祝合格した難関校をドロップアウトする子と親の特徴5

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■祝合格! からの転落。ひっそり退学する子どもの特徴

今年も中学受験入試本番がスタートした。

各大手塾などの調査数字を見ると、首都圏だけでも4万3000人ほどの受験者数(首都圏在住小学6年生全体の15%未満)になるであろうとの予測が出ている。

この中学受験生の親たちは「我が子の幸せ」を願って、大多数が良かれと思い、我が子を1ポイントでも偏差値の高い、名門中高一貫校へ通わせたいと頑張っているのだ。

そして長年の努力と苦労が報われて晴れて合格。「夢のエリート街道まっしぐら!」とその親の胸が、期待と安堵でいっぱいになる我が世の春が来るのである。

しかしである。

哀しいかな、晴れて志望の中高一貫校に通う権利を獲得できたとしても、無事にその高校を卒業できる保証はない。実はどの中高一貫校であっても言えることだが、人知れず学校を去っていく生徒は決して少なくはないからだ。

その「傾向」と「対策」を、日本で一番「中高一貫校のドロップアウトのその先」を見聞きしてきたと自負している筆者が前後編で述べてみたい。今回は「傾向編」だ。

■頭がいいはずなのに、なぜ成績不振になるか?

合格した中高一貫校を辞める子と親の共通点1
▼親子で学校のシステムをよく知らずに入学

まずは、なぜ、せっかく入った学校なのに、出て行かざるを得ないのかを語ろう。

それはズバリ「成績不振」である。

学校側から「授業に付いていくことができない」との認定を受け、追い出されるのだ。今は非行という問題で放校処分になることはかなり少なく、進級あるいは併設高校進学への切符獲得は単純に成績次第である。

中高一貫校は入試で選別された生徒を受け入れるので、その入試レベルがベースとなり、そこから上へ上へと授業が組み立てられている。

しかも、大多数の学校が高2までの5年間でほとんどの履修を終わらせる程の先取りのカリキュラムを組んでいる。要は驚くほど、学習進度が速いのだ。

これの意味するところは「気が抜けない」ということだ。

中学受験は「人生のゴールではない」とは、よく言われる言葉なのだが、実際にはかなりの負荷が親子にかかっているため、入試結果が出た途端に親子で燃え尽きるケースが出てくる。

特に親が子どもの勉強をみていたという場合は要注意で、自発的勉強習慣を持てなかった子どもは勉強方法がわからず、燃え尽きた親の横で途方に暮れるばかりになる。

そうかと言って、いつまでも親がかりも問題が多いので、中学受験の時に意識して自発的勉強習慣を身に着けさせておくか、それができていなければ、今まで同様、親との二人三脚勉強をしながら、「ひとりでも予習復習並びに定期試験対策ができる」を目標に徐々に離れるというソフトランディングを図ることが必要となってくる。

要は「中高一貫校に行って、ひとりで勉強できる」というところまでが「中学受験」なのだ。これは「お家に帰るまでが遠足ですよ」に似ている。

これがわかっていない親子は中2あたりで学校側から「高校、付いてると思うなよ!」とのありがたいお呼び出しを受けるのだ。

■提出物の“多重債務者”でブラックリスト入り

合格した中高一貫校を辞める子と親の共通点2
▼そもそも校風に合わなかった

私立中高一貫校はどこもそうなのだが、名門と呼ばれれば呼ばれるほど、その学校からは「発酵臭」が漂ってくる。それほど個性に溢れているのだ。

チーズであったり、納豆であったり、いろいろだが、少なくともチーズを選ぶのであれば、我が子から発せられる匂いは乳製品の方が我が子にとっては居心地が良くなるはずだ。

親が陥りがちな間違いに「学校に我が子を合わせようとする」ことがある。

例えば「だらしない我が子をきちんと躾け直してもらいたい」として規律の厳しい学校に入れたり「いい加減な性格だから」と面倒見が素晴らしく良いという学校に入れようとしたりするのだ。

