「『Pokemon GO』公式サイト」より

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 スマートフォンにダウンロードされたアプリが、実際にどのような性年代にどのくらい使われているのか。本連載前回記事では、「アプリの視聴率」を調べるサービス「App Ape」を提供しているフラーのビジネスマネージャー・岡田雄伸氏と按田洋平氏に、キュレーションサイトのユーザー数の変化や「日経電子版」の有料会員が急増している背景などについて聞いた。

 後編となる今回は、年末年始のアプリ利用動向などについて、引き続き岡田氏と按田氏の話をお伝えする。

●正月も需要があった「モンスト」「ポケモンGO」

――御社のサイトで、「元日に『モンスターストライク』ユーザーの70%、『LINE:ディズニー ツムツム』ユーザーの41%、『ポケモンGO』ユーザーの32%が、そのゲームをしていた」という記事がありました。

 5年前にはなかった、お正月の姿です。年末は上島竜兵さんが出演するミクシィの「モンスト(モンスターストライク)やるなよ」のテレビCMといい、ゲーム会社は宣伝に注力したり期間限定キャンペーンを行ったりしたところも多かったですね。

岡田雄伸氏(以下、岡田) 長期コンテンツを運営しているゲーム会社は、休眠ユーザーをいかに“起こす”かが課題なんです。CMも、「新規ユーザーの獲得より既存ユーザーを起こす」という目的のほうが強いです。「モンスターストライク」も、特定期間にログインしたユーザーに現金が当たるというキャンペーンを年末に行っていました。

――すでにアカウントを持っていて、ログインするだけで現金が当たるかもしれないのなら、やってみようというユーザーは多そうですね。

岡田 「モンスト」は、休眠ユーザー向け以外にも、普段からやり込んでいるユーザー向けに、レアキャラの出るガチャ(ゲーム内の課金システム)を年末年始に設けていました。

――お年玉が狙われていますね。前回取材時には、「『モンスト』は利用世代が幅広い」というお話がありましたよね。

按田洋平氏(以下、按田) はい。操作が簡単なので、いろいろな層の人がプレイできますからね。年末年始に親戚同士で集まったときに協力プレイをするという風景もあったのではないでしょうか。親戚同士で一緒にやれるゲームは、なかなかないですから。

――前回取材時に16年7〜9月を象徴するアプリとして紹介のあった「ポケモンGO」は、その後いかがでしょうか? 前回は「App Ape」におけるDAU(1日に利用したユーザー数:App Apeにおいては1日に一度以上アプリを起動したユーザー数)がAndroid版のユーザーだけで200万人というお話がありましたが。

岡田 12月時点で「App Ape」におけるAndroid版のDAUが170万くらい。若干減りましたが、堅調ですね。今(1月上旬の取材時点)も150万〜160万で推移しています。また、「ポケモンGO」も「モンスト」同様、年末年始にレアなポケモンを探しやすくなるといったキャンペーンを展開していたため、その時期は伸びました。あとは、位置情報と連携するゲームの特性を生かし、初詣のときに神社仏閣でポケモンをゲットしていた人も多かったのでしょう。元日も、利用者数が伸びました。

――「モンスト」も「ポケモンGO」も、「親族が集まる(=協力プレイ)」「神社仏閣に行く(=ポケモンゲット)」というふうに、年末年始の習慣とゲーム性がマッチしていたんですね。

●「AbemaTV」、元日の視聴者が2倍に激増!

――前回取材時、好調なアプリとして「ポケモンGO」とともに挙げていただいた「AbemaTV」は、その後いかがでしょうか。

按田 好調でDAUも伸びています。運営元のサイバーエージェントからは、「年末年始のWAU(1週間に利用したユーザー数)が500万人を突破した」と発表がありました。テレビCMだけでなく、元日には「AbemaTV」の番組表をテレビ欄形式で掲載した新聞広告を約2000万部に挟むなどのPRも行っていました。

――新聞を購読する人自体が減っているなかで、新聞購読層と「AbemaTV」の視聴者層が一致しないようにも思えますが。

按田 ただ、こういうユニークな広告活動をすると、インターネットのニュースなどで取り上げられますからね。「App Ape」で見ても、元日のDAUは12月平均の約2倍でした。

――なるほど。番組つながりでいえば、御社のサイトで「『紅白』のアプリをスマホで立ち上げながらテレビで『紅白』を見る、という視聴スタイルが少なからず浸透してきている」という記事がありました。紅白アプリは視聴者投票ができるだけでなく、好きな歌手を登録しておけば出演前に通知してくれるなど、なかなか便利な機能があったようですね。

岡田 『紅白』のように「見たいところだけ見たいからアプリを活用する」というほか、「ツイッターを使い、実況しながらテレビとスマホを同時に見る」というスタイルは、すっかり定着していますね。

――確かに、『天空の城ラピュタ』(東映)がテレビ放送されたときには、劇中と同じタイミングで「バルス」とつぶやくのは、何年も前からツイッターの風物詩となっていますね。

●『逃げ恥』効果で「TVer」ユーザーが2倍に

按田 利用者側に「テレビをアプリで見る」という視聴習慣が根付いてきたと感じています。民放5局による動画サイト「TVer(ティーバー)」のアプリもユーザー数を伸ばしており、「500万ダウンロードを突破した」という発表がありました。

「App Ape」で「TVer」の利用動向を見ても、9月と12月で比較するとDAUが2倍に伸びています。これはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)がヒットしたことによる「逃げ恥効果」も大きいですね。見逃した人のために番組を再配信しているのですが、これも「テレビで見られなかったら、ネットで追いかける」というスタイルをつくり出したと思います。

――ラジオでは「radiko」という、放送と同時に配信を行う仕組みがすでにありますが、テレビも同時配信に近づきつつありますね。

按田 テレビの同時配信についても、今年は大きな動きがありそうなので、その際にまたお話できればと思います。

――ありがとうございました。

 テレビ番組の実況は、「2ちゃんねる」などでも以前から鉄板コンテンツだが、最近はニュースや情報番組で画面下に番組公式ツイッターに寄せられたコメントを流すなど、テレビのほうからネットに寄っているような手法も増えている。

 ネットは、「他人の意見をライブで見たい、自分も発信したい」というニーズを吸い上げるだけでなく、そういった感情を増幅しているようにも思える。それが本人のためになればいいが、情報や意見の確認と発信で忙しなく日々が過ぎていく人や、逆に不幸になっているという人も少なからず存在するのではないだろうか。

 最近は大手企業がアプリの開発やキャンペーン、宣伝に注力しており、前編では按田氏の「ウェブからアプリになることで、より利用が受動的になる」という話もあった。いかに能動的に、「使われる」ではなく「使っていく」かが、利用者一人ひとりに問われている。
(構成=石徹白未亜/ライター)