失恋の哀しみを乗り越える心理学…「踏み出す一歩」となる行動とは?

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ジュリア・ロバーツ主演の『ベスト・フレンズ・ウェディング』という映画をご存知でしょうか。

ヒロインのジュリアンは、ある日元カレのマイケルから「大切な話がある」という連絡を受けます。
2人は別れた後も仲良しで、「28歳になってもお互いに独身なら結婚しよう」と言い交わしていました。

もしやプロポーズ?と思いきや、なんと20歳の女子大生と結婚をするという報告だったのです。

◆お付き合いの終わりは喪失感の始まり


ジュリアンにとってマイケルは好きでたまらない相手ではなく、「なんとなくいつも心の中にいる思い出の彼」という存在でした。

そんな元カレが結婚すると聞いて、「思い出」自体が消えてしまうように感じたのでしょう。
ジュリアンは結婚を阻止しようと躍起になりますが、結局は現実を受け入れるしかないのだと、哀しみながらも理解します。

付き合っていない相手でも喪失感があるわけですから、本気の恋を失った時の苦しみはそれ以上です。
今回は人の心が哀しみをどう受け入れるのか、という観点から、乗り越えるための重要な一歩がどこにあるかを解説しちゃいます!

◆喪失の受容にはプロセスがある


別れてすぐ相手を忘れられる人は、そうそういません。
たいがいは段階を追って、ゆっくりと別れを受け入れていきますよね。

このような喪失の受容は、心理学的に5つの段階があります。

1)否認
2)怒り
3)取引
4)抑うつ
5)受容

まずは、現実を受け入れたくないという「否認」です。
続いて「どうしてこんな目にあうんだ!」と、納得がいなくてもんもんする「怒り」状態になります。

さらに「努力不足だったんじゃないか」「正しい努力をすれば別れを回避できるんじゃないか」と、なんとか状況をくつがえそうとする「取引」に移行します。

そうして、そんな方法はないという現実を前に深い絶望感にみまわれる「抑うつ」に入るんですね。
ここでようやく、「別れを受け入れるしかない」という受容の境地に至るのです。

◆取引を放棄する勇気


失恋を乗り越えるにあたり、一番のポイントとなるのは「取引」のプロセスです。

この段階にいる時には、お互いに納得するための話し合いならば行うといいとと思います。
でも中には、別れを否定したくて暴走行動に出てしまう人もいます。

泣きわめいて相手や周りの人に迷惑をかけたり、第三者を巻き込んで無意味な駆け引きをしたり、肉体関係を通して愛情があると思いこもうとしたり。

このような、相手にしがみつくためだけの行動や自分が傷つくだけの振る舞いは、控えるべきでしょう。

どうしても暴走してしまいそうなら、勇気をもって「取引できない状態にする」ことです。
相手の連絡先を消して、自分からは連絡がとれないようにしましょう。

◆大事なのは自分と向き合うこと


誤解していただきたくないのですが、別れを告げられたら全てを受け入れ取引するな、と言っているわけではありません。

取引の段階で必要なのは、「なぜ別れることになったのか」という反省です。
目の前の現実を変えようと躍起になるのではなく、これまでの自分と相手がどうであったか振り返ることが重要なのです。

上手くいっているカップルなら、別れたりはしません。
上手くいかない理由があるから、別れることになるのです。
根本原因を見つけて改善しない限り、よしんば別れを回避できたとしても、また同じ理由で別れることになるでしょう。

相手とつながっていると客観的になれない人は、自分と向き合えるよう勇気を出して相手の連絡先を閉じる、そういう荒療治も必要です。

◆まとめ


哀しみを乗り越える心理学、ご理解いただけましたでしょうか。

苦しい恋から得られる教訓は、次の恋愛を素晴らしいものにしてくれます。
つらくても、自分の未熟さと対面する勇気を持ちましょう。それは相手に真摯に向き合うのと同じくらい、意味深いことなのです。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。
黒木 蜜〜中今の詩〜