学校は当然ながら頑張ってくれるので、だらしなければ、懸命にその学校が「善」とすることを叩き込むであろうし、いい加減な課題提出には「面倒見良く」指導してくれるであろう。

しかし、子どものパーソナリティと校風との乖離が激しければ激しいほど、子どもは嘘のようにやる気を失っていく。

なぜならば、学校は学校教育方針に沿う生徒を優遇するので「校風に合わない」生徒には本心では冷たいということを子どもは敏感に感じ取っているからだ。

学校選びのポイントは我が子の短所はどうでもいいので「長所をいかに伸ばしてくれそうか」に尽きるのだ。

合格した中高一貫校を辞める子と親の共通点3
▼子どもの基本的生活習慣ができていない

ほとんどの中高一貫校では成績は定期試験の点数と提出物などの平常点で付けられる。この「提出物」がクセモノで、ドロップアウトをする子はこれを苦手とすることが多い。

今現在、小学生のお子さんをお持ちの親御さんは「前日の夜に明くる日の時間割を揃えておく」とか「宿題はきちんとした文字で期限を守って提出する」ということを努力目標として掲げ、欲を言えば、それをやらなかったら「何となく気持ち悪い」という感覚を子ども自身に覚えさせることに気を遣うと良いと思う。

中高一貫校は預かった生徒に対して「大変諦めが悪い」ことが特徴になるので、提出物が出されない、あるいは基準に満たないと再提出を命じてくれる。つまり1週間後には先週の「再提出分」と今週の「提出分」、更に2週間後には先々週の「再々提出分」と先週の「再提出分」今週の「提出分」となり、以下、エンドレス。

アッと言う間に多重債務者としてブラックリスト入りとなり「提出物」の雪だるまで身動き不能、窒息すること間違いない。ここから息を吹き返すことはほぼ不可能ということが本当に怖いところなのだ。

これらは長きに渡る生活習慣がなす技でもあるので、幼児期からの夜は早く寝て、朝はきちんと起きて、着替えて、朝ご飯を食べる、というような「基本的生活習慣」の励行がやはり大切なのである。

■親の見栄で選んだ志望校で、子どもは転げ落ちる

合格した中高一貫校を辞める子と親の共通点4
▼○(正答)か×(誤答)かだけの思考で受験を突破できた

これは子どもだけではなく、親が大いにいけないと思うが、受験勉強の時にその問いの本質を知らずして、また考えようともしなかったご家庭は落とし穴にはまりやすい。○か×かだけを気にする勉強は行き詰ってしまうからだ。

例えば「円周の長さ=直径×円周率」という公式を見たときに「そうなっているんだから、何も考えずに覚えればいいのよ!」と教える親と「ちょっと実験してみようか」と言って、色んな直径の円を作って「円周はどんなに大きな円であっても、すべて直径のほぼ3.14倍」ということを実演できる親とでは子どもの知的好奇心が育つ割合が違ってくる。

「勉強は○か×かを競うものではなく、知的好奇心をくすぐるものであり、それがあった方が人生は楽しい」と我が子を教えてきた親からは知的好奇心を刺激し続ける中高一貫校を辞めるという選択をする子は出てこない。

合格した中高一貫校を辞める子と親の共通点5
▼100かゼロかの思想に覆われる

親の影響をもろに受けて「聞こえが良いから」あるいは「こっちの方が偏差値高いから」という理由でその学校を選んだ場合に陥りやすくなる。

プライドだけが高いために「理想」とする自分に「現実」が追いついてこないと「100点が無理ならば、0点でいい」という極端な思考になるのである。

要は「俺はやれば本当はできるんだけど、土俵には上ってないんで、勝敗はつかない」と言っているのだ。

これに思春期が加わるので、担任と合わない、先輩と揉めたなどという人間関係のトラブルに直面すると、すべてにやる気を失い、ドロップアウト一直線になっていく。

後編では、そうなった時に親がすべき対応策を伝授しよう。

(エッセイスト、教育・子育てアドバイザー 鳥居りんこ=文)