新たな育児・介護休業法が施行され、介護離職者ゼロに向けた取り組みが強化された。一方で、多くの企業は「介護離職者は増える」と回答した。

 政府が目指す「介護離職ゼロ」に向けた取り組みの一つとして、育児・介護休業法が改正され、新たな制度が1月1日からスタートした。新たな制度では、介護が必要になった家族1人について1回、合計で93日まで認められていた介護休業を、3回に分けて取得できるようになった。また、パートや派遣・契約社員などの有期契約労働者の介護休業取得要件も緩和され、より多くの人が介護休業を取得できるようになった。

 そこで、東京商工リサーチは企業を対象に、「介護離職」に関するアンケート調査結果を実施し、その結果を12月27日に発表した。調査期間は11月17日から28日で、7,391社から有効回答を得た。

 過去1年間(2015年11月〜2016年10月)に介護離職者が発生していたかを聞いたところ、9.8%の企業が「ある」と回答した。「ない」は75.9%で、「不明」が14.3%だった。企業の規模別に介護離職者の有無をみると、資本金1億円未満の中小企業では、「ある」が9.1%だったのに対し、資本金1億円以上の大企業では「ある」が11.3%となり、従業員の多い大企業ほど介護離職者の発生割合が高かった。

 将来的に介護離職が増えると思うかを聞いたところ、「増えると思う」と回答した企業が71.3%に達した。「変わらないと思う」は25.2%で、「減ると思う」は1%だった。企業の規模別に「増えると思う」と回答した企業の割合を見ると、大企業が77.3%で中小企業が68.8%だった。

 国は介護休業の取得を円滑に進めるため「介護離職防止支援助成金」制度を設けている。介護離職防止支援助成金は、仕事と介護の両立支援のための職場環境が整備されていること、社内規定で介護休業の取得について明文化することなど、一定の条件を満たす企業を対象にした制度。該当する企業で介護休業を取得する社員が出た場合には、2名を上限に1名あたり40万円(中小企業は60万円)が、所定外労働の制限や時差出勤など、介護制度を利用する社員が出た場合には2名を上限に1名あたり20万円(中小企業は30万円)が給付される。この介護離職防止支援助成金について、助成を受けたことがあるかを聞いたところ、「ある」と回答した企業は35社(構成比0.5%)にとどまり、「ない」が68.2%、「分からない」が31.3%だった。

 介護離職が問題になる中、国は介護離職を防止するために制度の充実を図っている。しかし、多くの企業は将来的に介護離職者の増加は避けられないと考えているようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]