暴力映像によってすべての子供が影響を受けるわけではなかった

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「暴力的なシーンが描かれているテレビを子どもが観ると子どもがマネをしてしまい危険だ」

 このような意見を聞いたことがあると思います。果たしてこの意見は本当でしょうか?「マネをしてしまい危険だ」の根拠は何でしょうか?

 暴力映像と実際の暴力行動との因果関係については様々な科学研究がなされており、状況によって暴力映像が子どもの暴力行動を促進することもあれば、逆に抑制することもあることが見出されています。本日は、表情分析の知見からこの関係を見ていこうと思います。

 結論から書きます。暴力映像を観た子どもたちは次のような行動をとることが実験から確認されました。

)塾榔覗を観ているときにポジティブな表情をした少年は、ネガティブな表情をした少年に比べて、映像を観終わったあと、暴力的な行動をとる傾向にある。

⊂年にみられる,侶晃は、少女にはみられない。

 ということがわかりました。それではなぜ・どのようにこのような結論が導かれたのでしょうか。実験の内容をみてみましょう。

◆ポジティブな表情で暴力映像を見た少年がとった行動とは

 最初に、様々な経済・民族背景を持つ5歳〜6歳の子どもに、殺人・銃の発砲・物理的なケンカが含まれた映像(=暴力映像)、もしくはスポーツ映像(=非暴力映像)を観てもらいます。

 次に映像を観た子どもは別室に通され、2つの課題をしてもらいます。

 一つ目の課題(=課題 砲蓮⇔戮良屋でゲームをしている他の子どもがゲームに苦戦しているときに助けるか否かを判断してもらうというものです。隣の部屋の子どもを助けるためには「ヘルプ」ボタンを、苦しめるためには「ダメージ」ボタンを押してもらいます。このボタンを長く押せば押すほど、それぞれの効果が長続きする仕組みになっています(実際には、隣の部屋に子どもはいないため、「ダメージ」ボタンを押しても本当に誰かを傷つけることはありません)。

 二つ目の課題(=課題◆砲蓮⊇討里もちゃ、ナイフのおもちゃ、そして3フィートの背丈のある人形がある部屋で子どもに遊んでもらうというものです。

 子どもたちは暴力映像を様々な表情で観ていました。ある子どもたちは、幸福・満足・関心などのポジティブな表情を見せ、他の子どもたちは、悲しみ・不快・苦痛・無関心などのネガティブな表情を見せました。

 暴力映像にポジティブな表情を見せた少年は、ネガティブな表情を見せた少年に比べ、課題,砲いて「ダメージ」ボタンを多く、かつ素早く、押す傾向にありました。課題△砲いては、人形を傷つけるような暴力的な遊びに興じる傾向にありました。

 暴力映像にネガティブな表情を見せた少年は、ポジティブな表情を見せた少年に比べ、課題,砲いて「ヘルプ」ボタンを多く押す傾向にありました。

◆暴力行動と利益が結びつく学習過程がある可能性

 この傾向は、スポーツ映像を観ていた子どもたちには見られませんでした。また少女にも見られませんでした。

 実験結果をまとめると、暴力映像に悲しみではなく、幸福や満足な表情で観ていた少年は、救助行動はせず、攻撃的な行動をする傾向にある、ということです。

 この研究は、暴力映像に対する反応によって暴力映像が悪影響になる場合もある、ということを示しています。

 さて、ここまで読まれた子を持つ、もしくは子どもの成長を見守る職務を持つ私たち大人にとって気になることは、なぜ暴力映像にポジティブな感情を示し、真似をしてしまう子がいるのか?ということになると思います。

 残念ながら、この研究はこの答えを用意していません。

 私が思うに、5〜6歳という年齢で暴力映像に対する反応に顕著な違いが表れるというところから、その年齢に達するまでの間に、暴力的な行動をとると自分に良いことがある、もしくは非暴力的な行動をとると自分に良いことがある、そんな学習過程があったのではないかと推測しています。