仏ボルドーのKEDGEビジネススクールと共同でワインに関する研究を行った。オーガニックワインやバイオダイナミックワインなどのエコ認定ワインは、そうでないワインよりも美味しいのかどうか、という研究だ。

研究者によれば、エコ認定のワインには高い価格をつけることができるにもかかわらず、認定生産者の3分の2はエコラベルの使用申請をしないという。エコ認定されたワインの品質について、業界内で意見が分かれることや、消費者の間でも「環境にやさしい代わりに低品質なのではないか」という疑問が持たれていることが一因だという。

1998年から2009年の間にカリフォルニア州でエコ認定されたワイナリーの数は、10から57に増えた。エコ認定された同州のワイナリー所有者や経営者を対象に、研究者たちが調査を行ったところ、エコ認定ワインはそうでないワインよりも品質が高いという仮説に至った。そしてその後、ワイン専門家にも調査を行った。

研究では、ワイン・アドボケート(Wine Advocate)、ワイン・エンスージアスト(Wine Enthusiast)とワイン・スペクテーター(Wine Spectator)の3つのワイン格付け雑誌からデータを取り、1998年から2009年の間にカリフォルニア州で生産された7万4,148本のワインを調査対象とした。

そしてカリフォルニア州有機栽培農家とデメター協会のデータを基に、エコ認定を受けたワインとそうではないワインを選別。研究ではオーガニックワイン、バイオダイナミックワインと有機栽培のブドウでつくられたワインをエコ認定ワインとした。

アメリカでは、有機生産された原材料を95%以上含有するワインだけが、米農務省(USDA)の「オーガニック」シールを使用できる。全米オーガニック認定基準委員会は、有機農法は「添加物や代替品(種、植物、動物など)を使用しないこと。これには農薬や化学薬品、遺伝子組み換え製品が含まれるが、これに限定されるものではない」としている。

ワインに関するUSDAのオーガニック表示には2種類ある。自然発生する亜硫酸塩の含有量が10ppm未満の「オーガニックワイン」と、含有量制限のない「オーガニックのブドウでつくられたワイン」だ。バイオダイナミックワインは、デメター協会が独自に制定した基準下で認定される、全くの別物だ。

今回の調査では、エコ認定ワインのスコアは平均4.1ポイント高い結果となったが、認定歴(年)がスコアにマイナスの影響をもたらした。研究者はこの理由として、初期のエコ認定申請者たちが品質の悪いワインを生産した可能性があると考えている。消費者がエコ認定ワインに対して否定的な見方をしている理由も、そこにあるのだろうか。

エコ認定ワインについて、ワイン・アドボケートの評価はワイン・スペクテーターに比べて平均12.1ポイント低く、ワイン・エンスージアストはワイン・スペクテーターよりも7.4ポイント高かった。また、全体として赤ワインの方がより高いスコアを獲得した。

また研究では、評論家たちがワインについて説明する際に使用した言葉にも注目した。例えば品質を説明する際に使われる言葉(バレルやエクセル)は、エコ認定ワインの説明に頻繁に使われた。ワインの味については、酸味やバター、ピート、ハーブといった言葉が使われていた。

最終的に研究者たちは、エコ認定されたワインの方が「専門家」にとっては味が良いようだと評価。一方で、評論家によるスコア評価には好みに左右される可能性があるとしている。

この点について筆者が思うのは、人々の好みが本当に品質の”証拠”になり得るのか、この研究では示されていないということだ。品質は主観的なものではない。少なくとも、そうであってはならないはずだ。

研究の概要は2016年11月3日発行のジャーナル・オブ・ワイン・エコノミクス(第11号)に掲載されている。